表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/23

本音

 俺は急いでドアの方へ走る。

「銀猫!」

「ソラナ!」


 ゴチッ


「いっ」

「きゃあ」

「美月!」


 同時にドアを開けようとしてぶつかった。

 倒れていく美月を咄嗟に受け止める。


 大人二人が倒れドタドタッと無垢材でできた床が音を立てる。


「いたた」

 涙目でおでこを押さえる美月のかわいさたるや。

 眼鏡がずれてるところがたまらない。

 その美月が今俺の上に乗っている。

「ごめんな、痛かったな」

 俺は美月のおでこに手を伸ばす。

「わっ!空大ごめん」

 状況に気づいた美月が降りようとする。

「いいから」

 俺は美月の首の後ろに右腕をまわし彼女を抱き寄せる。

「あっ」

 声を漏らす美月を捕らえるように俺は彼女の右手を握る。

 首を傾ければ、すぐ触れる距離。

「美月」

「ん」

 唇やらけー。

 もっとほしくなる。


『追いかけてくるような根性なしとはこれ以上一緒に行動していられないから。ちゃんと決めなさいよ』


 銀猫の言葉が頭をよぎる。


 あれじゃあ、これからも一緒に行動したいって言っているようなものだ。


「美月」

「空大?」

「ごめん」

「うん」


「「迎えに行こう」」


 ぷっ


 俺と美月は同時に吹き出す。


 はははははっ!


 くっそー銀猫、いい雰囲気をじゃましやがって。

 もうお前がいない方が調子狂うんだよ。


「私は最初っからそのつもりだよ」

「ちょっとはドキドキした?」

 立ち上がりながら聞いてみる。


 ……美月さんは無言だ。


「俺だけか〜」

 いたたまれなくなった俺が音を上げてしゃべると、服の袖を掴まれた。

「内緒」

 その声の微かな震えが胸に響く。

 顔を見せてくれない彼女の本音は俺だけが知っていればいい。


「行くか」

「うん」


 バタンッ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あー二人近い!近い!と思いながら、読んでてドキドキしました。 臨場感がいいですね。
2021/05/05 23:55 退会済み
管理
[一言] やだっ!空大君がカッコいいです。笑 紳士的で素敵ですね〜! 二人の絆が見えるやり取りでキュンとしました(*´꒳`*) あぁ、幸せになって欲しいなぁ。 銀猫ちゃんも、二人も。 次も楽しみ…
[良い点] きゃーきゃー甘ーい! ここでソラナ置き去りでイチャつくような二人じゃないとは思ってましたが、むしろその方が甘いです! 唇へのキスで止まれなくなると言いつつ、「ごめん」と止まれる空大、良いで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