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Re:code -記録の檻-  作者: 観測者
プロローグ
5/8

5

「変身機能なんてのもあるのか………おもしろい」


 河野清司の目が、禍々しい赤に染まったプロメテウスの装甲を見て、わずかに細める。

 だが、すぐに異変に気づいたのは、

――画面の向こう側、《セレス・テック社 技術部 桐生ユイ》だった。


「違います!」


 彼女の声が一瞬で全員の鼓膜を打った。


「そんな機能……この《Re:code》には、実装されていないはずなんです!これは……おかしい……!」

「えっ……それってどういうこと?」


真知子が不安そうに眉をひそめる。


「本来、プロメテウスは試作型で終了です。変身するような処理は、どこにも……!」


 清司が口を開いた。


「じゃあ……バグってことか?」

「……分かりません。でも、“人為的”な改変の可能性もあります。今、調査班を呼びますので……」


 その瞬間、プロメテウスver2.00が再びチャージ動作に入る。

 光り出すコア、うなる駆動音。


「わわっ、来るっ!」

「一回、接続切って現実に戻ればよくない!? このままじゃ――!」


 真知子が叫ぶ。しかし、ユイの反応は、冷たくも切実だった。


「だめです!!」


 全員が言葉を失う。


「《Re:code》は脳波リンク式の高精度VRです。対戦中に無理に切断すれば……最悪、脳への過大なフィードバックが発生する可能性があります」

「過大なフィードバック……って、要するに?」

「……意識障害、記憶欠損、身体麻痺などのリスクが。だから、ここで無理に止めるのは……本当に、危険なんです」


 息をのむ一同。

 敵は、想定外。

逃げる術も、遮断されている。

それでも――


「……だったら」


 須藤智樹が一歩前に出る。

その声に、自然とみんなが顔を向ける。


「とりあえず……今目の前にいる敵を倒すしかないんだな」


 その言葉に、一瞬の静寂が生まれた。

 真知子が口元を引き締める。


「分かった。回復とバフ、できる限り早く回す」


 仁郎が頷く。


「俺もまだやれるよ。俺が前に出る」

「……フッ。ま、面白くなってきたな。新型だろうと、ぶった斬るだけだ」


 清司のユニットも剣を構える。

 智樹がカードを引いた。


「口寄せ・忍犬三連牙の術!!」


 智樹の周りに3体の忍犬が召喚される。


「みんな、連携は今まで通り。でも、今度は一瞬のミスも命取りになる。集中していこう!」


 彼の目には迷いがなかった。

たとえゲームでも、相手が何であろうと、仲間を守るために戦う――その覚悟だけが、今の彼らを動かしていた。


 そして、再びプロメテウスver2.00が両の腕を振り上げる。

 バトル、再開――。

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