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たくさんの秘密が ①  作者: 木奈小芽衣
5/5

発覚

俺の中で点と点がつながって、急に目の前にいる武治叔父さんのことが怖くなった。

それでも武治叔父さんは淡々と語った。

「出火の原因は絶対俺たちが二階でタバコ吸って畳に踏みつけたせいだと俺は今でも思ってる。でもお袋が聞いてきた話では、ゴミ屋敷だからいろんな発火の原因になる物があって、それで自然発火したってなってるみたいだった。一階が激しく燃えてたらしい。俺らが二階で畳燃やしたけど、火種が下に落ちて…やっぱりどう考えても原因は俺らなんだよ。タイミング的に。なあ、翔太、放火の時効ってもう成立してるよな?」

俺は変な汗をかきながらできるだけ冷静に答えた。

「…た、たぶん、してると思うよ。えっと、武治叔父さんがやっちゃったのって何年前になるの?」

「40年くらい前」

「あ、だったら大丈夫なんじゃないかな、多分」

俺の精一杯の返答をちゃんと聞いたのか聞いてないのか、武治叔父さんの反応は薄かった。さらに、俺の言葉なんてどうでもよかったのか、話を続けた。

「…俺らが突入して、火が出て、たまたま住んでる奴は家にいなかった。それだけならまだ普通だったんだがな、ここからが正直、未だに意味が分からないんだ。結論から先に言うと、焼け跡から少なくとも16人分の遺体だか骨が出てきたらしい。」

「え?」

…確かに、意味が分からない。

「俺が推論すると、こうなる。あの一人暮らしの爺さんは女性を家に連れ込み監禁状態にしてた。それを隠すためにわざと敷地内をガラクタで埋めてた。それ以外考えつかないんだよ」

俺は不気味すぎる話に鳥肌を立てていた。

「仮にそれが真実だとして、生き残った爺さんはどうなったの?」

「わからないんだ。身寄りもいないみたいで。普通火事が起きたら、無事だった荷物取りにくるものなんだが、あれから 俺は一度も爺さんを見てない。近所の噂でも、誰も見ていない様だった。」


「翔太君!武治!夕飯食べてくの!?」


一階から叔母の声が聞こえた。

その一言で俺は叔父の恐怖のワールドから抜け出すことができた。


焼け跡から16人?信じられない。叔父達のタバコの火で16人が亡くなったのか、すでに亡くなってた16人だったのかはわからない。


「今日は俺の話聞いてくれてありがとな。人にこの話するの初めてだったんだ。翔太は口が堅そうだから聞いてほしかったんだ。長年背負ってきた罪、今更だけどどうやったら償えるかなぁ。少なくとも不法侵入と放火は確定だし…」


「武治!夕飯どうするの!?あんたの嫁さんから電話きてるよ!」


叔父は叔母に「今行く」と大きな声で返した後、何事もなかったかのように「翔太、今度はパチンコ必勝法教えてやるからな(笑)楽しみにしてろ」

と言って帰って行った。


一階に降りると叔母が台所で夕飯の準備を始めてた。「まーた武治に悪いこと教えられたんでしょ?ほんっとダメな弟だわ。翔太君もあんまり武治の言うこと鵜呑みにするんじゃないよ。あいつ、口がうまいから。天性の詐欺師なのよ。ほんっとにもう…」


武治叔父さんが俺に半日かけて語った事は、武治叔父さんのデタラメだったのか?

俺を楽しませるための作り話だったのか?

次武治叔父さんに会う機会があったら、もう一度聞いてみたいと思う。


あくまでこれから書くことは俺個人の推論だが、焼け跡から16人ってのは、もう亡くなってた方だと思う。一階から酷い臭いがしてたって言ってたから。

あと出火の原因は、叔父さん達ではないと思う。二階の畳燃えて、一階が激しく燃えるだろうか?火災の知識がないからわからないが。

仮に出火の原因が叔父さん達じゃなかったは場合を考えると、怖い。

一階の見つかってはまずいものと、それを探しに入った5人。屋敷の爺さんは全てを見ていて、全部燃やしてしまおうと思って火を着けたのかもしれない。

で、爺さんは生きたまま姿をくらましたってことは、また別の土地で同じことをしたのかもしれない。

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