合コンのゲーム
まあまず合コンでウミガメなんてしないでしょうけども。
「もう何だかやり取りすべてがカオスよね、怒る気もなくしちゃったわ」
「僕はこの合コンに呼ばれてみたけど、どうも幹事は勇人君にはふさわしくないみたいだよね?ここは一つ年長者の僕、田中春人が提案があるんだけど翔子さんどうかな?」
「まずはどんな提案なのかお聞かせ願えるかしら?」
元副生徒会長の癖が出て、腰に手を当て胸を張り、つんと澄ました顔をする翔子。
「うん、そうだね、せっかくこうやってみんなが集まったのだからいがみ合うようなことしててもつまらないんじゃない?」
「それは合コンなんですら、そうでしょうけど……」
「そう、合コンなんだから、せっかくだし何かゲームでもしないかな?」
「王様ゲームとか?」というのは今日子。
「今日子、頭固いぃ、あれはきわどいよ。古今東西ゲームの方が性格考えなくていいし無難かな、あっでもさ」は翔子。
「あっもしかして、春人さんの提案って! 心愛はたぶんABCゲームとか、10円玉ゲームだと思う!」心愛
「10円玉ゲームはないでしょ、お互いに性格ある程度わかってないとおもしろくないんじゃないかな?」輝。
「心愛ちゃん、鋭い! そうだよね、僕達の集まりって何だか女子会みたいじゃない? そのノリで赤裸々な会話になるほうが面白いよね? ABCゲームから始めてみようかな」
「いえ、春人さん、ここはこの翔子に提案が、あります。ずばり、『ウミガメのスープ』をやってはいかがでしょう」翔子
「へーウミガメか」勇人
「なっ何ですか、その『ウミガメのスープ』っていうのは?」輝
何か翔子と勇人の会話に面白くないものを感じた輝は興味ををそそられ、とげとげしく質問した。今日子から見てかなりめんどくさい奴だ。しかしその分愛が深いのだろうか?今日子には分からない。
「僕も興味あるな」春人
「俺も知りたいかな」今日子
「どんな料理なのだ?」心愛
待ってましたとばかり、腰に手を当て、胸を張り解説を始める翔子は堂々としていて立派である。
今日子はこんな翔子が好きだった。人として憧れを抱かずにいられない。
「おっいいねいいね、みんな興味持ってくれたみたいね。じゃ早速説明するね。いい、ウミガメってね、ここではみんなに対して私が出題者になるの。でみんなは私にイエスかノーで答えられる質問をぶつけていくのよ。それに私は答えて行き、答えを導き出すわけ。そういうゲームなんだけど、まあとりあえず私と勇人でやって見せようか、いわゆるチュートリアルってやつね」翔子
翔子は勇人にウィンクし、勇人は軽い敬礼で返す。
輝にとって、知らない二人の関係に嫉妬しつつも、どこか入り込めない関係は眩しくもどかしかった。こんなふうに僕と勇人はなれるのだろうか。そう思い、寂しそうな顔になってしまう輝だ。
「まずは例題ね。ある男はレストランに入り、ウミガメのスープと書かれた一品を注文しましたが、そのスープを一口飲むなりシェフを呼び付け、このスープは本当にウミガメのスープなのかを問い詰めました。その話を聞いた男はその日のうちに自殺してしまいました。なぜでしょうか?」翔子
「そのスープは本当にウミガメのスープでしたか?」勇人
「イエス。良い質問です」翔子
「自殺とスープは関係しますか?」勇人
「イエス。良い質問です」翔子
「スープの味は不味かったですか?」勇人
「ノー。味は直接関係しません。ですが……?」翔子
「男の過去と関係しますか?」勇人
「イエス!大変いい質問です。ではどんな過去でしょうか」翔子
「どんな過去だったのでしょうか?」勇人
「その質問には答えられません、イエスかノーかで答えられる質問にしてください」翔子
「最近の出来事でしたか?勇人
「ノー。最近でもないですが、そこは重要ではありません」翔子
「現代でも成り立ちますか?」勇人
「イエス!重要な質問です。もし飛行機が墜落したと考えるなら……」翔子
「なるほど、ではそこは無人島や、極地のような場所ですか?」勇人
「イエスノー。そのほうが自然ですが、必ずしもそうとも限りません。ですが、良い質問です」翔子
「人は死にますか……」勇人
「イエス!超重要な質問です!」翔子
「飢餓とか、食欲関係しますか?」勇人
「イエス!重要ですよ!まとめられますか?」翔子
「いえまだ、人肉食しませんよね?」勇人
「ノー!します。ここが最重要点です」翔子
「……男は遭難し、やむにやまれず、ひとにく食いますか?」勇人
「イエ~~~ス。しかし、答えにはなっていませんよ」翔子
「ほかにも仲間というより生存者いましたよね?」勇人
「イエス」翔子
「仲間にこれはウミガメのスープだから飲めと強制され、それによって命をつないだものの、実はそのスープの正体は人肉だった」勇人
「正解です! 勇人ありがと」翔子
「気持ちわるいよぉ」心愛
「げえ、想像しちゃったよ」今日子
「でもおもしろかったよ、これをみんなでやるんだね」春人
「そうだとして、一体だれがそんなストーリー考えるのさ?」輝
「今回、私が用意してきたわよ」翔子
「さすが翔子、元副生徒会長だけあるな、なんていうのか面倒見いいっていうのかな」
感心したように今日子はうなずいた。
「翔子といて母親っぽいって言うのかな? すごく癒されるっていうのがあったよ。安心できるっていうのかな、女性の温かさみたいなの」
同調する勇人
「だからって、あんたとはもうやっていけないからね。そこは譲らないから」
翔子はきっぱりといいきるのだ。
翔子の用意した問題のテキストは次の通り。
「メールを読んでいたカメオはすぐさま友人の家に押しかけ、子供のランドセルにオレンジのカバーを掛けました。なぜ?」
「問題文聞く限りでは何だかシュールな感じがするんだけど」今日子
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