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ここあと翔子

女子同士の楽しい悪口大会です。書いててたのしーぜ!

ではみなさんどうぞ!

「ひっどい言い方なのだ~ぷんっ」

 ここにいない誰かの悪口を言うことは何よりのストレス発散だ。だから女の友情は長続きしない。

「たぶん今日子の狙ってるのって、友情結婚よ。ゲイとレズの偽装結婚、薄汚いわね」

「ゆうじょうけっこん? 初めて聞く言葉なのだー」

「世間を欺く偽装よ、最初から嘘ばっかり、幸せになれるわけがないわ」

「???」

 心愛の耳には偽装が理想に聞こえている、偽装こそ理想と。

「今日辺り今日子の方から接近してるんじゃない? そんな雰囲気してたわよね」

「あ~ちょっと妖しかったかも」

「でもきっと上手くいかないわ、だってゲイって女の身体に興味ないもの。それどころかキモいって思ってるんじゃない」

「なんかそのときの動画見てみたいかも、超面白い動画になりそうなのだ。ザッ神動画!」

 翔子は今日子の口真似をして演じる。

「俺とキスするのに何でそんな嫌な顔すんだよ! 女の子バカにするなよな!」

 表情まで今日子に似ていたのか心愛も大きな声を出して笑い転げる。

「ウケル~! ウケル! マジウケルんだけど!」

 それからも今日子をネタにして心愛と翔子は大盛り上がり、いつの間にか心愛にも酒っが入って話は色んなところに飛んでいく。

「そういえば彼氏の凜さんだっけ、他にも嫌なとこあるでしょ?」

「あるあるって感じだよ~例えばおなら問題とかかな」

「わかるー私もお父ちゃんのおなら臭いときって思わず二度嗅いじゃうもの、臭いのに何で二度嗅いじゃうかね。くさっ、でも思わずもう一度くさっってね」

「あるよね~わかるわかる! ってリンリンのおならホント臭いときあってさ~なんでHの後にするかな~ってタイミングでしてきてマジ最悪!」

「それで別れないでいるなら結婚までいけるかもね、いいリトマス試験紙だったんじゃないの、笑えるけど」

 好きとかの感情だけで一緒に居続けることなんて無理なこと。相手の嫌なとこだって認めなきゃいけない、どうしようもなさ。そんなどうしようもなさを笑い飛ばせるずうずしさが女同士にはある。

「その調子だったら凜君と一度話し合ったほうがいいよ心愛」

「うっ、やっぱりその話なのだ~、でも男ってそういう話するだけで傷つくものじゃないかな」

 そういって心愛は人差し指を頬にあてる。

「あーなんとなくわかるわ、例えば男の子ってどうしてあそこのサイズとか気にするみたいな感じの話よね?」

「そうなのだ~~! マジで大きければいいなんて思い込んでるフシがあるのだ~バカかってゆーのだー、ぷんぷん」」

「……多分きっと自信を確かめているんだと思うのよ、少しは理解もできるかな」

「心愛は理解出来ない~~」

 びしっと正拳突きのポーズを決める心愛。

「心愛の気持ちもわかるけど、少しは理解も出来るようにならないと一緒にいてて苦しくない? 多分男なんて似たり寄ったりのとこ持ってるよ、まあロリはキモイけど」

「なによ上から目線で……」

 心愛は翔子をにらみ付け、翔子はその視線を見るとも無くかわす。

 険悪な雰囲気が漂いだして、すぐに翔子は会話を止めた。あまりにも女性的な心愛はどうしても感情的になりやすい、大学からの付き合いだが、さすが元副生徒会長なのか、そのバランス感覚が心愛との喧嘩を止めた。

「……少しトイレ行ってくる、おつまみも取ってくるから……」

 席を外す翔子の後に心愛は頬を膨らませ、両手の人差し指をつついて、もじもじさせている。

 (なによ翔子偉そうにして、……苦しいわよ、そうよすっごく苦しいんだから。分かってる様な事いって、何が分かってるのよ。…

………………………………………………………………………、翔子遅い)

 友達とはいえ他人の家の一室に残された心愛は奇妙な寂しさというか孤独感を味わう。

(うーーーなによあいつ、早く戻ってきてよ、なんか変な気分なのだ~この部屋蛍光灯が明るい~、心愛の趣味と違う~、料理の本が多い~、園芸の本が多い~、ババ臭い~。もう30分もたつ~)

それでも翔子は戻ってくる気配が無い、何か手の込んだ料理でも作っているのか、二階は誰も居ないでシンッと静まり返っている、耳が痛いくらいだ。

 その静かで孤独な時間は心愛に反省をうながした、翔子の気持ちを感じ、理解し、共感する心愛。心愛は心の中で翔子に謝り、感謝する。

お互いに理解出来ないということの切なさ、空気、虚しさ、それでもそのどうしようもなさと向き合っていくしかない、どうしようもなさ。

 (今日子の言っていた男の子の自信って何なのだ~? ここあわかんない。ホントにわかんない、男の子の気持ちがわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんないわかんない~~~~)

 結局はパートナーのことが分からないから苦しいのだろうか? そんなことを心愛は感じ始めていた。


「ごめんね、心愛。お待たせ、ちょっとおつまみに手間かけちゃって……」

確信犯的な笑顔で翔子は戻ってくる。

 いろいろめんどくさいことが落ち着いたのか、心愛も少しもどかしそうに酒を飲みだし、翔子の作ったつまみに箸をつける。

「アレっこのおつまみちょっと美味しいかも……」

「でしょ~もっとほめていいよ心愛」

「心愛のお嫁さんにしたいのだ~! しょこたん結婚して~!!」

「ブッハハハッ! そのセリフ今日子にいってあげなよ。顔真っ~~~赤にして喜ぶよ! あー目に浮かぶわね」

「きょこたん女にはマジ何回も求めてきそうでコワイ」

「大丈夫、あのコ案外たんぱくだと思うよ~」

 ………………………………………………

「しょこたん、さっきはごめんね。そしてありがとう」

「なんかすっかり落ち着いたみたいね、よかったわ。私から言いたいのは二人でよく話し合いなさいってことよ、二人だけの世界なんだし」

「しょこたんなんかお母さんみたいなこという~」

「だから恋愛上手くいかないのかな? でも次はいい男ゲットするわよ!」

「心愛応援する!」

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