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異世界の朝
「チュン、チュン。おはよー」
「おはよー! チュン」
あ、この世界ではスズメもしゃべるんだ。
窓に寄りかかり歯を磨きながらやけに冷静に思う。
朝チュン、憧れてたな。
俺は朝日が昇る水色にピンクが溶け合った空を遠い目で見る。
なんだろうこの気持ち。
なんか、悔しいけどこれでいいみたいな。
美月との初めての夜が不発に終わり、今夜こそは! とか思いたいとこだけど、なーんか、このままでもいいような。
俺は仲良さそうにベッドで寝ている二人に目線を落とす。美月はソラナの方を向きながら、ソラナはヘソ天で幸せそうに笑って寝てる。
思わず唇で歯ブラシを固定し、両手の人差し指と親指を上下に合わせ四角を作った。そして右目をぎゅっとつむりその光景にかざす。
「うん! いい画だ」
きっと今夜の組み合わせもこうだろう。
まーーそれが当たり前ですし。いーですいーです想定内です。拗ねたりなんかいたしません。
なんて。でも本当平気で。
昨日までと比べて大人になったんだろうか、俺。




