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炉端物語

作者: 藜ヶ原

 わたしは冬がきらい。

 けど、冬におとうさんが話してくれる物語は大好き。毎年の冬にはかならず話してくれる。

 まいにちではなくて土ようびだけだったけれど、わたしはその土ようびをあと三日、二日、あと一日と、ゆびおり数えていつも楽しみにしていた。


 話してくれるばしょは、決まってだんろの側だった。

 木でできた長いいすに座るおとうさん。

 わたしはそのひざを枕にして、おとうさんの優しいお顔をみあげる。そうするとおとうさんはお話しをはじめる。


 おとうさんのお話しは、気持ちをゆらゆらと調度いい力かげんでゆさぶってくる。


 ――わくわく期待したり


             ――はらはら心配したり


 ――しくしく悲しんだり


             ――くすくす笑ったり


 ――ぷんぷん怒ったり


             ――にこにこ喜んだり


 物語によっていろんな気持ちになるけれど、お話しが終わるといつもおんなじ気持ちになる。それはしょんぼりとしたような……がっかりしたような……もう終わってしまったんだなぁという気持ち。


 それでも次の日からはゆびおりの日々がおとずれてしまうんだけど、なれてるわたしはそんな気持ちさえも楽しみにしていた。




 そして――今日もまた物語の日はやって来る。




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