9/13
畑のお手入れ
「おかげでバターの在庫が残りわずかだ。仕入れを頼む」
「すみません、八雲さん。バターを作るのって、すごい大変なのに」
小麦くんの耳がたれていく。
「致し方ない。バターを持ってくれば、お菓子を作ってくれる?」
「ああ、報酬に上乗せしてやる」
そうと決まれば、牛のお乳を搾らなければ!大急ぎで青空カフェを出て、森の奥にある牧場に向かう。
畑を通り過ぎるときにひらめいた。
「今日は奮発してとうもろこしを持っていこう」
畑に行くとがさがさっと物音がする。
「あらら、畑の作物が食べられちゃってる。猪さんとかにやられちゃったかな?」
びくびくしながら草をかき分けていくと、そこにはドラゴンが眠っていた。ひいっ。なんで珍しい種のドラゴンがこんなところに!?見つかったら襲われるっ食べられるっ。思わず後ずさりをする。
「ぴきっ」
足元の枝を踏んでしまった。ドラゴンが目を開ける。万事休すだ!
「ひえ~ごゆるしを!」
ドラゴンはぽんっと着物を着た小学生くらいの男の子の姿になって、土下座をし始めた。