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異星奮闘記  作者: アルト
建国に向けて
6/19

第5話

今までの見直し、改訂が一段落ついたので、投稿します。

第五話〜商人ギルド〜


〜Side 僚也 〜


寧香と俺は商人ギルド総本山の目の前に転移してきた。

手を繋いでギルドの中に入ると直ぐに商人に声をかけられた。

『ルーナ』の名を告げると直ぐに一番奥の小部屋に通された。

程なくして、可愛らしい少女が入ってきた。


一応『分析X』を使って調べておく。

セリー 女 17歳 所属国 アーサー 所属ギルド 商人ギルド総本山

レベル高いなぁ……商売IXだよ

俺と同じじゃん、マジか

なかなかやりてなんだろうなぁ……


黒髪と蒼眼の可愛らしい少女で背は160くらいか……

質のいい服を着て仕事がとても出来るやり手の風格がある。


「お待たせして申し訳ございません。私は商人ギルド総本山副ギルド長のセリーです。

 本日はよろしくお願いします。」


流れるような挨拶と優雅な礼。間違いなくやり手だ。

元いた世界からこういったこともやってきたんだから……という自信を持って俺たちも流れるように挨拶をする。

「『ルーナ』店長のトモヤです。」

「同じく『ルーナ』店長のノドカです。」

「「こちらこそ、よろしくお願いします。」」


そう言って二人で同じように息をぴったり合わせて礼をする。打ち合わせで今回の交渉は俺がすることに決めてある。


「さて、本日はどういった御用でしょうか?わざわざあの『ルーナ』の店長自ら足を運んでいただいたわけですから

 大きなお話なのでしょう?」

少々鋭い眼光を向けられるが、今回は無視して話を進める。

「はい、実は以前より『ルーナ』はどの国にも、どのギルドにも属さない立場を貫き通しておりましたが、

 今回、かのフローネ大陸から居をティロス大陸に移して活動をしていきたいと思っております。

 そのため、この商人ギルドさんの傘下に入ろうと思いまして………」


そこまで言いかけたところで担当の副ギルド長の表情が驚きに包まれたように見えたが、それは間違いではなかった。

「なんと!?あの『ルーナ』が我ら商人ギルドにですか!?とても光栄なことではありますが、事が事なので私だけの一存ではすぐには承諾できません。

暫くお待ち頂けますか?今からギルド長のシェリーを呼んでまいります。」


「分かりました。ではよろしくお願いします。」


そう言ってセリーは直ぐに出て行った。ほんの2分も経っていないがセリーがシェリーを連れて来た。


「お待たせしました。こちらが商人ギルド長のシェリーです。」

「シェリーです。本日はよろしくお願いします。」


「『ルーナ』店長のトモヤです。こちらこそよろしくお願いします。」

「同じく『ルーナ』店長のノドカです。よろしくお願いします。」


「私からシェリーに先ほどの話は全て伝えましたので、私は一度席を外します。では、シェリーよろしくお願いします。」

「ん、了解。さて、今日は遠いところ足を運んでいただいてありがとうございます。

 『ルーナ』が我ら商人ギルドに所属していただくのはとても光栄ですわ。歓迎いたします。」


「ですが、自分らは紹介状は持っていませんがよろしいのですか?」


「まぁまぁ、トモヤ殿、そう固くならないでください。私は商人ギルド総本山の長ですよ?

