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「魔女姉妹の勝手にレスキュー」(セーラー服と雪女 第20巻)  作者: サナダムシオ


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㉘ ニンゲンの歴史

「…そこを突かれると、痛いわね。」

 真田香子が発言した。


「例えば、ヨーロッパの国々の、血塗られた建国の過程。中国四千年の戦乱。アメリカ合衆国が、何を犠牲にして成り立っているのか。植民地だったアフリカ民族の、独立までの道程。そして、未だに世界各地で続く紛争。フロンティア精神と言い換えられた征服欲。どれも私たちニンゲンが、好戦的であるからこその、現実よね。」


「カコネエ、そんなあ…。」

 由理子はもう、半泣きだ。


「…でも、私は違うわ。常に冷静で、理性的であろうと、意識して日々を過ごしている。相手からケンカを売られない限り、誰もキズつけたりしないし、イタズラに、他人の命を奪ったりもしない…。」と香子は続けた。


「あ〜、そんなのズルイ。私だって、日々愛のために生きているのよ。それもニンゲンだけじゃなく、この世に居る全ての命有る者に対して…一番大きなお友だちは、ケツァルコアトルスさん…って、前にも言ったわよね?」と由理子。


「ケツアゴ…なんて?」

 犬王が、毎度お馴染みの返しをする。


「ケツァルコアトルスよ!大きな鳥さん。だけどチャーミングなレディなのよ。でも、怒らせたら、アナタなんか丸呑みにされちゃうんだからね!」


「うわっ、そりゃあ、いただけないなあ…。」

 猫王子が恐れをなして呟いた。


「とにかく、その子だって私だって、自分の身が…ううん、家族もだけど…危うくならない限り、攻撃的になったりなんか、しないわ!」

 由理子はそう、力説した。


 …と、そこへ、ジャンヌ・ダルクを連れた杉浦鷹志が、外の散歩から帰って来た。

 コレは何だか、多方面に、話がややこしくなりそうな気配である。


 ジャンヌの文化的なリハビリも兼ねて、今日は徒歩で久屋大通公園周辺を案内すると言って、鷹志自身が、その役を買って出たのだった。


 因みに、その件については、犬王と猫王子は何も聞かされていなかった。


「アレ?鷹志殿、そのメスのニンゲンは何だ?浮気なのか?」

 ミケーネもアヌビスも、すわチャンスとばかりに、色めき立つ。


「違いますよ。一体どこの世界に、自分の彼女に、わざわざ浮気相手を見せに来るオトコが居るんですか!」


「えっ?吾輩は普通にヤルけどな…。」

「うわっ、アヌビス君、サイテー!」

 由理子から軽蔑の眼差しを食らう犬王。

「いや、ほら、吾輩たちは、第二夫人とか、普通に居るから…。」


「そんなヒト…じゃなくてイヌが、よくもまあ、ヒューマニズムを語れるわね?ニンゲンより高次元の知性体が、聞いて呆れるわ。」

 由理子はオカンムリだ。


「…いや、コレは吾輩どもの文化であって…。」

「ニンゲンにも居るわよ。そういう事を言うヒト。確か名前はイシダジュンイチとか言う…。」


 由理子が、何か厄介な事を、思い出そうとしとしていたその時、隣で香子が言った。

「"不倫は文化"ってヤツね?」

「そう、ソレ!」

そして二人揃って「サイテーよねえ〜。」と言ったのだった。

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