単純で凄惨な大人と子供の問題
「アンリが消えた?それはほんとか⁉︎」
ーーまさか、悪ガキ共にどっか閉じ込められてんじゃねぇだろうな。
そう思考を巡らせば、扉の影から悪ガキ筆頭である、宰相の孫がくいかかって来た。
「今の言葉、どういう意味でしょうか?」
「そのまんまだ、朝飯食う前から見当たらねぇんだとよ」
「もうすでに夕食時ですよ⁉︎」
「だから皆んな焦ってんだろうが、城ん中どこ探しても居ねぇんだとよ」
ーーもし、今城下に降りたならば大変にヤバイ。
賢王はあらゆる状況を鑑みて不穏な想像の結末に顔色を喪う。
「私が探して来ます」
「おい、お前が見つけてもアンリ逃げるだろうがよ。だいたい、探す当てあんのか?」
「そんなこと言われなくともわかってます」
「どっちがだ」
「どっちもです」
自らの年齢の7倍は越える老獪な権力者に一歩も譲らず睨みつける。
「現在の城外は得体の知れぬならず共の巣窟です、そんな中にあのアンリが捕らえられれば無事では済まない」
「ずいぶん詳しいじゃねぇか、バディストの入れ知恵か?」
「祖父は関係ない」
きっぱりと言い切り澄んだ鳶色の瞳で真っ直ぐ見返し腰を折る。
「時間が惜しいので失礼します」
「おい、これ持ってけ」
飾り棚にあった王家の紋章入りの短刀を放って不敵に笑う。
「なんかの役には立つだろ、好きに使え」
「確かにお借り致します」
「ヴィンセント」
「はい」
「アンリのこと頼んで良いか?」
「言われるまでもありません」
子どもとは侮り難い笑みを浮かべ、身を翻し早速と立ち去った。




