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変身
「へ?」
「やめて! 見ないで!」
突然、ぼわんっと音が鳴ってキラキラと光る煙が発生した。
その煙の中で黒猫は時を操るようにゆっくりと姿を変えた。
全身を覆っていた黒色は膝上丈のドレスに変わり、すらりと長い足が魅惑的に伸びる。
シースルーの袖。
背中が開いたドレスからは黒色の毛から想像もできないくらい白い肌が覗いている。
そして美しく銀色に輝く長い髪。
髪の隙間からは猫耳が見える。
その神々しい様子に目を奪われていたらこちらを向いた上目遣いの碧眼と目が合った。
「見ないでって言ってるでしょ!」
「空大! こんな大胆な服! 空大が想像してるの!?」
美月が俺の目を両手で覆って隠す。
「いや、俺は何も」
「猫ちゃん嫌がってるじゃない!」
「別にこれはいつもの服」
「え? そうなの?」
「そうなの」
「えと、ふたりとも、ごめんなさい」
冤罪が晴れてよかった。
俺の目を隠しながら美月が続ける。
「じゃあ、なんで見ちゃいけないの?」
「呪われた姿だから」
「「ん?」」
「醜いから」
「はぁ!?!?」
「ええ!?!?」