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黒猫とヴァンパイア  作者: 桜騎
本編
3/50

イオの秘密

物語の最中に純血種という言葉が出てきます。知らない方もいると思いますので、説明させていただきます!

純血種とは、人間の血が混ざっていない、ハーフではない純粋なヴァンパイアの事を言います。

これから出てくることがありますので、説明させていただきました!

 「イオの、秘密? 」


「そ。イオのひ・み・つ」


いつの間に入って来たのか、ヴァルは私の目の前にいた。そしてまた、いつの間にか窓も閉められていた。黒猫は…私の膝の上に戻って来た。


 「知りたくない? 」


そう問われて、私はいつの間にかうなずいていた。


「知り、たい」


何故か、言いたいことと反対の答えが口を出た。…いくら同居と言っても、知っていいことと知っちゃだめな事の区別はつく。秘密なのは、秘密なのだ。しばらく同居するだけの仲では、知っていいことに限りがあるはずだ。


 「ふふふ。…いいよ、教えてあげる。…ヴァンパイアはね、普通は血以外は食べたり飲んだりしないんだ。べつにできないってわけでもないけどね? あんまよくないんだ。我慢できずに、すぐ凶暴化する。凶暴化して、人間の血を探し求める。でも、イオはできると言った。そして、トカゲやカエルなども食べれると言った。それは何でだと思う? 」


ここで、間をあけられた。考えろ、という事なのか?


「え…」


「何でかな?」


 トカゲ…カエル…実は、共通点がある。生物的にはもちろんだけど、どちらも魔女…主に黒魔女が必要とする生き物。カエルをすりつぶしたりして薬を作ることもあったりする。魔女…と考えるのはおかしくはないかも知れない。だって、…もしかしたら関係ないかも知れないけど、魔女と考えるときに黒猫も入るんだもの。…黒魔女は、黒猫やカエル、カラスなどを使い魔にする。それはどの悪魔と契約するかによるけど…黒猫は珍しくない。


「多分…いや、でも…」


イオは、ヴァンパイアだと言っていた。黒魔女という事はありえないだろう。てことはお母さんが…? ヴァンパイアと魔女で種族は違うけど、ありっちゃありなのか…? 一応、人型だし。

 すると突然、ヴァルは含み笑いをした。


「…何よ? 」


「いやいや、べつにそういうひどい考え方じゃないよ?そうじゃなくて…」


そこでヴァルは笑い終え、ふっと真剣な顔になった。


「多分、君の考えはあっていると思うよ? イオのお母さんは魔女だ。そして、お父さんが…」


「ヴァンパイア」


「そう」


 ヴァルは満足そうに笑った。


「僕がちょっとヒントをあげるだけで正解にたどり着くなんてすごいね? 気に入ったよ…」


「は? 」

べつに、私は何もしていないけど…?


 「ところでさ、そんなの全然秘密になってい無くない? べつに隠すようなことでも…」


「ああ、そうだね? 実は、イオはその魔女とは血がつながっていない。イオは今ではもう珍しい純血種のヴァンパイアさ。イオは…小さいころに魔女と会った。お父さんが再婚したんだね。お父さんはイオを可愛がっていたけど…魔女は、あまりイオを好いてはいなかった。まあべつに、嫌いってわけでもないみたいだねえ。それどころか、イオには気を遣っていたみたいだね。母親が魔女だったらヴァンパイアはバカにされるさ。イオが純血種だと思わないで。父親は純血種なのに…てさ。まあ、それが君に隠そうとしている秘密の一つ」


「…何で、そんな事を私に隠すの? 」


ヴァルは面白そうに笑った。


「さあ、何でだろうねえ」


 くす、くす、という音が…声が、部屋に響く。

「あなた、一つって言ったわね? 」


「ああ、言ったよ」


「もう一つは何よ? 」


また、ヴァルは満足そうに笑った。


「君は、僕が欲しい所に言葉をくれるね。嬉しいよ。ますます気に入った」


何だ、そんな事か。また不快になっていた私は正気を取り戻した。


「私は、さっきから笑ってばかりいるあなたが嫌いだけど」


「おお、そうかそうか。それは面白い。僕の片思いだね」


…何が面白いのか全く分からない。


 「で、もう一つは? 」


「……もう一つはねえ…」


ヴァルは私の膝の上にいる黒猫を見た。黒猫はヴァルをずっと睨んでいる。


「その黒猫は、もともとは人間だった(・・・・・)ってことだよ? 」


「え? 」


 その瞬間、黒猫はヴァルに襲い掛かった。


「おっと」


ヴァルは片手で猫を地面にたたきつける。


「…どういう、事? 」


「いいねえ。欲しい反応をくれる。本当に、最高だね」


「ふざけないで!! …いいから答えて」


ヴァルはおかしそうに笑う。…本当に、さっきから笑ってばっかりだな、こいつ…。


 「言ったろ? イオは魔女でもあるんだって事。魔女の血は流れていないけど、魔女に魔法は教えられているんだ。だったら、人間を猫にすることくらい、簡単だと思わないかい?」


