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バターをこんがり

 そこからの颯馬は早かった。小麦くんとの連携プレイだ。僕が手を出したら余計に時間がかかりそうだから、他のお客さんの接客担当だ。


 まず基本はオーブンの予熱から。


「210℃、いや180℃……やっぱり210℃に予熱してくれ」


 だいぶ迷ったな。さすがの颯馬も大混乱だ。それに、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。完璧主義の颯馬は、試作が済んでない料理をお客さんに出すのが許せないのだ。


 普段、バターは常温で柔らかーくしてあるんだけど今回はバターをレンジで時短でチン!溶けないように慎重に。


 砂糖をたっぷりバターにぶち込んでまぜまぜ。卵を少しずつ分離しないように、だけどいつもよりは一気に入れている。


 ベーキングパウダーを薄力粉と一緒にふるい入れる。いっつもメレンゲにこだわる颯馬には、こういうのに頼るのは屈辱だろうなあ。にやにや。


 生地を型に流し込んでいく。ここまでかかった時間は、3分30秒といったところだ。ちくしょう、スザンヌもしっかり時計を見ている。小麦くんったらあの令嬢のどこがいいんだ?


「ここまで順調ですけど、焼くのに結構時間がかかっちゃいますね」

 小麦くんが出来上がった生地をオーブンに持っていきながら呟く。


「小麦、そっちじゃない。今回は電子レンジで火を通す」

「「え」」

「やむを得んだろ。加熱時間は2分20秒だ」


 ふんわりバターのいい香り。いい匂いがしてきたけど、中身が見えない不安。

 チーン。どきどき。電子レンジの扉を開ける。


「これって……」

 僕は、颯馬たちが何を作っていたのかやっとわかった。

「そうだ。マフィンだ。まだ完全に焼きあがってないけどな」


 卵黄を刷毛につけ、生地の上に塗っていく。


「よし、次はオーブンで3分」

「らじゃーです」

 颯馬と小麦くんは、息ぴったりだ。


 マフィン、いや、青空カフェ特製なんちゃってブリオッシュをのせるお皿の盛り付けをしている。皿が良ければ全て良し。生クリームや旬のフルーツで華麗に彩られていく。


「さ、出来たかな」


 オーブンから取り出す時間が待ち遠しい。でも慎重にやらないと火傷しちゃうから気を付けて。 オーブンから取りだすと、焦げ目が黄金色について、まるでパンのようになっていた。


「このなんちゃってブリオッシュをスザンヌに持っていく役目は、小麦くんに譲るよ」

 颯馬はそもそも嫌がってるし、僕はなんだかあの令嬢とそりが合わないしね。


「いいんですか!?」


 こくこく。ぶんぶん。二人で大きくうなずく。小麦くんは尻尾をふりふり、スザンヌが座る、窓際の席へ向かった。


「スザンヌ様、ブリオッシュをお持ちしました」

「なにこれ。私の家で食べるものと全然違うわね」


 スザンヌは文句を言いながら、フォークとナイフで綺麗に切り分けていく。ぱくり。


「おいしい……」


 そのときの小麦くんの尻尾のふりふり速度は、電気を生み出しかねない速さだった。実際に、静電気でバチバチだったし。僕と颯馬も嬉しくて、こぶしを合わせたらすごい痛かった。


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