㉙ 文化と文明
「ところで、そもそも、何の話なんですか?」
ジャンヌと一緒に同じテーブルの席に着いた鷹志が皆に尋ねる。
「高次元の文明人とは、どんなモノかって話よ。」
香子が言った。
「好戦的な人類は、次元が低いんだってさ〜。でも、二人目、三人目の奥さんと同時に仲良くするのは、次元が高いらしいよぉ〜。」
由理子は不貞腐れ気味だ。
「ああ、そういう文化って、確かに有りますよねえ。」
鷹志のまさかの肯定意見。
「えっ?」
目を剥く二人の姉妹。
「いや、ボクはもちろん、ユリちゃん一筋ですよ。くれぐれも誤解無きように!」
「あのお、私のトコロでは、王様は、たくさんのお妃様に囲まれてましたけど…。それに、私はカナリ好戦的と言えます…。」
ジャンヌはそう言って笑った。
「ジャンヌはいいのよ。だってソレは王室への愛、宗教への愛のためだったんだし、中世ヨーロッパのハナシなんだもの…。」
由理子がフォローに入る。
「愛のため、宗教のため、と称して戦争を始める。ソレも危険な発想です。」
猫王子のミケーネが呟いた。
みんな黙ってしまった。
「…とにかく、これからの未来を作る私たち自身が、しっかりしなくちゃって事でしょ?」
香子が、言った。
「そうね。過去の歴史から学ばなくちゃね?」
由理子も言った。
「我々はこれからも、キミたちの進化の行く末を、見守らせてもらうよ。」
犬王と猫王子が、異口同音の言葉で言った。
「お話がまとまったようで、ナニよりですな。」
コーヒーのおかわりを持って来たサン・ジェルマンがそう言うと、その場に居たみんなは、何だかホッとしたのだった。
「決めたわ。私、いつか必ず、アナタたちから、オーバーテクノロジーを教えてもらえるくらい、精神的に成長してみせるから!」
由理子は言った。
「うむ。楽しみにしておるぞ。」
最後にアヌビスがそう言って、お茶会はお開きとなった。
その道のりは長く、遥か未来まで続くのだろう。
それは、不老不死ではない由理子にとって、実際、厳しいハナシである。
しかし、その子、孫の代までかかっても、決して諦めずに理想を追求し続ければ、いつかきっと…と、思いたいサン・ジェルマンなのであった。
(私も見守らせてもらいましょう。)
そう思うサン・ジェルマンもまた、実は随分昔に、人類の進化に介入する事を諦めた経緯があったのだ。
「Heaven helps those who help themselves.」
やはり"天は自ら助くる者を助く"なのだ。
この世に、神が居るならば…だが。




