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心愛ちゃん、目撃する

少し刺激の強い所があるかもしれません、苦手な方はご遠慮ください。

 翔子と今日子が海を見ながら話しているうちに、トラックの中では春人が心愛に男の体に付いての説明をしていた。


「心愛ちゃん、君の彼氏の凜君の事、僕は良くわからないけど、多分凜君は犯罪犯しても小学生とかに手を付けることはないと思う」

「どうしてそんなことが言えるんですか? 心愛の彼氏はロリコンの変態さんです」

「そこ、論理的にオカシイから。心愛ちゃんの感情的にはそうなのかもしれないけど、大体ホントに重度のロリコン、医学的にはペドフィリアっていうけど、もし彼がそうなら君との関係を維持できない可能性すらあるんだよ。でも、そうじゃないでしょう?」

「そうだとするのなら、どうしてそんな気持ちの悪いもの、沢山隠していたりするんですか? 心愛を馬鹿にしてるんですか?」

「ごめん、言い方が悪かったかも、じゃあ別の言い方をするとね、男の身体にはマスターベーションが必要なんだ。こういえばわかる?」

「心愛という自分の彼女がいるのに? そんな話信じられません」

「かもね、そういうのも無理はないね。でも今時ネットの医学的アンケートの結果を見ても間違いないんだ」

「…………」

 心愛にとって聞きづらいことはだまって無視したい。

「男にとってのセックスとマスターベーションは別物なんだよ」

「じゃあ何で、ロリコン物ばかりが、HDの中にあったのですか? 心愛には信じられません」

「心愛ちゃん、多分ほかのファイルも探してないでしょ? 僕の勘だけど、他には大人の女性の動画とかもたくさん隠していると思うよ? 嫌かもしれないけど探してみれば?」

 心愛には心当たりがあった。そのファイルだけを除いて気分が悪くなりPCをとじてしまっていたことを。

「もっもしそうだとしたら、何で凜はそんな気持ち悪いもの見ていたんですか?」

「うん、そう思うのも無理ないよね。分かる分かる」

 実際春人にも思い当たることは山の様にあり、今も悩むことはたくさんある。

「だけどね、男のマスターベーションにはいわゆるオカズってものが必要なんだ。ここまではいい?」

「えっ……ええまあ……」

「そのオカズも毎日同じものじゃすぐ飽きちゃうんだ。いいかな?」

「まあ、わからなくは……」

 渋々同意する心愛。

「だから、そういった変わったオカズも必要なんだよ。それにきっと行為のあと、罪悪感でいっぱいになるものなじゃないかな、その被害者の子に内心悪いなって思ってると思うよ」

 そういって春人はじぶんの性癖あらためて感じぜずにはいられない。男の子の身体が分かるし、心愛ちゃんの様な女の子の気持ちも同意できる自分が疎ましくなってしまう。甚だゲイには悩みが多い。

「じゃあ男の人はみんなそんなにオナニーの事ばっかり考えているんですか? 気持ちが悪い」

「残念だけど男の子ってみんなそうなんだよ。許してあげられないかな?」

「許せません! 絶対に許さないんだから!」

「例えば、君のおとうさんなんかがそうであっても?」

「えっ、お、おとうさんが?」

「それはもう間違いなくそうだよ。どうなの?」

 心愛は父親がそうだとは考えたこともなかった。

「ゆっゆるせないかも……」

「でも多分、お母さんはそんなこととっくに分かっていて今も一緒にくらしているんじゃないのかな? あごめん、離婚とかされていないよね」

「そんなこと、母親と話したことなんかないから……」

「そういう家庭の子も多いのかもね。家族の中じゃ性癖に付いてオープンにはなしずらいのかもね」

「…………」

「ねえ、今の話で、お父さんお母さんを汚らしく思っちゃったかな? ごめんね、そういうつもりで言ったわけじゃないから。でももしかしてそう思っちゃったら、君はもう自殺でもするしかなくなるんじゃない? これじゃ僕が相談に乗ってる意味なくなっちゃうねえ、医者の卵なのにさ。でも、きみのご両親は仲良くやっているんじゃないの? 強いよね、逞しいよね、凄いことだよね。そうやって人間なんて生きて来たんじゃないのかな?」

「…………」

 頭では納得するけど、心が拒否する心愛。

「もう、僕からは何もアドバイスはないよ。何だか説教臭くなっちゃったね」

「そうですか……」

「?」

「説教したからって、相手が納得するわけじゃないですよね?」

「まあそうだよね」

「じゃあ、春人さん、ここでして心愛にみせてください」

 心愛は真っ直ぐに春人の眼を見つめて言う。

「してみてって……まさか!」

「そうですよ、そのまさかですよ」

 さすがの春人も驚きの表情を隠せない。

 その眼を心愛は真剣な目でサジタリウスの矢の様に射貫いてくる。心愛は本気だ。

「そんな、ノンケの女の子の前で……」

「でも、男の子の身体ってそうなんでしょう?」

 ぐうの音も出せない。

 春人はここきて、初めて心愛の眼を真剣に見る。目と目が初めて合った。

 濃密な時間が車内に満ちてくる。二人は黙ったままだ。

 その沈黙が春人に悟らせた。(この子は頭と心で納得しよとしている、本気で受け入れようとしている……)

 その後も一体何分もの時間が過ぎたのだろうか?いや、もっとなのかもしれない、永遠とも感じられる時がたち、春人は決めた。

「わかった、できるかどうかわからないけど……してみる」

「……はい」

「僕も本気だから、ちゃんと見届けて」

「もちろんです」

 春人はドライバーズシートから後部座席に移り、ひとり想像を膨らませた。手元にテッシュボックスを置き、ベルトをカチャカチャと外し、おもむろにパンツを膝まで下げる。



 行為の後、春人はテッシュを丸め。下着とパンツを腰まで上げ、ベルトを締めた。

 そして、後部座席から降りて、丸めたテッシュを黙って近くの水路に落とす。

 それから咥えたばこの今日子と翔子のところまで歩いていった。

 三人が海を背にして何か話し合っている。

車の中にいる心愛はぼうっとしながら、その様子を眺めていた。「今日子、誰にも話さないって約束破った」ぼそり呟く。

「とりあえず、心愛は一晩私が預かるわ」

「翔子なら任せておけるな、俺んちだと居づらいだろうから、頼むぜ。それより春人さん、今日は忙しい所、ホントにありがとうございました」

 最敬礼をする今日子。

「ちょっとびっくりしちゃったけどね、役にたててよかったよ。帰りにみんなでご飯でも食べていこうか? どう翔子さんは?」

「ああっ大賛成です! お腹減っちゃてて、痛い位だったんですよ」

「じゃあ、この近くに旨いラーメン屋知ってっから、そこ行こうぜ。俺運転させて」

ラケンではここで終わりなんですが、もう少し続けます。

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