町のために
朝早くからアルシの姿は無くシャノアとセシアがルシアンの自宅へとやって来ていた。シャノアはルシアンの傷が少しでも癒えるように回復魔法を使っていた。魔法を何度か繰り返すとルシアンの痛みはほぼ無くなっていた。
「ありがとう、シャノア。お陰で大分良くなったよ。」
「本当に?」
「ああ。」
そう言うとルシアンはベットから起き上がる、サーディスはまだ眠っていてそんなサーディスをシャノアが耳元で大きな声を掛ける。
「ふが?!、、、、、」
それでも眠るサーディスにシャノアがまた大きな声を出して起こした。
「サーディス!!朝だよ!」
「う、うん?シャノアか。」
「サーディスも起きたようだし皆さん朝食にしましょう。」
四人はルシアンの部屋を出てキッチンに行くとルシアンとサーディスそしてシャノアはテーブルの椅子に座りセシアが、作ったカレーを運んで来るとサーディスは真っ先に食べだす。
「セシア、相変わらず美味いな。」
「セシアはいいお嫁さんになるよね。」
「頂きます、セシアお嬢様。」
「はい。」
そう言って隣の席に座るセシアの笑顔を見てルシアンの胸は少し高鳴った、四人が食事を済ますとセシアが後片付けをしようとするとルシアンは自分が洗うと言った、セシアの提案で二人で一緒に洗う事になった。洗い物をしながらセシアがルシアンに話しかけた。
「ルシアン君は将来の夢ってあるのですか?」
「はい、まだまだですが俺は騎士になることが目標です。」
「あの、アルシさんのお孫さんですものね。」
笑顔で応えたセシアにルシアンは少し緊張してセシアに将来の夢を聞き返す。
「セシアお嬢様は?」
「そうですね、、、私は魔術師になって冒険者になることですね。」
セシアの意外な言葉にルシアンは驚いた。
「小さな頃からこの町でしか過ごした事はありません、それが普通だと思いますけど私は幼い時からカリアンの魔法を見てそれから旅をしてきたエティアスの話を聞いて育ちました、だからいつか広い世界を見て困っている人の役に立ちたいとと思ってます。おかしいですよね?」
「いえ、少し驚きましたけど素敵な夢ですね。」
「ありがとうございます。ルシアン君の夢もかなうといいですね。」
「ありがとうございます。お嬢様。」
将来の夢を聞きあい洗い物が終わるとシャノアが言った。
「ルシアン君の傷も良くなったようだしボクたちは帰るね!」
「ルシアン君、お話ありがとうございました。また聞かせてくださいね。」
「はい。」
二人が帰ったあとサーディスがルシアンにこれからどうするか聞くとルシアンはアルシの姿が無いことに疑問を覚えてアルシが何処に言ったか見当が付かないか聞いた。サーディスは恐らくオークの件で町長達とまた話し合いをしているのではないかと答えた。
二人はアルシが戻るまで剣の稽古をすることにして庭へと移動するとレイピアに模した練習用の剣を手にした。
「両手剣じゃなくていいのか?ルシアン。」
「ああ、騎士になるならレイピアの扱いも一応は出来ないとな。だから教えてもらうよ。」
「分かった。」
ルシアンはサーディスにレイピアの基本的な構えや突き方巻き方、受け流し方を教わり少し慣れると試合形式で練習をする。間合いの取り方などを覚えながらルシアンは練習をした。暫く練習した後、昼時になりルシアンとサーディスは練習を終えて食事を取ることにした。ルシアンがキッチンで鶏の卵を焼くと皿にサラダと焼いた卵を盛り付けてパンと一緒にテーブルに並べた。二人が食事を食べているとアルシが戻って来る。
「お帰りなさい、お祖父さん。」
「お邪魔してます。アルシさん。」
「いえいえ、サーディス様。すまないな、ルシアンよ、遅くなったが傷はもういいのか?」
「俺ならもう大丈夫、お祖父さん食事は?」
ルシアンがそう聞くとアルシは町長の所で食事を頂いたと答えた。ルシアンはオーク達の一件が気になりアルシに聞くと領主であるゼノス伯爵の所に使いを出しにいく相談をしていると答えてきた。ゼノス伯爵の所にだれが行くのかはまだ決まってないことも付け加えるとサーディスは言った。
「アルシさん、親父の所へなら俺が行きますよ。」
「ふむ、、、、。」
「それなら、俺も行きたい。」
「そうか。」
「親父の所へ行く道なら大した魔物も出ないし話もスムーズにいくと思います。」
「分かりました、私は町長と自警団長そしてエティアス殿とカリアン殿に声を掛けて馬の手配をしましょう、二人とも私と一緒に。」
「分かった。」
「分かりました、アルシさん。」
三人は町長達と話合いをしに家を後にした。
つづく