魔女ばばあ?
「は、速すぎる」
スピードが飛び立ってからその速さに慣れるまで1時間を要した。
「スピード速いって聞いてたけどほんとに速いな。すごいぞ!」
「これなら三カ月かかるところを一月足らずで済みそうだ」
そう言いスピードの頭をなで、周りの景色を見渡した。
ちょうど夕暮れ時に迫ろうとしていた世界は先ほどの闇を忘れたかのように紅に染まり始めていた。
「奇麗だな」
紅色の景色を惜しみつつ今夜泊まれそうな村を探すため、地上へと目線を向けたとき、ある村が赤色に燃えているのが目に入った。
「スピード!!」
スピードもまたその村を見つけたようでスーラの掛け声より前に村に向かって加速した。
村の戦士たちが必死の抵抗をする中、風を切るより速く飛び村へと急ぐ、一瞬にして村へと着くとスーラは動物のような形をした禍々しい生物たちを切り刻んでいった。
後には死体だけが残った。
死体を確認したスーラが
「これはまるで」
国で対峙した闇に雰囲気が似ている
そう考えていると
「そこのお方助かりました。ありがとうございます。お怪我はありませんか?」
村の戦士が礼を言いにスーラの元へとやってきた。
「いえいえ、俺は大丈夫です。それより村の被害のほうは」
「家屋の幾つかは破壊されてしまいましたが襲撃に会う前に村のみんなは教会に避難していたので人的被害はないはずです。」
「それは良かった。しかし、襲撃前に避難済みとは良い見張りがいるようですね。それにこの生物は」
「ええ、私たちも疑問に思っていますが今は教会へ行き安全を確保するのが第一かと」
「それもそうですね」
互いに自己紹介をし、少し雑談を挟んだ後、周りに打ち漏らしがないか確認しつつ戦士たちと教会へと歩いて行った。
幸いなことに破壊された家屋というのも村の端のほうで中心部の被害は全くと言っていいほどなかった。
(避難の際に混乱した痕跡がない。普段から村全体で訓練をしているんだろう)
スーラが村全体見回し、その優秀さの感心している間に少し開けた広場へとやってきた。
「スーラさんここが村唯一の教会です」
そう、村の戦士長であるカルトが手をやるとそこにはなんと
「村人全員が避難したと聞いて大きいものだと予想していましたが意外と質素ですね」
およそ村人全員が入るには狭そうな教会が見えた。
「がはは。確かに教会そのものは小さいですが地下に避難施設があったり見た目以上に中は広いですよ」
スーラの疑問を待っていたかのようにカルトを含め戦士たちは大きな声で笑い出した。
そんな笑い声を聴いたのか教会の扉が勢い良く開き「ぱぱー!」と子供たちが飛び出してきた。
子供たちに続いて戦士たちの母親が恋人が友人が続々と教会から広場へ飛び出してきた。
「パパ無事でよかった。」「なーに泣いてんだ。いったろパパは死なないって」「あなた無事でよかった。」「心配かけてごめんな」「ふん!生きてたのね」「泣きながら怒るなよ」
「はは、村のみんなが無事でよかった。な、スピード」
村の人たちの安堵の表情を目にしたスーラはスピードの頭をなでた。
スピードもこの光景を目にしうれしいのか「ワン!」と大きな声で鳴いた。
そんなスーラとスピードの元に子供を抱いたカルトがやってきた
「あ、カルトさん。その子供はもしかして」
「はは、私の子供です。ほらこのお兄さんスーラさんに自己紹介して」
子供は恥ずかしそうに
「キルトです。」と名乗って父親の背に隠れてしまった。
「あはは…すいません。村の人以外に会うのが初めてで緊張してるようです」
「いえ。かまいませんよ。それより今夜は」
キルトに手を振りつつ今後の予定を聞いた
「ええ、安全を考慮して教会で過ごしてもらう予定です。スーラさんも良ければ」
「願ったりですよ」
そうして教会へと入ろうとしたとき
「あれ?この教会結界が貼ってありますね。それもかなり強力な」
フェリドゥーンでもこんなに強力な結界を張れる人は少ないのにと思い「いったい誰が?」
とカルトに聴くと
「魔女ばばあだよ!」
キルトが教えてくれた。




