助けて?
森に着いたルシアン達はエティアスの注意で森の奥へは行かず入り口付近で薬草を探すよう言われて探し出すが、入り口付近ではあまり薬草を見つけることが出来ずに少し奥で再びしばらく探した。しかしそこでもあまり薬草を見つけることは出来なかった。
「これだと全然足りないよ!」
「でもこれ以上奥に行くのは、、、。」
シャノアとセシアの会話を聞いていたエティアスは町の怪我人などが出た際に必要となる薬草の重要性を考えて奥に行くべきか頭を悩ませた、その様子を見たサーディスはエティアスに提案した。
「エティアスさん、俺とルシアンはもう少し奥に行きますよ。」
サーディスとルシアンの剣の腕を知っているエティアスは少しの間考えて答えた。
「二人の剣の腕は知っておりますが、ルシアン君は練習用の剣しか持っていません。」
「大丈夫ですよ。俺はゴブリンとは何度か戦った事があるしルシアンの腕なら木剣でもゴブリンくらい追い払えます。」
「、、、、分かりました。しかしあまり離れないようにして下さい。特にルシアン君、気をつけて。」
「分かりました、エティアスさん。」
「いこうぜ、ルシアン。」
ルシアン達が奥に行って暫く立つと奥の方からガサゴソと森の草木が騒めく音がした。
「セシアお嬢様、アルマ殿、お二人は下がっていてください。カリアン!魔法を頼む。」
そう言ってエティアスが剣を抜くと奥からゴブリン達が姿を現した。
その頃奥に向かっていたルシアンとサーディスは薬草が沢山生えている場所にたどり着いていた。
「ビンゴ!だな。袋に詰められるだけ詰めようぜ!」
「ああ。」
ルシアンとサーディスが薬草を摘んで袋に詰めていると小さな声が聞こえてくる。
「、、、けて。」
「今の聞こえたか、ルシアン?」
「ああ、微かに何か聞こえたな。」
二人が耳を澄ますと奥から再び小さな声が聞こえてくる。
「、、、、助けて、、、。」
「子供の声!?」
「どうしてこんな所に子供が?!」
「分からねえがゴブリンに襲われたのかもしれないぜ、助けにいこうぜ!」
「分かった、急ごう!」
ルシアンは両手用の木剣をてにするとサーディスは腰につるしたレイピアを抜き二人は声のする方に向かう。その間も助けを求める声は続いてその声がよく聞こえてくるようになる。
「この奥だな、、用意はいいか?」
「ああ!行こう!サーディス!」
草木を分けて入ると広場がありそこには子供はいなかった、代わりに居たのは人顔に獅子の身体を持った魔獣とゴブリン達だった。
「な!?」
「、、、、助けて?」
そう魔獣が声を出した。
「マンティコア!こいつが声の正体かよ!」
「エティアスさんの所までもどろう!サーディス!」
「分かった!」
二人がその場から走り去ろうとするとマンティコアが飛び掛かって前に立った。
「、、、、助けて?」
「くそ!」
「エティアスさん!!カリアンさん!!マンティコアがいます!!!」
ルシアンが大声で叫ぶとじりじりとマンティコアが詰め寄って来る。サーディスは素早くマンティコア目にレイピアの突きを見舞った、サーディスの突きはマンティコアの片目に突き刺さるとマンティコアは叫び声を上げてサーディスに蠍の様な尻尾で突こうとするがマンティコアの襲い掛かる尻尾をルシアンが木剣で弾くとマンティコアは前足をルシアンに振り下ろした。それを防いだルシアンの木剣は折れてしまい、その間に二人の背後からゴブリンが襲い掛かってきた。
その頃、ゴブリン達を退治していたエティアスとカリアンはルシアンの叫び声を聞きエティアス達四人はルシアン達の方へと向かっていた。ルシアン達が襲われた場所までたどり着いたエティアス達だったがそこにはルシアンとサーディスの姿は無くあるのはルシアスの持っていた折れた木剣だけだった。
「クッ!」
エティアスは二人だけで行かせてしまった事を後悔しながら言った。
「、、、カリアン、一度町に戻るぞ。」
「そんな!!エティアスさん!二人を直ぐ探しに行こうよ!」
、
そう声を上げたシャノアにカリアンが首を横に振った。
「ボク達なら大丈夫!だから二人を助けにいこう!」
「いいえ、二人を連れては行けません。エティアスの言った通り一度町に戻りましょう。」
「シャノア、私達がいるとエティアスとカリアンの足手まといになります。一度戻りましょう」
「、、、分かった、エティアスさん、カリアンさん必ず二人を助け出して。」
「騎士の名誉にかけて二人を探し出すと誓おう、シャノア殿」
「、、、うん」
行方不明となったルシアンとサーディスの安否を気にしながら4人は町へと急いで戻った。
つづく