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プロローグ
むかしむかし、そのまたむかし。
おおきな、おおきな王国がありました。
王国には愛にうえた王様がおりました。
夜闇より深い黒い髪、太陽に焦がされた黒い肌。
まっくろな王様を国中が嫌いました。
まっくろな王様を愛してくれる人はいませんでした。
まっくろな王様は、その心まで黒く染められてしまったのでした。
どこもかしこも敵ばかり、王様のみかたはひとりもいません。
王様はお城を飛び出しました。
逃げて逃げて。走って走って。どこか遠く。
誰も、王様を知らないところへ。
王様は走ります。
雨に降られ、転んで泥まみれになって、ぼろぼろになっても王様は走ることをやめませんでした。
そして、緑の美しい村にたどり着いたのでした。