「そういうことじゃなくて…! 」


「はいはい、分かったよ。…イオは服や首のチョーカーや、足首のミサンガなどに赤色を使っているね? 」


・・・そういえば、あったかも知れない。


「その赤色は、イオが今までに吸った人間の血で染めてあるんだ」


「え?」


「イオは、何らかの方法でその人がいたという証拠を残す。きっと、今までの思い人だったんだろうね。血を吸っても、最後の一滴二滴は必ず残した。何かを残すために」


 そこで、ふと不安に思った。


「私も、そうなるの? 」


「…ふふ、それはね…」


 そこで。

 黒猫は頭を持ち上げた。何をするのかと見れば、ただただ、窓の外を眺めているだけ。私も気になって窓を見ると…。


「イオ! 」


イオは思いっきり窓をたたいていた。…でも、なぜか音が聞こえない。気がつけば、いつの間にか夜になっていた。


「イオ、おかえ……!! 」


急に私の首に腕が巻き付いてきた。


「ちょ、な、何…? 」


「まだ、君の質問に答えていないよ? 君は、イオの事、知りたいんだよね? 」


「で、でも! イオを中に入れるのには何の問題もないでしょ!? 」


私は怖かった。今、私はヴァンパイアの手中にいるのだ。いつ血を吸われてもおかしくなかった。そう、さっきのとは真逆に、一滴でさえも残らないように。


 「かわいいなあ、僕が怖いの? あ~んなにおしゃべりしたのに…」


「それとこれとは別でしょ!? 」


「そんな怒らないでよ。まだ、君の質問に答えていないよ?ふふ…君は、僕にどう答えてほしい? 」


そんなの、知らない! そんなこと、知るわけない!! 私は、ただ真実を知りたいだけ! 答えは作るものじゃない。もとからあるから答えなんだもん。


「そっかあ。…ふふ、やっぱり面白い。ホント、初めて会ったばかりだけど、好きだよ! 」


…意味が、分からない。本当に。


 「ねえ、君、死にたくないんでしょ? 」


「それだから、何? 」


それは、たいていの人はそうだ。生きたいに決まっている。それを盾に私を脅すつもりなのか?


「べつに、脅すつもりはないよ。ただね…」


ヴァルは私の耳元に口を寄せた。そう、その気になれば、すぐに血が吸える距離。正直言って、怖い。けれど、どんなに頑張っても腕はほどけない。


「僕の所に来れば、ずーっと生きれるよ? 」


「え…? 」


びっくりした。想像していた言葉と違った。


「僕の下に来れば、どんなものからでも守ってみせるし、永遠に生きれるようにしてあげても、良いんだよ?」


 「ふふ…」


今度は、私が笑う番だった。


「何が、おかしい? 僕は、本気だよ? 」


おかしい。おかしかった。笑いが止まらない。


「あなたは、私の血を吸わないとは言っていないわ。そのかわり、永遠の命と言った。つまり、私の血を吸う事。でもまあ、吸いすぎると逆に死んじゃうかもだから? 少し吸うだけかも知れないけど…」


私はするりと腕から抜けた。ほどけないのなら、抜けばいいのだ。


「ねえ、質問よ? あなたは、私の血を吸いたいの? イオは、人間用の食料だけでいいって言ったわ。あなたは、どうなの? 」


「…」


ヴァルは、もう笑わない。


「何て、言ってほしい? 」


「べつに。私はあなたの気持ちを訊いているの。言葉を訊いているんじゃない」


 まただ。気が付いた時には、ヴァルは私の目の前にいた。


「カッ」


そしてまた、いつの間にかヴァルは私の首筋に牙を突き立てようとした。

 こんにちは、桜騎です!今回はイオの秘密でした。まあ、秘密と言っても、主人公に対しての秘密でしたが。そういえば主人公、まだ名前を名乗っていない気がするのですが…。まあ、探してみるとします。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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