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「ターゲット確認。戦闘モード、起動――」
試作型プロメテウスが機械音声を鳴らし、巨大な腕を振り上げた。
次の瞬間、ビームが大地を焼き、一帯が爆発に包まれる。
「うわっ、マジで撃ってきた!?」
「これ本当に練習用? 嘘でしょ!?」
智樹たちは散開しながらカードを構えるが、どこか動きがちぐはぐだった。
「ちょ、清司!もっと前でてよ!アタッカーでしょ!?」
「は? なんで俺が!?俺のクラスはカウンター型なんだよ、無闇に出たら意味ねえだろ!」
「じゃあ誰が攻撃すんのよ!こっち回復してばっかで手ぇ出せないんだけど!」
「うわっ!?盾、盾間に合わねぇっ……わあああッ!!」
仁郎がミサイル直撃を受けて後退。HPが半分以上削られる。
「ちょ、みんな落ち着けって!うまく連携しないと!」
「言われなくても分かってるよ!」
チーム戦――協力型カードゲーム。
普段、対戦型の1on1ばかりしていた彼らにとって、それは“慣れないことの連続“だった。
だが――
一瞬の静寂。
敵がチャージに入るのを見て、智樹が口を開いた。
「……全員、聞け!」
その声に、三人の動きが止まる。
「このままじゃジリ貧で負けるだけだ。このゲームは《パーティ戦》。だったら、誰かが戦い方を決めなきゃいけない。俺が指示出す!」
迷いなく放たれた言葉に、真知子が目を見開く。
「……分かった。言う通りにする。回復は任せて」
「オレも……盾はまだ残ってる。指示ちょうだい!」
「……やれやれ、仕方ねぇな。早く倒そうぜ」
智樹はカードを構えた。
「真知子、ナノフィールド展開して調合で支援!仁郎は挑発ユニットで前出て!清司、俺が忍犬でサポート入れるから、次のターンで必殺の一撃だ!一気に決める!」
──戦場が、動き出す。
緑の光がフィールドを包み、ナノ・テクニシャンの調合魔法が効果を発揮。
仁郎の獣騎士ユニットが大盾を構え、プロメテウスの苛烈な攻撃を引きつける。
「オラァッ!盾持って突っ込むの夢だったんだよォ!」
そして、忍犬たちが音もなく舞い、プロメテウスの周囲を翻弄する。
3人の連携によりできた一瞬の隙。
「今だ、清司!!」
「おう!!……やれっ、《血爪将軍 ブラッド・レガリア》!!《紅蓮双月=零式》!!」
侍型の清司のユニットの灼熱の連撃。
巨大なボディに深い亀裂が走り、プロメテウスの動きが停止した。
「よし……やったか……!?」
その瞬間、ビィーーーという電子音が鳴り響く。
――警告:システム負荷超過。試作型プロメテウス、活動限界。
プロメテウスの装甲が蒸気と共に外れ、内部からさらに禍々しい機構が姿を現す。
青白かった光は深紅に染まり、サーボ音が轟音へと変わる。
「プロメテウスver2.00、起動――」
「な……なんか、さっきより怖くなってる!?」
見た目も性能も別物になった“それ“が、再び両腕を広げる。
「おいおい、これ本当に練習用かよ……!」
「……こっからが本番ってことか」
智樹が静かにカードを構え、笑った。
「だったら見せてやろうぜ。カードゲーマーの本気ってやつを、俺たちの手でさ」
今度は、誰も反論しなかった。