 私が良いといえば他の商人は従いますよ。あぁ、それと丁寧な口調でなくても結構ですよ?私もこの丁寧な口調は疲れるので」

あまりその提案を呑む必要はなかったのだが、ボロが出るよりは自然体に近い口調の方が幾分か楽だと判断して俺は提案を呑んだ。

「そうか、それはありがたい。では、どのような取り計らいをしてくれる?」


「そうだねぇ……あの『ルーナ』だからねぇ………」


とここで、さっきから気になっていた?あの"って部分が気になっていた寧香が口をはさんだ。


「“あの”っていったい何があるんですか?」


「あぁ、そのことかい。私ら商人ギルドでも扱っているモノのランクはAが最高だったり極珠にSランクのモノを扱うんだけど……

 『ルーナ』じゃ最低ランクが確かBだったっけ?それで普通にSランクも店頭にホイホイと置いてあるって言うじゃないか。

 商人ギルドよりもレベルの高いものを扱っている『ルーナ』がうちのギルドに所属したいって言われれば大事だからねぇ……

そうだねぇ………AとSランクのモノは私かセリーに仲介して売ってもらうか、自分でオークションに出店しておくれ。

 Bランク以下のモノはどこで取引してくれても問題ないよ。」


「はぁ………そうなんですか………」

そういった曖昧な返事をすると、元いた世界の時から交渉時によくやっていたアイコンタクトで寧香が

えぇ!?S扱ってないってありえない・・・トモ君どうするの?

と伝えてきたが、一応ここは俺が主導で交渉すると前に決めているので任せて欲しいと合図を送る。

すると、不承不承ながらもわかったと引いてくれた。


なので、話をサクサク進めて上手くまとめようと少し気合をいれることにする。


「うぅん………ここまで来るのが遠いのでなんとか融通を効かせてもらえないかな?

 効かせてもらえるなら、Sランクのモノも幾らか譲っていいと思うんだが……」

こちらの魂胆としては、Sランクのモノも倉庫にゴロゴロと転がっているためたった数個の出費など痛くも痒くもないのだ。

その上、自分達は初期投資額も巨額なものであり、さらに商人ギルドに対して何らかの融通が得られるのであるならば、最早怖いもの無しだ。

少々困った迫真の演技をしながら、返答を待っていたが、意外に早く返答してもらえた。


「本当かい!?………じゃセリーを君達の専属仲介人にするよ。

 なんだったらアーサーの地を離れさせてティロスまで連れて行ったっていい。おぉい、セリー入ってこい」


「お呼びでしょうか?シェリー?」


「うん、呼んだ。早速で悪いが、セリー、トモヤ殿の専属になってくれんか?副ギルド長の立場はそのままで」


「えぇ!?そんな『ルーナ』の店長様の専属だなんて恐れ多いですよ。それにトモヤ殿は私なんかが専属でいいのですか?」


自分に意見を求められたので、これ幸いとセリーを自分達のものとする為に落とそうと画策してみたが、隣から絶対零度の視線を感じ商人ギルドの人たちに見られないよう身震いした。

そうこうしているうちに、俺ではなく、寧香が話を進め始めてしまった。

なんということだ、これではセリーを俺のマスコットにできないではないか!


などとくだらないことを考えつつも話の輪に戻ることにした。


「うぅん…… セリーちゃんって商売IX持ってるよね?信用はできるし、いいと思うけど…トモ君は……聞くまでもないかもだけど、一応聞いておくよ?」

「えっと、その聞くまでもないってのは微妙なんだが………それはそれとして、セリーが敬語とかなしにして堅苦しくなくなったらなおいいと思うよ。」


俺たちの意見を聞いたところでシェリーがセリーを説得にかかる。

「だそうだ。セリーよ頼めないかな?シェリーの名にかけて副ギルド長の立場はそのままにすることも誓おう」

シェリーの宣言を聞いてもなお、セリーの表情は晴れなかった。

「私は……その……力があまり強くないのでティロスでやっていけるかどうか正直不安です。」

そんな切実な不安を口にしたセリーに大丈夫だと諭すように寧香が説得にかかる。

「あぁ〜……じゃぁ私とトモ君と一緒にいればいいんじゃなかな?トモ君もいいよね?」


「俺は問題ないよ。基本寧香といればほとんど敵なしだし。セリーがいいなら問題ないんじゃないかな?」


とりあえずは着いて行ってもいいかもしれないと思い始めたセリーは俺の答えに頷いている。

……が、予想外のことに寧香が横から急に会話を脱線させた。

「ところでさ……例の義務をトモ君はどう考えているの?一応セリーの加入があるから問題なさそうな人数は揃ったけど……」


「俺はそれについては消極的なんだけどなぁ・・・正直、寧香がいればそれでいいし・・・」


そんな話を耳聡く聞きつけたセリーは恐る恐る会話に入ってみることにした。

「あのぅ………ひょっとしてトモヤ殿は純系のそれも純度の高い方なの?」


「えぇ、まぁ純度Vで、そうなんですけどアマートルは消極的なんで……」


「なんと純度Vですか。指輪を持っていないとなると、まだ申告はしていないんですね?

