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学校小説  作者: 山猫だって眠りたい
1/1

転校生

 中二病患者の主人公の少年、田宮(たみや) 賢治(けんじ)が長いぼっち期間の後に、自分と似ていると思う少女に出会い、学校教育史上に残る事件を巻き起こす。


 物語は主人公が小学校5年の春にある町の小学校に転入する所から始まる。主人公は幼少期から周囲から浮いている存在だったが、小学校4年頃から中二病を本格発症し、新しい学校では転校生ということもあり完全にぼっちになってしまう。


 そして自分を理解してくれる者はいないのかと嘆き、同級生や学校への反発心を抱いていく。


 前半はぼっち描写が長いです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


                     転校生

                      

「初めまして、OO市から来ました、田宮賢治です。よろしくお願いします。」


 俺は始業式の後、教室で自己紹介をして席に着いた。我ながら上出来だと思った。クールでミステリアスな雰囲気を醸し出す、低めのトーンと何かを見透かした様な目を達成出来た。


 俺はこの学校ではクールで謎めいた転校生として過ごすと決めていた。


 帰りの会が終わると、転校生である俺の所にクラスの生徒達が集まってくる。そしていくつかの質問を投げかける。


「田宮くんは親の仕事で転校してきたの?」


「はい、まあ、そんな所です。」


「色白いね。やっぱりOO市って都会だから?」


「いえ、もともとです。」


 質問に丁寧語でよそよそしく答える。いきなりなれなれしくしたのではクールでミステリアスな雰囲気が台無しだ。


 やがて質問がやみ、俺の周りの生徒も少なくなった。


「それじゃ、僕はここら辺で帰ります。」


 俺の周りに残っていた生徒にそう告げて、グラウンドで遊んでいる生徒達を横目に帰途についた。転校1日目はなかなか好感触だ。


 家に帰ると、母親が待っていた。


「新しい学校はどうだった?」


「別に。」


 俺はすげなく答えて、リビングのテレビでCSのドキュメンタリー番組を見始めた。


 しばらくすると、3年生の弟、智樹(ともき)が帰ってきて


「賢治より遅かったね、どうしてたの?」


「放課後、一緒に遊んでた。」


「もう遊ぶ人ができたの?良かったね。」


 などという会話が展開されるが、俺は馴れ合いの友達など作る気は無いのでどうでもいい。


 その夜、両親の部屋から会話が聞こえてきた。


「智樹は遊び相手が出来たみたいだけど、賢治はやっぱり・・・ね。」


「そうか・・・。」

      

「あの子、昔から浮いてたから・・・。」


「でも、まだ転校初日だし、そんなに心配することはないんじゃないか?」


「そうだといいけど。」


 俺は、自らを好く者を好くだけであり、真に友人と呼べる者がいれば、友達になるのにやぶさかではないが、あの低俗な連中と無理に馴れ合いの友達を作る気など無い。全くもって無用な心配をする親だと思った。


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