表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫とヴァンパイア  作者: 桜騎
本編
14/50

関係

「ん・・・美味しかったー! 」


私たちは弁当を食べ終えた。


「じゃ、ヴァルを捜しに行かなくちゃね! イオは校舎内の1階から2階を捜してくれない? 私は3階から4階を捜すから」


「あぁ、わかった。じゃ、また後で」


「うん! 」


私は弁当の片付けがある為、イオを見送った。


「二人そろって何をしてるのかな? 」


・・・? 今のは・・・。

「ヴァル!? ちょ、今まで何してたのよ! ずっと捜してたのよ! 」


「あっはは! ごめんね、美味しそうな血の女の子がいたから、ついつい・・・」

今、なんて・・・? 美味しそうな女の子?


「ヴァル、まさか・・・吸血してきてはいないでしょうね? 」


「え〜? どーだろー? 」


「ねぇ! ちゃんと答えてちょうだい! 吸ったの? 吸ってないの? 」


吸ったのなら、ちゃんと謝りに行かなくちゃ!


「謝りに行く、じゃなくて、ホントは口止めに行かなくちゃって考えてるでしょ? 」


・・・今の、私の考え、読まれた?


「そ、そんなこと無いわよ! 」


「ふふ! 君って考えてることがすぐ顔に出るから、わかりやすいんだよね! それを指摘すると面白いし・・・かなり気に入ってるよ? 」


うわ、嬉しくない。

私はヴァルを無視して、お弁当をさっさと片付けた。


「ま、いいからイオを呼びに行こう? さっきヴァルを捜して1階にいるんだよ」


私は一人でさっさと歩き始めた。・・・けど、足音はついてこない。振り返ってヴァルを確認すると、ヴァルは私に背中を向けていた。


「・・・ヴァル? どうしたの? 」


「うん、知ってるよ」


「え? 」


「イオが1階にいることは、知ってるよ」


ヴァルは無表情でそう言った。


「・・・ヴァル? 」


なんだか今日は2人とも変。イオはなんか隠し事をしてるし、ヴァルはいつもより笑ってる所を見ないし・・・。

と、思っていたら、ヴァルは振り返って笑って言った。


「喉、渇かない? 」


言われてみれば、お弁当しか持ってきていなかったため、喉はカラカラだと気づく。イオも、飲んでいなかった。でも、それだけじゃおさまらない感じがする。なんだか、もっと満たされるものが欲しい! そう思った。


「・・・何? この感覚・・・」


すごく、すごく、誰かの近くに行きたいと思った。そして、首筋に牙を立てて・・・熱くて、紅い液体を沢山、飲みたいと思った。


「何よ、意味わかんない! 」


熱くて紅い液体って・・・


「血」


ヴァルはいきなり笑い出した。いつもの事だから、あまり驚かなかったけれど、ヴァルの笑い方がなんとなく怖かったから・・・無意識に喉を抑えた。


「そうだね・・・血だよ! 」


一歩いっぽ、ヴァルは私に近づいてくる。私はそれが怖くて後ずさっていく。


「血が、欲しいでしょ? 我慢出来ないくらい! 」


私とヴァルの間、残り10歩・・・9歩・・・8歩・・・7歩・・・6歩・・・5歩。


「そして、それは何でかわかっているはずだ! 」


1回、瞬きをした。その一瞬で、残りの5歩はヴァルの大きな歩幅が難なく飛び越えられて、すぐ近くになる。わたしから見たら腕を伸ばせば届く距離。ヴァルからすれば・・・少し屈むだけで私の首筋に噛みつける距離。その距離には覚えがあった。これは・・・初めてあった時に吸われた距離。

それがわかると、体は自然と震えだした。自分では押さえられないくらいに。微かな震えなのに、力を込めたら止められそうなのに・・・力を込める力さえないくらいに、力なく震えていたのだ。ヴァルはにっこり笑って近づいてきた。これ以上は目を開けていられなくて、力強く目を閉じる。


「それは、君が、ヴァンパイアだからだ」


耳元でヴァルの声がした。最も首筋に近い距離に再び恐怖を覚え、体が強ばった。


「君は、我慢出来なくなったイオに血を吸われたね? こんなふうに・・・」


「いっ・・・! 」


首筋に牙が食い込み、ぶつりと穴を開ける。


「それも、結構な量を。君はあの時、ヴァンパイアになったんだ」


あぁ・・・それも、知ってる。私が、許したんだから・・・。


「お母さんを守る為に」


「・・・イオの、為に・・・」


私が我慢させていたのが悪かったのだ。でも、そうじゃなくても、同じことになっていたと思う。


「そう。君はイオの為に血を捧げたんだ。だったら、今度は君が吸わなくちゃ。同じように・・・」


「でも、誰の・・・? 」


その時、ヴァルが笑った様な気がした。


「友達で・・・」


「・・・え? 」


「君は、イオが大切だったから血をあげたんだ。だったら、君を大切に思っている友達にお願いしたらどうかな? きっと喜んで差し出してくれるんじゃない? 」


でも、それはきっと、犠牲になるものがうまれる。


「そうだね。もし、吸っちゃったら、もう元の関係には戻れないかも知れないね? そうだよね、君の正体を知って、君を恐れるようになるんだから! 」


だから、それは嫌だ!

ヴァルは両腕を、私の体にまわした。


「ねぇ、そろそろ喉が干からびちゃうんじゃないの? 」


ヴァルはまた私に牙を立てた。嫌な音がたって、血が抜けていく感覚を味わう。吸われて、吸われて、吸われて・・・。吸われる度に喉が乾いていく。


「どうするの? ねぇ? ・・・もう、関係を保とうなんていいじゃん! そんな考え捨てちゃえば。この世は弱肉強食。弱い事が悪いんだから・・・」


その時、足音がした。ヴァルはそっと腕を解き、私の視界をクリアにしてくれる。


その足音の主は、私の友達だった。


「なん・・・で? そんな偶然・・・」


「心配はいらないよ。君は純血じゃないんだから、吸ったって彼女までヴァンパイアになったりはしないよ? 」


「っ! 」


さっき噛まれたところが疼く。酷く疼いて、私の意識はどこかに飛んでしまいそうになる。


「う・・・あう・・・」


私は一歩いっぽ、友達に近づいていく。嫌だ! 吸いたくない! ・・・壊したくない・・・。そう思っても、自分の意思では止められない。


「・・・どうしたら・・・! 」


その時、別の足音も聞こえた。


「・・・こうすれば、いい」


しゅる、と私の首に何かが巻きついた。これ・・・は?

こんにちは、桜騎です!今回は聖恋が最大のピンチになりました。そこに現れた救世主とは?次回へ続く!


・・・アニメ風に書いてみました。すみません・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