フラック侯カルザスへの願い
聖都ウィシャレルから東に向かって数日間ルシアン達はフラック侯カルザスの治める都市へと着いた。ハルウニアの最高にして最強の騎士と謳われたカルザスの治める土地は飾り気のない無骨な街並みだった。街並みをみてアナとサーディスが口にする。
「イメージ的にフラック侯爵って英雄と聞いてたいたからもっと栄華を極めた煌びやか都市に住んでいると思ってたけどそうでもないわね。」
「中心地のウィシャレルですらも清貧な感じだったしな。」
二人のやりとりを聞いていたシャノアが言った。
「奉仕、武勇、清貧、信仰、忠誠を信条とする聖騎士達の国ってのは有名な話だよね。他の街もこんな感じなのかな?」
「いいえ、フラック侯爵閣下と騎士達は生まれてからその人生の大半を戦地で過ごしていて自らの領地に目を向けることは中々できなかったのよ。そんな環境で育ったから再び戦争が起きた時の為に騎士や兵士達の訓練に重きを置いてるのも影響していると思うわ。」
「おばあちゃんの街の方が綺麗、、、」
「ありがとう。リアちゃん。」
「でも、お城はとても立派ですね。」
「そうね、セシアちゃん。早速向かいましょう。」
ルシアン達がルアの案内でカルザスの居城に着くとルアを見た衛兵は直ぐに通してくれた。城の広間に着くと椅子に座る短い白髪の逞しい体をした老人がいた。
ルアはその老人の前に来ると一礼をした。目の間の老人はそれをみて言った。
「会えてうれしくおもうぞ、ルア、堅苦しい挨拶は構わん、今日の用とその者達は?」
その一言を受けてルアは警護を遣わず老人に話しかけた。
「ノエリア様からの手紙を届けに来たのとこの青年ルシアンを貴方に会わせたくて来たのよ。カルザス。」
「ほう?、、いや待てよ、その顔立ちあいつに似ているな?」
「ええ、ルシアンは兄様の孫よ。」
「そうか、会えてうれしいぞルシアンよ、まったくアルシの奴は突然愛する人が出来たというとそれっきりだったからな。あいつは元気か?」
「いいえ、閣下。祖父は亡くなりました。」
「何だと!?一体どうしてだ?」
「俺たちの住む町が魔物達が襲い掛かりその魔物達と戦ったようでした。」
「、、、、そうか、その魔物達は今は?」
「、、、、分かりません。再び襲われるかもしれないのでアストリア国王、ロア陛下は俺たちとアナ殿下をノエリア様の元へと遣わられました。」
「なるほど、、、ノエリア様からの手紙はその事についてのようだな。」
「ええ、カルザス。」
「手紙は後程拝読させてもらう。しかしあいつが亡くなるとはな、、、、、。」
思いふけるカルザスにルシアンは言った。
「私は祖父の様な騎士になろうと思ってます。フラック侯爵閣下どうかこの私を騎士見習いとしてお仕えさせて下さい。」
そう言ってルシアンはカルザスの前で膝間づくとサーディスも同じく騎士見習いにと願い出て膝間づく。その様子を見ていたアナも素性を明かし自身も訓練を受けたいと申し出た。
「長髪の青年よ、そなたの名は?」
「サーディスと申します。」
「ふむ、振舞からすると貴族出のようだな、そなたとルシアンの願い聞き入れよう。しかしアナ殿下、貴方様は一国の王女どうかご遠慮下さい。」
「、、、、分かりました。フラック侯爵」
「ルシアン、そしてサーディスよ、貴公らは今日からこの城で暮らし明日から厳しい訓練を受けてもらうぞ?覚悟はいいか?」
「はい!」
「よろしくお願いいたします!」
カルザスとの会見が終わるとルシアンとサーディは仲間達に一応の別れを言ってその場に残ッた。セシア、シャノア、リア、アナの四人はひとまずルアの治める街へと向かう事にした。街へ向かう馬車の中でルアが考えこんでいるリアに優しく語りかけた。
「リアちゃん、心配しないでルシアンとサーディスお兄ちゃんにはまた会えるわよ。」
「う、うん、あのねおばあちゃん、、一つお願いがあるの。」
「どんなお願いかしら?」
「、、、、住む所にお友達も呼びたいの。」
「お友達?私は構わないわよ。どんなお友達なのかしら?」
「う、うん、大きくて空を飛べるお友達なの、、、。」
「まぁ?空を??」
「ルアさん、リアちゃんのお友達はグリフォンなんです。」
シャノアがそういうと流石のルアも驚きを隠せなかった。
「人を襲ったりしないのかしら?」
「ゾルフィは自分から襲ったりはしないよ!」
「、、、、それならいいわよ。街の人々にも話しておくわ。でも大きそうだから城の中では無理ねぇ。街の外の山でもいいかしら?」
「うん!ありがとう。おばあちゃん!!」
「うふふ、お友達に会うのを楽しみにしているわよ。」
リアとルアがそんな話をしている中、ルアの城に住む事になったセシアはエティアスとカリアン充ての手紙を書いていた。
つづく




