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剣聖の孫  作者:
26/44

戦地へ参加志願する騎士見習い達

 騎士見習いになって数か月、その日はいつもと違った。カルザスの城では慌ただしく兵士や騎士達が広間に集まっていた。ルシアン達、騎士見習いはいつもの様に訓練場に来ていたが教官達は一向に顔を出しに来なかった。数時間ほど待つと荒立てた教官が訓練場に顔を出す。ルシアン達は整列して敬礼する。教官は敬礼を返すと口にした。


 「諸君!諸君らの中から参加する意思のあるものに、アストリア王国への援軍として赴く白聖騎士団の予備兵員そして後方支援として従軍してもらう!」


 その言葉を聞いた騎士見習い達は動揺して一人が声上げた。


 「教官!戦争になったのですか?」


 「アストリア王国全土ではないが王国南部の領地に大量の魔物達が攻め入ってるようでゼノス伯の領地が窮地に立たされているようだ。衛兵を残してこの城の大半の騎士と兵士がアストリア王国の王都に向かう。」


 その話を聞くと騎士見習い達はどよめいた。そしてゼノス伯爵の領地が危機に落ちいってる事にサーディスはゼノスやノーゼンの安否が気になっていた。


 「諸君らはまだ見習いで正規の騎士ではないゆえ、無理強いはしない。参加する者は今名乗り出て欲しい。」


 その一言を聞いたサーディスとルシアンは真っ先に志願する。


 「他には参加する者はいないか?」


 その言葉にイアンズが言った。


 「参戦すれば早くに騎士になれますか?」


 「約束は出来ないがその可能性は高いだろう。」


 「ならば私も参加します。」


 イアンズが志願すると最終的に騎士見習いのほぼ全員がが志願した。教官は装備を整えて明日の朝、城の門の前に集合するように伝えると急いでその場を後にした。


 志願したイアンズに志願しなかった貴族での騎士見習いが言った。


 「お前ら本当にいくのか?イアンズ、戦争に参加しなくても騎士にはなれるぜ?」


 「セリグ俺は貴族の出じゃない、騎士になる為に送り出してくれた家族達の為に少しでも早く恩返しがしたいんだ。」


 セリグと言われた騎士見習いは今度はルシアン達に言った。


 「ルシアン、お前らは貴族の血を引いているだろ本気でいくのか?」


 「俺やサーディスの故郷なんだ。俺たちの覚悟は決まっているよ。」


 「、、、、、。」


 参加しないことを選んだ数名の貴族の騎士見習いを残してルシアン達は自室に戻ると装備や持ち物の準備をしてルアやセシアの元に手紙を書いて配達人に渡した。次の日、カルザスを始めとした白聖騎士団の騎士達と兵士、ルシアン達見習い騎士が城をでると、参加しないことを決めていて騎士見習い達が後を追いかけて来た。


 「どうした!お前達!」


 「教官!俺たちも志願します!!」


 「そうか!お前達を誇りに思う!」


 後を追いかけて来た騎士見習い達が列に参加するとセリグが皆に言った。


 「俺もただの貴族のボンボンじゃないところをみせてやるぜ」 


 「アストリア王国とルファール王国の為に!」

 

 騎士見習い達はそう言った。最終的に全ての騎士見習い達が従軍することを志願していた。先頭を行くカルザスが言った。


 「怪我人が出た時に手当てをする司祭殿達が来ている。街の外で合流したらアストリア王国の王都へと入るぞ。皆よ!ルファール王国の最高の騎士団の実力をみせようぞ!」


 「オオー!」


街の人々に見送られてカルザスの白聖騎士団とルシアン達は街の外へ向かう。外には白い神官服を来た司祭達の一団が居た、その中にはシャノアもいた。シャノアはルシアン達に気がつくと近くまで寄って来る。


 「シャノア!お前も参加するのか?」


 「あたりまえだよ!ボクの祖国で家族もいるもの。」


 「シャノア、お前は戦闘には向かないから無理はしないようにしろよ。」


 「大丈夫、ボクたちは戦場の後方にいるから。それより二人の方が心配だよ。」


 「有事の際には戦うけど俺たちもあくまで後方支援だからシャノアと同じだよ。セシアお嬢様達には伝えたのかい?シャノア。」


 「うん、ルシアン君達はセシア達に伝えたの?」


 「ああ。手紙を書いたよ」


 「セシア達の為にもボク達皆、絶対に生きて帰ろうね?」


 「怪我を負ったら頼むぜシャノア。」


 「サーディスにしては素直だね。」


 「命を預けることになるかもしれないからな。」


 「、、、、、、うん。」


 そして白聖騎士団とルシアン達そして司祭の一団はルファール王国の王都へと進んだ。


 つづく

 


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