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剣聖の孫  作者:
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陥落する城塞都市

  ゼノス伯爵の城塞都市に着いたルシアン達やカルザスを始めとしたルファール王国の諸侯やムスガルニアの魔導師ファライを含めた魔術師達はアストリア王国と同盟を結ぶ三か国、神聖ルファール王国、魔法連合ムスガルニアそしてエルフ達の王国であるエストア王国からの更なる援軍がアストリア王国の王都へと来るまで捨て身の覚悟で城塞都市で防戦をするつもりだった。城塞都市にいた平民達はアストリア王都へと非難させていて都市と城にいるのは兵士や騎士、魔術師達だけだった。

 

 城壁にムスガルニアの魔術師達と飛距離が長い長弓を持つルファール王国の弓兵を配置して城塞都市内部の投石器には補充した大きな火薬の玉と大きな石を用意させていた。


 「魔物達は?」


 「偵察に向かった兵士の話では大量のオーク達だけでなくオーガやキマイラそしてマンティコアも押し寄せて来ているそうです。」


 「どのくらいでやって来るか分かるか?」 


 「はい、恐らくこちらの援軍が王都に到着する前にやって来るでしょう。」


 その言葉を聞いたルファール王国の諸侯の一人が呟いた。


 「絶望的ですな、、、、。」


 「はい、、、、このまま行けば恐らくこの城塞都市にいる兵や騎士は全員討ち死にするかと、、、。」


 諸侯と兵士の言葉を聞いたカルザスが口にする。


 「そうだな、、しかし、人々の為にここで誰かが戦わなければならない!今日ここに来てくれた全ての者達に感謝するぞ!それはこの戦いがハルウニアの全ての人々の為の戦いとなるであろうからだ!我らルファール王国の兵として騎士としてこの戦いに命を捧げようぞ!」


 「我らムスガルニアもこのハルウニアの為に戦いましょう。」


 「感謝する!ファライ殿、そして魔術師達よ。全員持ち場に着け!少しでも長く侵攻を食い止めるぞ!」


 カルザスがそう言った後、ルファール王国の諸侯達とムスガルニア魔導師ファライを始めとした魔術師達は持ち場に着いた。ルシアン達、金鷲獅子騎士団とサーディス、エティアス、カリアン、セシア、シャノアは都市の中心部に配置された。魔物達の侵攻に備えていた時ルシアンがセシアに声をかけた。


 「セシアお嬢様、敵がこの城塞都市に迫り街が落ちそうになったらリアとシャノア達とお逃げください。」


 「そんなことは出来ません!!」

 

 「セシアお嬢様、俺は命を失う事は覚悟してます。ですがセシアお嬢様、貴方が命を失う事には耐えられません。どうか危機が迫った時にはお逃げ下さい。」


 「私は貴方の傍を離れません!絶対に!」


 「、、、、分かりました。それなら俺の傍から決して離れないでください。」


 「はい!ルシアン君。」


 「お熱いねえ。」


 「サーディス!駄目だよ!こういう時に声をかけちゃ!」


 「シャノアお前だって興味深々そうに聞いていただろ?」


 「サーディス、シャノア、二人とも聞いていたのか?!」


 「ああ、セシア、俺もルシアンの傍で戦うぜ。だから安心しろよ。」


 「ボクも二人をサポートするよ。死ぬ気なんて全然ないよ。皆でいきて帰ろう!」


 「ああ、そうだな!」


 日が暮れるとルシアン達は仮眠をとった。それから3日後の夜魔物と魔獣達の軍団がゼノス伯爵の城塞都市に進軍して来た。城塞都市の塔にいた兵士が鐘を鳴らす。


 「魔物達が来たぞー!」


 鐘を聞いた城壁にいた弓兵達は矢を構えて城塞都市に設置された投石器には兵士が火薬の玉を乗せる。そして城壁にいる魔術師達は共同で敵の矢や投石器の石や火薬の玉を防ぐ魔法の障壁を発生させる。敵の魔物達が弓や投石器の射程距離までくると一斉に矢と火薬の玉を魔物達に向かって発射する。それでも魔物達は怯むことなく城塞都市へと進軍して来る。


 「障壁のお陰で敵の矢や投石器の脅威はありませんな、しかしあの数では城壁から侵入されるのは避けられないかと。」


 「都市にいる騎士や兵士を可能な限り城壁に配置しろ!白聖騎士団と鉄十字騎士と金鷲獅子騎士団は城門が破れた際に備えて進むぞ!」


 進軍して来たオーク達は城壁に梯子を掛けて登って来る。オーク達は次々と切られても怯むことは無かった。城塞都市の門にはオーク達が破城槌でオーガ達が手にした大槌で城門を打ち破ろうとしていたその後ろには大量の魔獣が控えていた。


