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ハルウニア物語  作者:
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剣聖の孫

 ハルウニアの南西に位置する王国アストリア王国。古くから伝わるこの王国は100年前に起きた魔物達を使役したギリア王国との戦いで大打撃を受けたが友好国である神聖ルファール王国の聖騎士達の援軍やエストア王国、魔法連合ムスガルニアの魔術師達の協力の元70年にも及んだ戦いの末にも滅ぶことはなかった。そんなアストリア王国は30年前からルファール王国とムスガルニア、そしてエルフ達の国エストア王国の援助の元復興の道を歩んでいた。

 そのアストリア王国の辺境のゼノス伯爵領内の町でルシアンは育った。両親は病で亡くなり元はルファール王国の最強の騎士団の副官の聖騎士だった祖父アルシに育てられたルシアンは騎士なる事を志していた。

 ルファール王国からの援軍として幾多の魔物達との戦いに勝利したアルシの剣の師事を幼い時から受けていたルシアンはまだ16歳だったが町の自警団員より剣を扱う技量は高かった。

 アルシの指導の元剣の練習を終えた後ゼノス伯爵の四男で親友のサーディスがルシアンを訪ねてくる。


 「お疲れさん、今日もアルシさんには敵わなかったようだな。」


 「サーディス、今日はどうしたんだ?」


 「ああ、街で近々自警団員だけでなく剣を振るえるものならだれでも参加できる剣術の試合が行われるんだけどお前もどうかと思ってな。」

 

 「サーディス、お前も騎士になるんだろ?参加するのか?」


 「勿論だ、この領内の領主の息子として俺も剣の訓練はして来たし親父にも認めて貰わないとな。」


 「でもお祖父さんに相談しないとな。」


 「分かった俺はここで待ってるから聞いて来いよ。」


 ルシアンは自宅に入りアルシに剣術大会に参加していいかを聞くとよい機会だから是非参加するように答えた。

 

 家を出てサーディスに参加することを伝えるとルシアンとサーディスは自警団の詰め所へと向かい剣術大会に参加する旨を伝え参加書に名前を記入すると後ろにいたショートカットの少女が二人に声を掛けてきた。少女の名はシャノア、信心深い町の娘だった。


 「ルシアン君にサーディスじゃない。君たちも参加するの?」


 「ああ!今日はセシアと一緒じゃないのか?シャノア」


 「一緒だよ!エティアスさんの登録の付き添いで。」


 そうシャノアが言うと後ろからゼノス伯爵の妹セシリアの娘セシアと従者である自由騎士のエティアスが現れる。


 「サーディス、あなたも参加するのですか?」


 「ああ、俺たちも参加するぜ。」

 

 「ルシアン君も?」


 「はい、セシアお嬢様。エティアスさんも参加されるのですか?」


 「ああ、お嬢様とシャノア殿の推薦でね。もし試合相手になったらお手柔らかにたのむよ。ルシアン君。」


 「ボク達エティアスさんの登録が終わったらエティアスさんの剣術指南の様子を見に行くんだけど二人もどう?」


 「カリアンさんは来ないのか?」


 「カリアンはお母様と一緒に家にいますよ。」


 「サーディス、いくらカリアンさんが綺麗だからって鼻の下伸ばしてると嫌われるよ!」


 「ばっ!シャノア!そんなんじゃねえって!」


 慌てるサーディスの様子を見てシャノアとセシアがくすくすと笑う。


「是非、ご一緒させてください。」


 ルシアンがシャノアに答えを返すとサーディスも一緒に行くことを伝えて登録を終えた後五人で町の自警団の訓練所へと向かった。訓練所の入り口に行くと自警団員の一人が5人を出迎えた。


 「これはサーディス様にセシア様。」


 畏まってお辞儀する自警団員にサーディスとセシアが言った。


 「俺の事は気を遣わなくていいぜ。」


 「私の事も気にしないでくださいね。」


 「ハハっ!、それでは皆さまこちらへどうぞ」


 自警員に訓練所の中へと案内されると自警団が木剣の素振りや模擬戦を行っていた。自警団員はエティアスと自警団長の所へと赴きルシアン達は隅の方に座ってエティアスが何をするか見学することにした。自警団長が訓練していた新米の自警団員に自分とエティアスへ注目するように言った。


 「これからエティアス殿に剣の指導を行ってもらう!木剣を持ってエティアス殿の前に横一列に並んで素振りをする様に!」

 

  自警団長がそう言いうと新米の自警団員達はエティアスの前に並んで素振りをし出す。エティアスはその様子を見て新米の自警団達に指導を行って行く、それから数時間経ちエティアスの指南が終わると五人はそれぞれの家へと戻って行った。


 「皆行ったけどサーディスお前はどうすんるだ?」


 「俺か?野宿でもするかな?」


 「またか、、俺の家に泊まるか?」


 「悪いな、そうさせて貰うぜ。」


 サーディスを連れて自宅の中に入るとアルシがサーディスを見て挨拶した。


 「お祖父さん、サーディスも泊まらせていいかな?」


 「分かった。サーディス様、狭い家ですが今日はゆっくり休んでください。」


 「ありがとうございます。アルシさん」


 「ルシアンよ、剣術大会には私も見に行こうと思う。今までの稽古の成果を試してきなさい。」


 「分かったよ、お祖父さん。」


 会話をしながら食事を終えるとアルシは自室に戻りルシアンはサーディスと自室に入った。ベットに入るとサーディスが話掛けてくる。


 「アルシさんは剣聖と言われてた人だけど何でこの田舎町に留まったんだろうな?」


 「ああ。ルファール王国最強の騎士団の副団長だったそうだけど騎士団を抜けてお祖母さんと結婚した後もアストリア国王や諸侯、貴族から剣術指南の役を全て断ったみたいだな。」


 「不思議だな、、、剣術大会エティアスさんが優勝だろうけど俺たちも頑張ろうぜ!」


 「ああ!」


 会話を終えると二人は休んだ。

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