かわいい
「ぐ、ぐるじい」
銀猫を美月と俺で受け止めたらなぜかこうなった。
俺の上に乗ってる二人を軽く叩いて反応を見る。
「おーい。おきろー」
「ん」
「あ! 美月! 大丈夫か!?」
「大丈…って、ごめん! きゃあ!」
慌てて俺の上から降りようとした美月は尻もちをついた。
「か、かわ…!」
…ちがうちがう。俺は頭をブンブン振る。
「美月大丈夫?」
「うん」
目が! 目がうるうるしてるんだよ!
あーもう言わずにはいられない。
「かわいい!!」
「「へ?」」
銀猫が急に顔を上げた。
「お、銀猫!! 気がついたか!」
「なにこれどういう状きょキャーーーーーーーーーーーーーー!」
銀猫はすぐさま俺から飛び退く。俺と美月はどこまでも響き渡る悲鳴に耳を塞いだ。
「変身、変身してる」
わなわなと震える銀猫。
「また抱きしめた?」
銀猫は腕を胸の前でクロスさせ自分を抱きしめながらこちらを見る。
「変な誤解生むような言い方やめろ! お前が屋根から落ちたから下で受け止めたの!」
「あ、そういえば」
「そういえば!? ったく心配したんだぞ」
銀猫は後ろを向く。猫耳が垂れている。
「そもそもなんで屋根なんて登ったんだよ」
「消えちゃいたくて」
「「え」」
「消えちゃいたかったの。どうしていいかわからなくなった」
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