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剣聖の孫  作者:
13/44

村を襲う魔獣

 ゼノス伯爵の元から手紙を届けるためにアストリア王国の王都へと向かっていたルシアン達五人は会話を弾ませながら進んでいく。


 「サーディスやセシアは王都に行ったことある?どんな所なんだろ?」


 「ごめんなさい。シャノア、私も初めてです。」


 「俺はまだ小さい時に親父と一緒に国王陛下のロア様にお会いしたことがあったな。」


 「王様って様どんな人だった?」


 「とても気さくで優しかったな。貴族にも平民にも差別がなくて評判も凄く良いな。」


 「へ~、会うのが楽しみになって来た!」


 「ちなみに跡取りが女性しかいないらしいぜ。」

 

 「ふ~ん。王女様達に関しては知ってるの?」


 「三人いてその内の長女であるメイリ様は聡明で知的な方で三女のシャーディ様はロアさんの様な気さくな方らしい。」


 「次女の王女様は??」


 「何でも剣術や馬術を熱心に嗜んでいてその腕はアストリア王国の王立騎士にも匹敵する方らしいぜ。」


 「王女様で剣術に長けるなんてカッコいいね!」

 

 サーディスとシャノアが話をしていると小さな村が見えて来る。マイケルが地図を確認して言った。


 「皆さん今日はこの村の宿に泊まりましょう。宿に着いたらの手配は私がします。」


 「ありがとうございます。マイケルさん。」


 村に着くと村人達が農具を構えてルシアン達を警戒した。


 「おめえ達は何の用だべ!!」


 「村には近寄らせないぞ!!」


 警戒する村人達にサーディスとセシアが言った。


 「おいおい、ちょっと待ってくれ。俺たちはただ通りすがっただけだ。」

 

 「何が起きたのか教えて頂けませんか?皆様」

 

 「そんな言葉には騙されねえぞ!!」


 若い村人がサーディスに農具を突き付けると一人の年老いた村人がルシアンを見て止めた。


 「待つだ!!エド、よく見ればそこの人が着てるのは昔、村に救援に来てくれたルファール王国の騎士様達と同じ格好だ!村長を呼んでくるだよ!」 


 「だけど!」


 「いいから、いくだよ!エド」


 「分かった!」


少し経つとエドと言われた若者が村長を連れてやって来る。村長はルシアンを見て頭を下げて村人達に安心するように言うとルシアン達を自宅へと案内した。ルシアン達は自身達がルファール王国の騎士ではなくゼノス伯爵の使いとして王都へと赴く役である事村長に話したうえで村人達が何故自分達を警戒したのかを聞いた。村長の話ではここ2日の間この村の畑や家畜が夜にに荒らされて襲われていてその犯人を捜しているという事だった。


 ルシアン達はその犯人を捕まえるのを手伝うと伝えると村長は喜んでルシアン達に礼を言った。その日の晩ルシアン達は村の外で見張りをしていた。深夜になると外れの方で家畜の牛の鳴き声が聞こえてくる。ルシアン達は急いでその場に行くと目を疑った。そこには鷹の上半身と獅子の下半身を魔獣が牛を咥えていた。サーディスが思わず口にした。


 「グリフォン!?どうしてこんな所に!?」


 ルシアン達を見るとグリフォンは威嚇して叫び声を上げてルシアンに襲い掛かって来た。ルシアンはグリフォンの噛みつきを何とか交わすと前足にクレイモアを振るった。前足を切られたグリフォンは叫び声を上げて嘴でルシアンを突いた。ルシアンはその突きを受けて倒れた。セシアがルシアンを見て叫び声を上げる。


 「ルシアン君!!」


 倒れたルシアンにグリフォンが襲い掛かろうとするとセシアはルシアンからグリフォンを遠ざける為に魔法でルシアンを吸い寄せた。間一髪でルシアンを吸い寄せるとマイケルが手にしていた弓でグリフォンの胸向けて矢を放った。矢を受けたグリフォンは上空に飛び立って西の小さな山のへと去っていった。


 倒れているルシアンにセシアが声を掛ける。


 「ルシアン君!」


 「大丈夫です。セシアお嬢様。」


 グリフォンの一撃を受けていたがアルシから貰ったチェインメイルを着たルシアンは無傷だった。


 「良かった。」


 「またこの村に襲い掛かって来るかもしれないな。どうする?」


 「手負いの今がチャンスかも」


 「そうだね、シャノア。サーディス、後追うでいいか?」


 「ああ、行こうぜ。」


 「皆さん気をつて行きましょう。」

 

 「はい、セシアお嬢様。」


 ルシアン達はグリフォンを追って西の小さな山へと向かった。


 つづく

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