ヴァンパイアとヴァンパイア
「ただいま~」
学校から帰ってきて、私は玄関に入る。と、すぐに 「お帰り」 と返ってきた。いや、まあお母さんの声じゃ無いことに驚いたけど、声の主が誰かわかると怒りが沸き上がってきた。
「イオ! 何でここにいるの⁉ 」
お母さんにバレるとまずいのに!と言おうとしたところで、イオは口を開く。
「いや、俺の姿は大抵の奴には見えないから大丈夫だ」
「⁉ 」
そんなの初耳なんですけど⁉
「その、だから…」
イオは手をモジモジさせながら上目遣いで私を見る。私はため息をついてイオの求めている答えを返す。
「ハイハイ、わかりましたよ。外に出てもいいですよ。だけど、誰かが見ている所で物を動かすのはやめて」
イオは顔に満面の笑みを浮かべ、ありがとうと言った。まあ、この時から嫌な予感はしていたんだけど、大変な事にならなければ良いのだが…。
だが、その願いが叶えられることはなかった。
「ん~…喉渇いた」
夜中、目が覚めた私は台所へ飲み物を取りに行った。
「あ、お母さん」
お母さんは夜遅く仕事から帰ってきてつかれたのだろうか? ソファで寝ていた。
私はお母さんを起こさないように忍び足で台所へ向かうと、水の入ったコップを持って再び、ソファのあるリビングへ。と、そこで見たのは…。
「ちょ、イオ、何しているの⁉ 」
イオはお母さんの首筋に牙を近づかせていた。気のせいか、イオの瞳は色がいつもと違う気がする。
イオは私の声が聞こえなかったのか、今も首筋にどんどん近づいている。
「イオ‼ 」
私は必死に手を伸ばした。お母さんの血は吸わせたくなかった。お母さんは、ヴァンパイアとは全く関係ないから。私の手は、お母さんの首筋とイオの牙の間に挟まれた。イオの牙が私の手の甲に突き刺さる。
「うっ…」
「…聖恋」
その時、イオの瞳の色は元に戻った。
イオは牙をゆっくり引き抜く。
「すまない。血に飢えていて、いつの間にか自我が…」
わかっている。イオは今まで我慢してきたのだから。そのくらい、わかる。
「いいよ、そんなの…」
私はもう吸われたのだ。もう、無かった事にはできない。牙の跡が付いたのだから。
「イオ、私の血、飲む? 」
イオは戸惑ったような顔をした。いつか、吸われる事になるの、わかってたし、覚悟…決めたし。
私はイオに向けて首筋を差し出した。イオはまだ戸惑っている。だが、しばらくして…イオは遠慮なく私の血を吸った。私の首筋に血が少し垂れる。
「イオ…」
イオは私の声を聞き、吸血を止めた。
「悪かった」
「別に…」
イオが吸い終わった時、私はヴァンパイアになっていた。
こんにちは、桜騎です!今回はタブレットでの投稿でした!文字を入力するのがとても大変で、凄く時間がかかりました。現在私はインフルA で学校お休み中です!寝れなかったので暇潰しで書いていました。あまり良くない暇潰しでした…。
次回は聖恋の学校が舞台です!ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!