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黒猫とヴァンパイア  作者: 桜騎
本編
18/50

存在と理由

顔が今回の話でたくさん出てきますが、なんかしっくりこないな~って方は表情と読んでください。すみません。よろしくおねがいします。

 「……俺は、ヴァルに王子の座を譲ろうと思う」


「どういうこと? 私はそういうことはよくわからないけど、そういうのって血筋とか関係するんじゃないの? 」


「ああ、そうだな。王族たちは血の濃さでどのくらいえらいかが決まる。だから、俺とヴァルはできる。なぜなら、それは俺たちは義兄弟だからだ」


うそでしょ!? だって…今まで幼馴染とか召使とか聞いていたのに、急に義兄弟なんて言われて…もう頭がぐちゃぐちゃだ。


「えーっと…俺のほうが人間で言うところの10年先に生まれていて、ヴァルが10年後に生まれたんだ。ヴァンパイアから見ると同じ年なのだが……。整理するのが少し難しいのだが…王と女王が俺を生み、十年後に王の弟が女王とヴァルを生んだんだ。本来ならば許されないことだし、王は大変お怒りになったが、王子が俺一人しかいなかったからもしものときに…となった。まあ…いろいろと俺のために利用されるってことだな。だが、俺は義弟がうれしかったんだ。兄弟いなかったし。だから、生まれてすぐそう決めるんじゃなくて、五年待って何の才もなかったらそうしてほしいと頼んだんだ。……ヴァルはそんなことを知らずに五年間遊んですごした。そして、何の才もないと判断されたために、ヴァルは俺が用意した最初で最後のチャンスを逃したんだ。……本当は、才だってあったんだ! 一番そばにいた俺だけが知っている才が! だから…だから、王にヴァルにはどんな才能があるかたくさん話したし、説明した。それなのに、王は信じてくれなかった。さらに俺は一歳の時から多才を発揮して、王に気にいられていたんだ。だから…叔父は罪を犯したとして執事のほうに下げられ、ヴァルも王子の器ではないとされ、俺の召使となったんだ」


「……そうだったんだ…」


 「まあ、奴隷に下げられるよりもいいからよかったけどな」


つまり……えーっと…いろいろと複雑だけど、一応血はつながっているんだ。だからヴァルを王子にしてあげられると。


「イオはなんで、ヴァルに王子の座を譲ろうと思うの? 」



「……俺は今までヴァルに我慢させてきた。だから今度は、ヴァルがわがままでもなんでも…自由にするべきだ。俺は、ヴァルを楽にしたあげたい」


「……そっか」


 私はいつの間にか座り込んでいたことに気づいて立ち上がる。そしてイオの手をひいた。

「それならさ、ヴァルを探しに行こうよ! 早く迎えに行こう! 」


「!! ……ああ」


イオを立たせて、窓に向かった。


 その時。


「その必要はないよ」


―――ヴァルの声だった。


「ヴァル!! 」


 窓からヴァルがするりと入り込んでくる。


「どこいってたの、心配したんだよ、ヴァ……え…? 」


「聖恋! 危ない!! 」


ヴァルの陰から少女が飛び出してきた。飛び出してきた少女は私の首めがけて腕を伸ばしてきた。いきなりのことに判断ができず、私はただ茫然とこれから起こることを眺めようとしていた。

 その間にイオが飛び出してきて、少女の動きが止まった。少女はイオを見て、何かをためらったようだった。


「どうしてこんなことをする、百合! 」


「え……? 」


イオの知っている人…?


「別に? その子の首に巻いてある赤いリボンが邪魔そうだと思ったからとってあげようとしただけだけど? 」


「嘘だな」


少女はにやりと笑う。少女の見た目は気の強そうな美少女だったが、その醜い笑みが少女の美しさを台無しにしている。


「お前はこのリボンで聖恋の首を絞めようとしただろう? 」


「へえ…なんでそう思うの? 」


「手がそうしようとしていた。それが最も早くやりやすい手の形だったからだ。一瞬ただリボンをほどくだけかとも思ったが…お前がそれだけで終わらせるわけがない」


「ああ…そうかもね。否定しないわ」


「それに…今の俺は誰の子供か知っているだろう? 魔女だ。人の心を覗くことくらいたやすい。お前は最近俺と聖恋が仲良いことに嫉妬していた。そして、聖恋を離れさせようとした。あわよくば死んでしまえとも思っていた。そうだろう? 」


「…そうね、あっているわ。何もかもお見通しのあなたに隠すことなんてないわ」


 少女はくすくすと笑った。そして私をにらんだ。


「聖恋……。邪魔が入って残念だわ。でも、目的も理由も知られた以上、隠す必要もなくなったわ。そして…私が手を下すことも」


少女の顔は黒い笑みにすり替わっていく。何を言われるか、わかっていても怖い。聞きたくない。嫌だ。…でも、緊張した私の体は私の言うことを聞いてくれなかった。耳をふさいでくれなかった。逃げ出してもくれなかった。…いや、逃げ出すのは卑怯だと思っていたのかもしれないが。


「だから……死んで」


ひゅっと、息が吸い込まれる。覚悟していたけれど、かつて一度も言われたことのない、この世で私が最も嫌う言葉を今初めて人から言われて、胸が切り裂かれたかのような気分を味わった。


 「百合!! 」


イオが声を荒げるが、少女はもう全くためらいもしない。この少女は、イオにとってどういう存在なのだろう? イオは、この少女にとって、どんな存在なのだろう? 知りたかったけど…それを聞く勇気はなかった。

 こんにちは、桜騎です!今回はヴァルに○○を話してもらおうと思っていたのに、文章とこだわりがそうさせてくれませんでした…。というか、ネタで思いついたことは書くんですけど、途中のは書かなくて…その○○がなんだったのかはあまりはっきりとは覚えていません。うっかりしてました…。次回はその○○をヴァルに話してもらおうと思います!ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!

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