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はじめまして

「おじゃましまーす」

 間延びした声。複数の声たちが、あたしを追いたてる。ああ、お客様が来てしまった。各域の王子や姫たち。

「少々お待ちくださーい!!」

 馬鹿でかい声で怒鳴り返すと、王子の部屋に飛び込んだ。


「王子!王子ってば!!」

 ベッドの上で丸くなってもぞもぞしている王子を、ひたすらに叩く。揺さぶる。叫ぶ。

「王子・・・。」

 人一倍朝が弱い王子。こりゃ、ウチの兄弟たちよりも手ごわい。仕方なしに、最終手段を使うことにした。

「必殺☆朝だぞ、起きろーーー!!」

 少し助走をつけてからの、飛び蹴り。見事、お腹に直撃。

「ウッ・・・・」

 くぐもった声に、朝っぱらから死にかけの顔。

「王子、起きましたか?」

 これを食らわせて、起きなかった兄弟はいない。もちろん、急所は外しているから死に至ることはないが、相当苦しいはずだ。

「ひどいよ・・・リュート・・・」

「起きなかったバツですよ!みなさん、来てらっしゃるんですから、早く支度してください。今からご案内しますからね!!」

 言いたいことだけ言って、さっさと王子の部屋を飛び出す。


「お待たせしました、ご案内します」

 ペコリとお辞儀をして、お客様の顔も見らずに前へ立って歩き出す。ちらりと見えた白・黄・赤の髪が、ちょっとだけあたしを安心させた。


「こちらです」

 コンコンッとドアをノックして様子を見る。よし、王子はきちんと身支度を整えたようだ。

「いらっしゃい」

 大きくドアを開け、お客様を通す。そのとき初めてしっかりと顔を見た。どのお客様も、端正で魅力的な顔だち。

 王子の予想に反し、各域の王子や姫は誰もお供を連れていない。青や緑の髪より、サラサラで長い紫色の髪が、とても印象的だった。

 お客様の後から、しれっと部屋に入って王子の隣につく。

「リュート、こちらが紫域のリアニー姫。青域のトゥリアン王子に、緑域のラートン王子だよ」

「はじめまして、リュートと申します」

 小さなテーブル越しに、深くお辞儀をする。

 紫の綺麗な髪の持ち主は、リアニ―というらしい。綺麗で可愛らしい名前だ。

「でね、話した通り魔物の口が開いて・・・」


 淡々と、王子の説明の声が響く。あたしは、なにも言わずに隣にいる。

 これからどうなるのかなんて、そんなことわからない。ただ、この人たちをうまくやっていかなければならないということだけは、理解できた。


 自信はないけど、やってみようと思う。

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