 是非この商人ギルドに申告していただけないでしょうか?うまく取り計らいますよ。ね?シェリー?」


「えぇ……セリーが専属になったらうまく取り計らってもいいけど…

 具体的には『特権』の条件をゆるくしてあげたりとか、アマートルに危害が加えられないようにするとか

 プラチナの指輪は当たり前だけど魔力付加された首飾りもプレゼントしてみたりとか、

 性剤の価格をちょっと色をつけて買い取ってみたりとか………」


「まぁ申告はしてないんで今ここでしちゃいたいんですけど、シェリーいいかな?」


「もちろんよ。それと性剤を売って欲しいんだけどいいかな?もちろん値段も相応のものにするわ。

 純度Vなんて現存しないはずだった伝説よ〜。欲しいに決まってるじゃない。

 てことで、セリーちゃんを口説いちゃって欲しいんだけどいいかな?」


「あぁ〜それは……寧香が良いって言ったらね?」


「ん〜?トモ君なら何人アマートル作っても変わらずに愛してくれるんでしょ?言うことなんでないよ〜」


「そっか。大丈夫、寧香を一番に愛することに変わりはないから。」

そう言って僚也は寧香を抱き寄せ、そっとキスをした。その際、少しセリーとシェリーの二人が顔を赤らめているのがちらっと見えてしまったが……気にしたら負けとばかりに僚也は熱い口づけをする。


「んっ……!………ふぅ……ありがと。けどちょっと場所がね……我慢しなくちゃいけないじゃん…」


「ふふふ。帰ったら続きしようね〜」


「うん。寝かさないゾ。楽しみにしてるよ」


「ん、俺も楽しみ。」



















「えっと私たちを無視していい感じの雰囲気を出してくれるのはいいんだけど、セリーが真っ赤になっちゃってるけどいいの?」

そう言われて我に返った俺は説得(クドキ)にかかる。

「あ!……えっと、セリー?いいかな?」


「ふぇ?なんですか?」


「セリーは俺たちのこと嫌い?少なくとも俺はセリーのことは嫌いじゃないし、可愛いから一緒についてきてほしいんだけど…」

そう切り出してみると、こともあろうかセリーは少々暴走気味に自分のことを語り出した。

「ふぇぇぇ………可愛いって……別に私はトモヤさんのことは嫌いじゃないですけど、むしろ好きな部類ですけど……

 私は力もないし、外を出歩くときは必ず魔力付加されたマントと帽子をかぶらないとSランクモンスターがあつまってきちゃうし、

 迷惑をかけると思うのですが……それに私はそんなに可愛くはないですし、できることと言ったら商人との取引ぐらいですし、

 トモヤさんのアマートルにこんな魅力のない私でいいんですか?」

少々引っかかる言葉もあったが、着いて来る意思が無い訳ではないことがわかったので精一杯に思いを伝えることにした。

「魅力がないだなんて自分を卑下するのは感心しないなぁ……セリーは可愛いんだから

 もっと胸張って堂々としていれば十分魅力的な女性になるよ。

 それにね、俺とのんちゃんはハイヒューマンだし、仲間の苑香もハイヒューマンで『ルーナ』の店番のセレーネはハイエルフだから

 怖いものなんて何もないよ?たとえSランクモンスターがたくさん集まってきても俺なら問題なく全部瞬殺するし……

 俺たちはみんなで足りない部分を補い合ってあの“最強”になったメンツだから……無理することは何もないよ。

 だから俺と一緒に来てくれないかな?」


「…………はぃ…お伴させていただきますぅ……」


「よかった。ありがとう。これからよろしくね?」

そう言って、セリーにゆっくり近づき触れ合うだけの甘く優しいキスをする。

「ふえぇぇぇぇ!?いきなりキスだなんて……心臓止まりそうでしたよ!

