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剣聖の孫  作者:
19/44

ルシアンの大叔母

 アストリア王国の王都から馬車にのり2週間ほどかけてルシアン達は国境へを越えてルファール王国内の外れにある街へと入った。その街に宿泊する事にして宿屋を探した。宿屋を見つけ出して中に入ると店主がルシアンを見てその装備からルファール王国の上級騎士と勘違いして声を掛けてくる。ルシアンは店主に身に着けている者は譲り受けたものであることを伝えると店主は敬語をやめてルシアンに接した。ルシアンは気になっていた事を店主に聞く。


 「この王国出身だったアルシという聖騎士は何処で暮らしていたか知ってますか?」


 「あの英雄、剣聖と言われたアルシ様のことかい??」


 「はい。」


 「知っているも何もアルシ様はこの街の領主だったよ。30年前に戦争が終わった時には妹のルア様に地位を譲ってそれからはルア様が領主様さ、そんな事も知らないなんてあんた本当にこの国の騎士様じゃなかったんだね。」


 店主と話を終えるとセシアがルシアンに尋ねた。


 「叔祖母様が気になりますか?ルシアン君。」


 「はい、この国の女王であるノエリア陛下とお会いした後、大叔母さんを訪ねてみます。」


 そう答えたルシアンにアナが気を利かせた。


 「それなら王都に行く前に貴方の大叔母様に会っても構わないわよ?」


 「いえ、大事な報告の前ですから大丈夫です。」


 「いいじゃねえか、アナ殿下のご厚意だ。お前の大祖母様に会いに行こうぜ?」


 「ボクも会ってみたいよ!!」


 「ありがとう、皆。」


 話が決まるとサーディスが店主にルアの居る場所を聞いた。店主は街の地図を見せて場所を教えてくれた。

 

 「早速向かおうぜ。よろしいですか?殿下」


 「ええ、公の場以外ではアナでいいわよ。警護も使わなくていいわ。」


 「分かりました殿下。」


 「わーい!よろしくね、アナお姉ちゃん。」


 「改めてよろしくね、リアちゃん」


 アナはそう言いながらリアの頭を撫でると、ルシアン達は宿屋を去りルアの居る居城へと向かって行った城の門まで着くと屈強そうな衛兵達が立っているのが見えてきた。衛兵達は遠間からルシアンの身に着けるサーコートを目にすると口にした。


 「聖騎士様?」


 「この街では見たことがないし身に着けてるサーコートも若い割には年季が入っていそうだぞ?」


 「確かに変だな。」


 「お前は衛兵隊長に連絡を、俺たちは話を聞いて調べてみる。」


 ルシアン達が門の前まで来ると衛兵達が質問してくる。


 「貴方達は?素性をお聞かせ願いたい。」


 その言葉を聞いたアナが答えた。


 「私はアストリア王国第二王女アナ・ディレル・アストリア。この地の領主であるルア殿にお会いしたい。」


 「アストリア王国の王女がなぜルア様の元に?それにそのサーコートを着た者、貴方は何者か?」


 「俺はルシアン・カイアス。ルファール王国、白聖騎士団の元副団長アルシの孫です。」


 「前領主であるアルシ様の?身分を証明できるものはあるか?」


 「このサーコートと剣です。」

 

 「そうか、、すまないが衛兵隊長が来るまで待って頂こう。」


 暫くその場で待つと衛兵と大柄な男がやって来る。


 「お前たち説明しろ。」


 大柄な男がそう衛兵に聞くと衛兵達に応える。 


 「はッ!、隊長、この者達はアストリア王国の王女とアルシ様の孫であると名乗っています!」


 「王女?そちらの方は確かに何処かの高貴な方の様だが、、、、」


 そこへルシアンと同じサーコートを身に着けた初老の騎士が通りかかるとルシアン達と衛兵隊長らを見て声を掛けてきた。


「どうしたのだ?お前達。」


「これは、ルイード様!こちらの方々の素性を聞いておりました。アストリア王国の王女様とアルシ様の孫と名乗っておりまして。」

 

 ルイードと呼ばれた騎士はルシアンをじっと見つめる


 「、、、、その顔立ち、アルシ様の面影が見える。それにその剣は確かにアルシ様が携えていた宝剣だ。衛兵隊長、今すぐこの方達を中に入れて広間までご案内して差し上げろ。私はルア様にご報告する。」


 「ハハっ!!」


 衛兵隊長に案内され城の広間に着くと前方に領主が座る謁見用の豪華な椅子があった。その奥から年老いた一人の貴婦人とルイードがやって来た。貴婦人はルシアンに近寄ると嬉しそうに声を掛けてきてルシアンの手をとった。


 「確かにお兄様の面影があるわ、貴方の名前は?」


 「ルシアンです。」


 「そう、会えてとてもうれしいわ。ルシアンに皆様方、今日はおもてなしさせて頂戴。」


 ルシアン達は大きな食堂に案内されて座ると次々に豪華な料理が運ばれて来る。ルシアンはルアにアルシが死んだ事を伝えると涙した。


 「そう、、、お兄様は亡くなったのね、でも貴方がこうして会いに来てくれてよかったわ。ルシアン、これからは私を家族と思って頂戴。」


 「ありがとうございます。大叔母様。」


 「アストリア王国の王族の方もいらっしゃるようね、この地にはどうして?」


 「ロア様は俺たちの町を襲った魔物達がギリア王国の差し金ではないかと警戒して同盟国のこのルファール王国へ使者として俺たちとアナ殿下を使わせになられました。」


 「そうだったのね、、、ルシアン私も一緒にノエリア陛下の元へ赴くわ、ノエリア陛下以外にも貴方に会わせたい人がいるの。」


「俺に会わせたい方ですか?」


 「ええ、貴方のお祖父さんの親友、白聖騎士団の団長を今も務めるカルザス・フラック侯爵よ」

 

 ハルウニアの国々その名を知られているガルザスは30年前終わった戦争で剣聖と呼ばれたアルシの上官でありハルウニア最高にして最強の騎士と謳われた人物だった。食事を終えると寝室へとルシアン達は案内される。


サーディスと同じ部屋になったルシアンにサーディスが話しかけてくる。

 

 「ルア様は暖かい人だな。それにお前のお祖父さんと共に英雄と言われるカルザス様に会えるなんてお前へと来れてよかったぜ。」


 「ああ。サーディス。俺、カルザス様に会えることになって考えたけどノエリア様とお会してアストリア王国の事を報告した後、白聖騎士団の騎士見習いになれないか聞いてみるつもりだ。」


 「そうかルシアン、俺もそう思っていたとこだぜ。明日は早いそうだから今日はもう寝ようぜ。」


 「ああ、おやすみ。サーディス。」


 そう言うとルシアンは目を閉じて眠りについた。


 つづく



 

 




 

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