1. ミスティとオニール
「お前呼ばわりは嫌いだと言ったでしょがあああ!」
町中に女声が木霊する。
処は中世西洋風と言った町。
声の主は。
まるで一本の木、
みたいな女性であった。
緑鮮やかな髪。
例えではなく本当に。
其して
真新しい革鎧に身を包み。
其れが木の幹の様だった。
更に。
肌が露出しているのは顔のみ。
腕や脚は濃緑の肌着に包まれ。
手足は革の手袋とブーツを着けている。
鎧は革製だが本格的な重戦士ルックである。
手袋とブーツはお洒落でか。
白だった。
腰には歩兵の片手剣を佩いていた。
其んな女性が怒鳴った相手は。
一言で表すなら野伏、であろうか。
外套と革製の部分鎧に身を包み。
白兵槍を手にした男であった。
目付きは穏やかなものの
全体的に茶褐色な猛禽類を思わせる。
其の男が宥める様に言う。
「済まんってばw! けどなあ!
ミスティの言い様が丁度突っ込み易くてなw!
定型文みたくつい言っちゃうんだよw!」
「屁理屈屋が又何か言っているよ!」
女戦士ミスティが吐き捨てる。
男は苦笑いするが。
「屁理屈って……w!
ミスティも社会常識は覚えろよw!」
「ボケ突っ込みが社会常識なんだ? オニールには!」
ミスティは仏頂面だ。
「ボケてる自覚有るのかよw!」
又つい、という感じに
野伏オニールは突っ込んでしまう。
「私はボケてない!
オニールの屁理屈に合わせて上げただけっ!」
ミスティは終始噛み付くかの様だが。
其れでもオニールとは気心の知れた仲、
という風であった。