悩んでもしかたないでしょう。
「うーん。」
首をひねる。
「うーん。」
王子も一緒に首をひねる。
「うーん。」
王が違う意味で首をひねる。
「あのねぇ。」
王が、やっと口を開いた。
「たぶん、魔物の口が開いちゃったんだな。」
「え・・・。」
王子がすごく驚く。その傍らで、あたしはなんのこっちゃわからない。
「私たちが行ったほうがいいんだろうが、仕事が忙しくて・・・。」
「それは、俺たちに行けということですか!」
王子、王。何を言っているんですか。まったくもって理解できていません。
と、心の中で叫んだのに。
「そういうこと。手順はわかっているだろう。よろしく。」
「お父様!!」
わけがわからないまま、会話が終了してしまった。
「王子、王子。」
部屋を変え、いまだに悩んでいる王子に話しかける。
「全く理解できてません!!」
「ああ、そっか。」
やっと、王子が話してくれることになった。
「なるほど。」
つまり。
この黒域は、黒魔術とか魔物とか、そういう闇の世界のものを封印する領域である。ということで、闇のものを封じている社が暗黒の森にある。俗に”魔物の口”と呼ばれているが、ま、そんなことはどうでもいい。問題は、今、その魔物の口が開いていること。魔物の口が開くと、この世界に黒魔術やら魔物やら、今日ハントしに行った悪夢が世界中に飛び出していく。となると、どうなるか。
「かなりやばいですね・・・。」
世界崩壊の危機。
「そうなんだよ・・・でね。」
この話には、まだ続きがあった。
その魔物の口を封印する方法それは、
「七色の王家みんなを集めること。」
そして、魔物のボスが出す試練に耐えるんだとか。
「なんと面倒な。そして、なんとファンタスティックな。」
思わず、眉をひそめた。
だって、七色というだけあって七つの領域がある。その王家を集めるとなると、絶対一人じゃなくてお付きの人がくる。ということは、二十人近くあつまるわけだ。
「あたしの兄弟より多い・・・。」
想像がつかない。
「いや、人数はいいんだけどね。」
あれ、そうでしたか。てっきり勘違いをしていた。
「試練っていうのが面倒なんだよ。」
「・・・でしょうね。」
そんな、ありがちな小説じゃあるまいし。なんで試練なんてのりこえなくちゃならんのか。
「はあ。」
「ふう。」
二人揃って、ため息をついた。
「ま、悩んでいても仕方ないし。」
突っ走る用意をしましょう、王子。