 嬉しいですけどちょっと場所を考えて欲しかったです……」


「ふふふ、よろしくね?セリーちゃん。それと、トモ君お疲れ様〜」

「ん、ありがと。」


「はい、よろしくお願いします、トモヤさん、ノドカさん。」

話が大方まとまったところでシェリーが次を促す。

「それじゃ、セリーが専属に決まったことだし、申告と登録を5分で済ませちゃうからちょっと待っててねぇ〜」


「「「はぁい」」」

そう言って申請と登録の手続きをするためシェリーは部屋を出ていった。


残されたものたちに暫しの沈黙が訪れるが、セリーによって比較的早く打ち砕かれた。

「そうだ、トモヤさん、ノドカさん。ギルド銀行ってご存……じゃなかった、知ってますか?」

セリーが早速堅苦しく感じないように敬語を少しずつ砕けたものに帰る努力が見られ、俺たちは好意的に感じたが、

今はセリーの努力よりもその発言に興味を惹かれていた。

「「え!?なにそれ!?」」


「やっぱり、知らなかったんですね………まさかと思いますが大金を持ち歩いたりしてないですよね?」

俺たちの金銭感覚は元いた世界でやっていたエージェント活動のこともあり少々ズレていると感じていたが、この世界では元いた世界よりもさらにズレが酷くなっていることを俺たちはまだ知らなかった。


「「大金って額がどれぐらいなのか知らないけど、金貨はたくさんあるよねぇ〜」」


「えぇぇぇぇぇ!?なに国が買える以上のお金を持ち歩いているんですか!?」


「「だって取られないし、俺たち(私たち)は『ルーナ』だし……」」

そうなのだ。ゲームでも大金が行き来していた『ルーナ』の店長を二人でやっていたことも祟って、二人の金銭感覚はこの世界の者には考えられない程狂っている。

だが、もともと小市民である二人はそのズレをいち早く今の会話で感じ、即座に修正するよう心に決めた。

「あまり大金を持ち歩くのは危険なので通常はギルドがお金を預かっているんです。それに、低金利ですが利息も付きます。

 ギルドカードがあればどの街でも引き出しできるので大きな取引になるほど利用者は増えているんですよ。

 なので、トモヤさんもノドカさんもギルド銀行にお金を預けましょうよ。」


「へぇ……利息ねぇ…寧香……は、もう納得した。目線で登録しろって言うなよなぁ……じゃ俺らのも預けるか。」

「よかった……心配事が一つ減った………じゃあシェリーがギルドカード持ってきたら預金しましょうね。」

「「うん、わかった」」


そうこうしているうちに、シェリーが『ルーナ』がギルド登録されたギルドカードを人数分と

ミレストスのプラチナの指輪を5つとプラチナの指輪をもう一つ持ってきた。

指輪に関することはセリーに聞けとシェリーは説明しなかったが、ギルドカードの説明を始めた。

ギルドカードの表には隼のマークがついており、周りにキラキラと光る刻印がある。

この刻印はギルドのエースの証であり、以前はセリーがつけていたのでそのまま『ルーナ』に引き継がれた。

裏側にはギルドの紋章と下側に10桁の数字とルーナと書かれていた。

商人ギルドの店で提示すれば、割安で購入でき、割高で買い取ってもらえる。

それギルドの紋章に触れるとマップが空中に映し出され、その場所の地図と現在位置、地点登録機能、

案内機能がついている優れモノだ。


銀行のことをシェリーに話すとギルドの受付に置いてある変な(?)オブジェの前に連れて行かれた。

カードを出してオブジェを操作すると12489という数字が出てきた。

『ルーナ』の登録ナンバーのようだ。指定されたところに試しに金貨5枚を置くと一瞬にして消えた。


そのまま自然にカードが消えるまで待てとの事。カードが再び出てきたので裏を見てみる。

50億という数字が出ている。これが預金ということらしい。


買い物をするときは裏側のボタンで金額を設定してカードを入れて操作したら貨幣が出てくる。カードを出すと設定した分の金額が50億から引かれていた。


ちょっと便利そう!


俺たちは期待に胸をふくらませながら、商人ギルドを出て転移魔法でホームに飛んだ。

誤字脱字等ありましたら、報告していただけると幸いです。


次回の投稿はストックが出来次第投稿するつもりです。

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