 やがてオークやオーガ達に城塞都市の門を打ち破られそうになると城壁にもオーク達が侵入していきムスガルニアの魔術師達や兵士達は倒れ障壁も消えていく。城塞都市の門も破られるとキマイラやマンティコアが都市の内部へと雪崩こんでくる。魔獣達を相手に白聖騎士団や鉄十字騎士そして金鷲獅子騎士団は奮戦したが徐々に押されて行く。

 

 (リアはまだか?)


 ルシアンがそう考えているとイドリア伯が言った。


 「フラック候閣下!ここは私達が押さえます!こうなった以上この城塞都市は持ちません!城内まで引いて城の地下道から脱出してください!!」


 「イドリア伯よ、私もここに残るぞ!アシナント伯ルシアンよ!お前達、金鷲獅子騎士団はゼノス伯爵とファライ殿がいる城内に行き脱出の手助けをしろ!」


 「しかし閣下!」


 「サーディスよルシアンをよくサポートしろ!」


 「分かりました!ルシアン!いくぞ!」


 サーディスに手を引かれてルシアンと仲間達は城内へと移った。それから暫くすると敵を抑えるために残ッた白聖騎士団と鉄十字騎士団は魔獣達によって壊滅していた。生き残ったカルザスとイドリア伯そして白聖騎士団の副団長ザインは死を覚悟した。


 「ここまでか、、」


 「イドリア伯、ザインよ共に聖騎士として散ろうぞ!」


 マンティコア達が三人を襲おうとしたその時、急にキマイラがマンティコア達に襲い掛かった。その光景を理解出来なかった三人の上に影が走った。それに気がついた時、三人はグリフォンの足で体を掴まれ上空へと上がっていく。


 「お待たせ!おじいちゃん!」


 「リアか、、すまないな。魔獣達を操ッたのか?」


 「うん、ルシアンお兄ちゃん達は?」


 「城の内部だ!リア城の中庭に向かってくれ!」


 「うん!」


 リアとアナそしてカルザス達三人とグリフォン達は城の中庭へ向かう。


 「城内にも侵入してきたぞ!」


 「残っている騎士と兵は俺と共に最後まで戦ってくれ!」


 生き残った城内の兵や騎士達の指揮をとっていたルシアン達の元へアナがやって来る。


 「アナ!?どうして?」


 「話は後で!中庭まで急いで来て!グリフォン達が待ってる!」


 「、、、、エティアスさんカリアンさん俺はここに残って先に行ったゼノス伯爵達が城から出るまで囮になります。セシアお嬢様達やシャノアそしてサーディスをお願いします。」


 「ルシアン君、君は?」


 「どの道生き残ったものすべてを乗せることは出来ないでしょう。それに俺は騎士団長、、、残らねばなりません!」


 「ルシアン団長!我々も最後まで戦います。」


 「、、、皆ありがとう。残りの騎士と負傷した者達は中庭へ!」


 「ルシアン、、、、、」


 「アナ、、、皆を頼むよ。さあ行って下さい!セシアお嬢様をよろしくお願いします。」


 「、、、、いくぞ!カリアン!」


 「分かりました。ルシアン君、貴方は本当に立派な騎士だわ。」


 ルシアンと金鷲獅子騎士団の騎士達数十名を残してアナ達三人はゼノス伯爵を逃がすようにと手伝いをしたサーディス達を連れて中庭へと向かう。


 「エティアスさん!ルシアンは?」


 「、、、、彼は残る。」


 「そんな!?」


 「それならば私も残ります!!」


 「、、、、、、セシアお嬢様。失礼いたします!」


 そう言ってエティアスはセシアを肩に乗せて担ぐとグリフォンの背に乗った。


 負傷した者達と金鷲獅子騎士団員を乗せたグリフォン達はアストリア王都へと飛びんでいった。城内に侵入して来るオークやオーガを相手にルシアン達は勇猛果敢に戦いを挑んだ。オークやオーガ達に囲まれたルシアン達は一人また一人と倒れていく。最後まで戦ったルシアンにオーガの大槌が襲いかかり暗闇がルシアンを襲った。消えていく意識の中でルシアンはセシアの事を想っていた。

 

 

 

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