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黒猫とヴァンパイア  作者: 桜騎
本編
7/50

3ヴァンパイア

 「…で、ヴァル…」


私たちは女子トイレから移動し、今は人気のない所に移っていた。


「聖恋に何をしようとしたのかな? 」


「あ、あぁ~…あは♪ 」


瞬間、イオの手がヴァルの胸ぐらをつかみあげる。


「え~っと、…痛いよ?イオ君」


「おや、それは悪かったなぁ?なんだか、君の口から 「あは♪ 」 などというごまかしの声が聞こえたものだから、つい…」


「ワーコワイ」


 「まぁ、こんなおふざけはどーでもよく…聖恋に何をしようとしていた? 」


こんどは口笛を吹いて誤魔化される。


「ご、ま、か、す、な! 」


イオは、一語一句…というよりも、一文字一文字区切った。

 そして、なぜか一拍のの間が。


「真剣に、答えろ」


イオはヴァルの何を見ているのか。イオは、ヴァルの何を感じ取ったのか。

 イオは、本当に真剣な目で、ヴァルに訊ねた。

 ヴァルも、真剣な目になる。


「そうだね、答えるよ。君のご主人様のことなんだしね。…僕は、君のご主人様が気に入ったんだよ」


「はぁ? 」


言ったのは私だった。つい、口をついて出た。だって、彼の言うそのご主人様は、私のことだから。


「だから、そのご主人様を、僕のものにしようとしてね。だから、彼女の血を吸おうとした」


「ちょ、ま…」

           ……嘘でしょ?

 耳を疑った。

 ヴァルは、何てことのないようにクスクスと笑った。


「本当のことだよ?だって、君のペットが、望んだ問いなんだから」


「? 」


「あぁ、間違えた。君のペットが望んだ答えなんだから」


「どういうこと? 」


望んだって?

 そのとき、ようやくイオが口を開いた。


「まぁ、望んだといえば、望んだな。だが、誤解の招くような言い方をやめろ。聖恋。望んだってのは、本当の答えって意味だから」


本当の答え…つまり、ヴァルの本心?


「わたし、何かあなたにしましたっけ? 私はあなたから迷惑をかけられたことしか覚えがないのですが」


「あぁ、不思議だよねぇ。君はなにもしていないのに。ただ、僕の言動に的確に対応してきただけだ。しかも、僕の望んだ形で。お陰で楽しかったよ。普段はない、人間との理想の会話をさせてもらった」


「ああそうですか。それで? 」


 「さっき言ったと思うが、君を僕のものにしたいと思ったんだ。だけど…」


ヴァルは私の首筋に顔を近づけてくる。


「な、なに? 」


前のことから、少し警戒しながら訊ねる。


「うん、やっぱり。イオの匂いがする。これは、一緒にいたからだけではない。明らかに、イオが血を吸ったときの匂いだ。少し血の匂いも混ざっているしな」


 「そ、そうですか。私はどうでもいいんですけど」


「そう? なら、いいかな? 」


ヴァルは牙をむき出しにする。その瞬間、私はあのときの恐怖心を思い出した。わずかに震える私の肩と、心情と、あと、イオのなかにある何かがイオを動かした。


 「!! 」


ヴァルは牙を離した。


「なに、イオ」


「やめろ」


 ヴァルは私を見て、頷く。


「確かにねぇ。微かに肩を揺らしてるもんね。もう、あのくらいで恐怖心を植え付けられてるなんて、見ていて面白い。まったく、かわいいねぇ」


「な…によ? 」


「いやいや? ただね、君のところにいるイオは、なんだか生きている感じが凄いんだよね。まえは、全く喋らない子だったのに」


 暫くヴァルは唸ってから、頷いた。


「やっぱり、君のところにいると楽しそうだ。僕、君のペットになるよ」


「はぁ? 」


いや、私は別にイオを飼っている訳ではないのだけれども。


 「まえに、言ったよね? 君をむかえに行くって。それが少し別の形になっただけだよ? 」


…そういえば、言われたような…?


「でも、目的と意図が違うわ」


「いいんだよ、別に。僕が君を気に入って、君の側にいたかっただけだから。…君の側にいて、君が僕を楽しませてくれたら、それでいいんだ」


「私は、あなたを楽しませる方法なんて何も持ってませんけど? 」


「あぁ、君は君のままでいいんだよ。とにかく、僕を側においてほしいな? 」


「…」


「だめ? 」


ヴァルは上目使いで私を見る。


 「あんまり、よろしく、ないわね? 」


やんわり、遠回しに断ってみる。


「えー、そっかあ。じゃ、仕方ない。僕がこの世界でなにかしでかしても、君には怒る権利を与えられないからね? 」


「なっ!? 」


そんな手を使うのか…。


 「う~…し、仕方ないわね」


「ほんと!? いいの? 」


まあ、なにかしでかして、それを止められないことのほうが嫌だし…。


「いいわよ。ただし、イタズラはしないで! 」


ヴァルはにこにこ笑って言った。


「保証なし‼ 」


「ちょっ!! 」


「でもでもでも! 君はいいって言ってくれたからね!? 今更なしとか、あり得ないから」


ヴァルは平気な顔で言う。


「わかってるわよ…」


今、私がここで、人間を見せないと!まぁ、もうヴァンパイアになってるんだけど。

 ヴァルはまた、クスクスと笑った。


「精一杯尽くすからね? ご主人様」


もうこのときから、嫌な予感しかしない。

こんにちは、桜騎です!…お久し振りです。1ヶ月くらいですね。今回、またまた投稿がおくれてしまいました。すみません!

今回はヴァルが聖恋と一緒にいるよ!って話でした。次回は、聖恋が少しどころか、かなり苦労することになります!お楽しみに‼

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