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そして数日後


「どうだった?」


私は最近はやや目の赤い夢咲さんに聞いてみた。


「うう・・・」


彼女は俯いて軽くうめくと私の前の席に座ると私の机に突っ伏した。

私は自分の席に座り、暇つぶし用の本を取り出し開く。本の字を追いながら私の机を占領する友人に聞いてみる


「感想は?」

「バカみたい・・・」


未だ突っ伏したままの彼女に苦笑を漏らす。


「結構厳選したのよ?」

「・・・わかってる。面白かった。けど・・・」


私は本からサラサラの髪のつむじに目を落とす


「知らなかったの」


彼女のくぐもったつぶやきに口角があがる。


「なにが?」

「乙女ゲーがあんなに難しいなんて知らなかったのよ!」


立ち上がり、こちらを睨むように見つめるその顔は真っ赤だ。

周囲の奇異なものを見る視線が痛い。それに気づいた彼女の顔が更に真っ赤に染まる。


「で、逆ハーレム・・・」

「言わないで!」


私はにやにやが止まらなかった。




「結局の処さ・・・」

「乙女ゲームを舐めきってました。すみませんでした」


全てを言い切る前に望が頭を深々と下げる。

私の前にはチーズケーキとロイヤルミルクティー、そして何故かあれ以降、ポットも一緒にやってくるようになった。


「うう・・・だって、攻略対象一人落とすのに3回やり直すくらい難しいなんて思ってなかったんだもん。好感度の他にパラメータがあるなんて」

「まあ、望の妹の語りも悪かったんだろうけどね」


私はチーズケーキをパクリと一口含み、上がる口角と共に幸せを噛みしめる。


攻略対象を落とすのは本当に大変なのだ。初期の選択肢を間違えただけで、そのキャラのへのルートが閉ざされる事はざらにあるし、最後の詰めで外してバッドエンドかと思いきや、ノーマルエンドなんて事も珍しくない。


「ましてや逆ハーレムルートなんて、全キャラ攻略した後のご褒美みたいなものなんだから、簡単なのは当たり前よね」

「うう・・・隠れキャラがどうやっても出てこない・・・」

「あれ、ランダムに発生するイベントだから根気が必要よ」

「・・・攻略本貸してください」

「攻略サイト見た方が早いと思うけど。でもまあ」


ロイヤルミルクティーをゆっくり味わうと、恨めし気に見える望の顔を見て、にっこり笑う。


「参考になったでしょう?」



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