探索隊
行方不明となったルシアンとサーディスの身を案じながらも町に戻ったエティアスとカリアンはセシアとシャノアを家に帰すと、自警団長と町長そしてアルシにルシアン達の事を報告して自身達も加わる探索隊を出すように願った。
話を聞いた自警団長は自警団員を十数名を探索隊に加える様に指示すると話を聞いていたアルシも探索隊に加わる事を申し出た。それから一時間後、エティアスとカリアンそしてアルシと探索隊は森へ向けて出発した。探索隊がルシアン達が姿を消してであろう折れた木剣の所に着くとカリアンとアルシはどす黒い血痕があることに気付いた。
「この血痕は人のモノでは無さそうですね。」
「恐らくは魔獣の血痕であろう。」
かつてギリア王国の使役した魔物や魔獣と戦ってきたアルシはそう見抜いて言った。二人が話している様子を見たエティアスが二人に話しかけてきた。
「何か見つけたのですか?」
「ええ、見てください。恐らくはアルシさんが言った通り魔獣の血痕だと思います、この血痕を辿って行けばルシアン君やサーディスのいる場所のヒントになるかもしれません。」
「そうか、探索用の犬も連れて来てるから犬にはルシアン君が持っていた木剣の匂いを嗅がせて見よう。」
自警団員の一人が連れていた犬に木剣の匂いを嗅がす。
「どうだ?ラッシー?」
ラッシーは木剣の匂いを嗅ぐと次に地面の匂いを嗅ぎだしその匂いを辿っていく。
「皆!こっちの様だ!」
ラッシーを連れてきた自警団員は探索隊のメンバーに告げると他の自警団員とエティアス、カリアンそしてアルシもラッシーの後を着いて行った、ラッシーが行く道には所々にどす黒い血痕もあった。暫くラッシーについて行くとラッシーの行く道と血痕が分かれていた。その様子をみたエティアスが言った。
「血痕と分かれているな。」
「ふむ、、エティアス殿、恐らくはルシアン達は犬の方の道にいるだろう。私はこの血痕を追って魔獣の退治をしようと思う。」
「いくらアルシさんでも一人では危険ではないですか?」
「私は30年前の終わった戦争で数々の魔獣を葬って来た、この探索隊の中では私と貴公とカリアン殿以外のメンバーには荷が重いだろう。ルシアン達がいる場所にもどんな魔物達がいるか分からない、貴公らはルシアンとサーディス様を探して手負いの魔獣は私に任せなさい。」
「分かりました、自警団員の中で最も腕の立つ二人を連れて行ってください、お気をつけて。」
「エティアス殿、貴公らも気をつけてな。」
二手に分かれた探索隊はそれぞれルシアン達を探しにまた魔獣を退治するためにそれぞれ森の奥深くに入って行った。アルシ達三人が血痕を追って行くと開けた場所に出たそこにはルシアン達を襲った片目になった魔獣マンティコアが眠っていた。三人が近づこうとするとマンティコアは二を匂いを嗅ぎだして目を覚まして咆哮を上げた。
「こんな化け物、今まで森に居なかったのに!」
マンティコアに恐怖している自警団員にアルシが後ろに下がるように言うと自身はマンティコアの正面に立ち手にしていたクレイモアを正眼に構えた。マンティコアはアルシに向かって飛びつくとアルシはそれをかわしてクレイモアを上段に構える。
続けてマンティコアが鋭い爪をもった右の前足を振り下ろすとそれもかわして地面をえぐる右の前足にクレイモアを振り下ろした。右腕を切り裂かれたマンティコアが尻尾でアルシを突こうとするがアルシはそれを剣で防ぐと今度はマンティコアの尻尾を切り落とした。
叫び声を上げて苦痛に身をよじるマンティコアは怒りに任せてアルシに噛みつこうとするがアルシはその前にマンティコアの頭から眉間に力を込めてクレイモアを振り下ろした。頭を切り裂かれたマンティコアは頭からどす黒い血を流して動かなくなった。
「あんな、化け物を一人で倒してしまうなんて、、、」
「ああ、流石、剣聖と言われた人だな。」
マンティコアを倒したアルシは近くに他の魔物が居ないか確認すると自警団員と共にエティアス達が向かった方へと歩きだした。
つづく