16. 裏側の思考戦
警備隊本部隊長室。
隊長フェネックは執務机に着いているが。
背後に人影がすっと現れ。
ミスティが叫んだ。
お前はっ!! と。
フェネックは苦笑いする。
「おや、ミスティアナ隊員は
お前呼ばわりは嫌いなのではないのかなw?」
「だから嫌なヤツに使うのです!」
ミスティは其んな所で即答する。
「ひっどい性格してるなオマエ!」
オニールがツッコみ。
「オマエって言うなあっっ!!」
ミスティは其れには即反発する。
結局の所。
フェネックの背後に現れた人物は。
夜盗、であった
黒ずくめの怪人物。
だった。
フェネックは何とはなしに言う。
「彼には捜査協力をして貰っている」
「「司法取引ってヤツでスか?」
オニールが即座に反応し。
「其ういう事だ」
フェネックが気軽に答える。
此処でミスティが尋ねる。
「シホーカイボーって何よ?」
「カイボーじゃあねえええええええええ!!
取引!! 「司法取引」な!!」
オニールが直ぐにツッコんだ。
「ぶっちゃけ、
警備隊の役に立てば罪を軽くしてやる!
って事なっ!!」
「其んな事許されるの?」
ミスティは嫌そうだが。
「世の中きれい事だけでは済まないのだよw」
フェネックが其う言ってしまう。
「特に今回はなw!」
「え? やはり?」
オニールが何やら聞き返し。
「うむ」
フェネックが頷く。
「何がよっ!」
ミスティにはやはり
付いて行けない話だったが。
オニールが言い難そうに。
重々しく告げる。
「やっぱり。
内通者が居る様だ……」
「だからこそ。
外部から警備隊を探れる
「彼」の立場が貴重だった訳だw」
フェネックは。 説明する事で。
オニールの言う事を肯定した。
「許せないっ! 誰なんですっ?!」
ミスティは激昂するが。
「おーいw! 暴走はするなw?
決定的な現場でもないのに
突然犯人だろーとか掛かって行くなんて
最悪な行為だからなw?」
オニールが抑え。
「其ういう訳で未だ断言は出来ないなw」
フェネックがやんわりと誤魔化す。
「其んなっ! 誰だか聞いておく位は……!」
ミスティは食い下がるが。
「間違っても聞かせちまったら
碌な事に成らない未来しか見えないw!」
やはりオニールが抑える。
茶化しているかの様だが。
「其ういう事だ」
フェネックも賛同する。
「何でっ!」
更に言い募ろうとするミスティに。
流石にオニールも目が険しく成る。
「信用されていないんだよミスティ!
いい加減気付け!」
「私が嘘吐きだとでもっ?!」
ミスティはオニールには激しく言い返すが。
オニールは冷たい目付きで言う。
「いや? 其れは無い。
が! しかし!
バカには味方で居て欲しくないんだ。
誰でもな!」
「何だとおっっ!!」
愈々ミスティも怒り出すが。
「ミスティアナ隊員!」
此処でフェネックがぴしゃりと言う。
「大分時間が過ぎたが?
日常業務を熟しなさいと言った筈だぞ?」
「うっ……うぅ~う~……!」
とうとうミスティは泣き出してしまう。
「あー……! どうしましょう?」
オニールが困ってしまうが。
「ミスティアナ隊員は。 今日は無理だなw!
わたしが見ていようかw?」
フェネックの提案には。
「いやー……! コイツ、
家庭の事情から複雑なんで……!
隊長にご苦労をお掛けしても
全く甲斐が無いのではないか、と」
オニールは否定的だった。
「ふむw! では其処のソファにでも座っているかね?
お茶は出せんがw」
フェネックが言うのは。
隊長室の応接セットだ。
が。 オニールは。
「いやあ……! 町の見回りだったら
コイツ宥めながらでも何とか出来ると思うので!
行ってきますw!」
職務に忠実なのか
隊長の目の前は嫌なのか、だった。
「其うか。 残念だw」
此の時のフェネックは。
意地が悪そうなニヤリとした笑みであった。