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黒猫とヴァンパイア  作者: 桜騎
本編
5/50

ヴァンパイアとヴァンパイア

 「ただいま~」


学校から帰ってきて、私は玄関に入る。と、すぐに 「お帰り」 と返ってきた。いや、まあお母さんの声じゃ無いことに驚いたけど、声の主が誰かわかると怒りが沸き上がってきた。


「イオ! 何でここにいるの⁉ 」


お母さんにバレるとまずいのに!と言おうとしたところで、イオは口を開く。


「いや、俺の姿は大抵の奴には見えないから大丈夫だ」


「⁉ 」


そんなの初耳なんですけど⁉


 「その、だから…」


イオは手をモジモジさせながら上目遣いで私を見る。私はため息をついてイオの求めている答えを返す。


「ハイハイ、わかりましたよ。外に出てもいいですよ。だけど、誰かが見ている所で物を動かすのはやめて」


イオは顔に満面の笑みを浮かべ、ありがとうと言った。まあ、この時から嫌な予感はしていたんだけど、大変な事にならなければ良いのだが…。

 だが、その願いが叶えられることはなかった。


 「ん~…喉渇いた」


夜中、目が覚めた私は台所へ飲み物を取りに行った。


「あ、お母さん」


お母さんは夜遅く仕事から帰ってきてつかれたのだろうか? ソファで寝ていた。

 私はお母さんを起こさないように忍び足で台所へ向かうと、水の入ったコップを持って再び、ソファのあるリビングへ。と、そこで見たのは…。


「ちょ、イオ、何しているの⁉ 」


イオはお母さんの首筋に牙を近づかせていた。気のせいか、イオの瞳は色がいつもと違う気がする。

 イオは私の声が聞こえなかったのか、今も首筋にどんどん近づいている。


「イオ‼ 」


私は必死に手を伸ばした。お母さんの血は吸わせたくなかった。お母さんは、ヴァンパイアとは全く関係ないから。私の手は、お母さんの首筋とイオの牙の間に挟まれた。イオの牙が私の手の甲に突き刺さる。


「うっ…」


「…聖恋」


その時、イオの瞳の色は元に戻った。

 イオは牙をゆっくり引き抜く。


「すまない。血に飢えていて、いつの間にか自我が…」


わかっている。イオは今まで我慢してきたのだから。そのくらい、わかる。


「いいよ、そんなの…」


私はもう吸われたのだ。もう、無かった事にはできない。牙の跡が付いたのだから。


「イオ、私の血、飲む? 」


イオは戸惑ったような顔をした。いつか、吸われる事になるの、わかってたし、覚悟…決めたし。

 私はイオに向けて首筋を差し出した。イオはまだ戸惑っている。だが、しばらくして…イオは遠慮なく私の血を吸った。私の首筋に血が少し垂れる。


 「イオ…」


イオは私の声を聞き、吸血を止めた。


「悪かった」


「別に…」


イオが吸い終わった時、私はヴァンパイアになっていた。

こんにちは、桜騎です!今回はタブレットでの投稿でした!文字を入力するのがとても大変で、凄く時間がかかりました。現在私はインフルA で学校お休み中です!寝れなかったので暇潰しで書いていました。あまり良くない暇潰しでした…。

 次回は聖恋の学校が舞台です!ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!

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