⑥ 作戦会議
村からほど近い森の中に、ちょうどいい草原が見つかったので、彼女たちは、そこに2台のビートルを降ろして、停車させることにした。
「実を言うとね…。」
クルマから出るなり、雪子がおもむろに二人の妹に語り出す。
「…私、ジャンヌに御宣託を告げる三人の天使って、てっきりアヌンナキたちだと思ってたのよ。」
「ああ、ナルホド。」
香子は素直に相槌を打つ。
「ほら、彼等って、人類の歴史に度々介入してたじゃない?だから今回もきっとそうだと…。」
「分かりませんよ。お姉様。」
横から由理子が言う。
「私たちの出現タイミングが少し早過ぎて、彼等のお株を奪ってしまったのかも…?」
「…それならそれで仕方が無いわね。まぁ、私たちの姿は、彼女から見て逆光だったから、余り姿は分からなかったかも…だからあの後、仮にホンモノが現れて、同じセリフを繰り返しても、モンダイ無しでしょ?」
「うふふ、そうかもですね~。」
由理子は何故か楽しそうだ。
「さて、今後のプランだけど…。」
雪子が二人を近くに呼んで、急に小声で話し出す。
「こんな所で…どうせ誰も聞いてませんよ。」
香子も一応、小声でツッコミを入れる。
「なんか、何処かでサン・ジェルマンが聞いていそうで、イヤなのよ。実はさっき、明智光秀の所でも、先回りされていたのよ。」
「ああ〜。」
二人の妹は納得した。
三人の姉妹は、その後も引き続き小声で談合を続け、プランの確認を終えた。
「じゃあ、イイわね?」と雪子。
「了解。そういう事で!」と二人の妹たち。
そこで一旦、2台のビートルは解散となった。
まずは、片田舎の農家の娘に過ぎないジャンヌ・ダルクを、どうにかしてシャルル7世に、面会させなければならなかった。彼女の父が、いくら地元の顔役だとしても、コレは中々の難題だ。
雪子は取り敢えず、4年後のジャンヌの元に現れた。
ただし、今回は彼女に、ハッキリと自分の姿を見せるため、光学迷彩の特装モードを使用して、どこから見ても、天使に見えるようにした。
つまり金色のウェーブヘアーに、フリル付きのふわふわワンピース、という出で立ちであった。ついでに背中には、大ぶりの白い翼を付けておいた。
いつも黒っぽいロングヘアーに、冬物のセーラー服姿しか他人に見せない雪子としては、自らの主義に反する、違和感バリバリの格好だった。
正直な話、この場に妹たちや、サン・ジェルマンが居なくて、彼女はホントに良かったと思っていた。




