第12話
夏風邪をこじらせてしまい、かなり時間がかかってしまいました。
更新を楽しみにしたいらした皆様ごめんなさい・・・
第十二話〜神の世界にて再会〜
Side~???~
どこまでも白い空間
果などなく、遠くかと思えば近く、近くだと思えば遠い、よくわからない場所
そこには「老人」にも「若者」にも、「男」にも「女」にもみえるオメシワトルとイツラコリウキがいた。
「『Altanik』で上手く霧を打ち消したようだな。流石だ。」
そう褒められたイツラコリウキは照れたりせず、ただ淡々と今後起こるであろう事態について不安を感じ自らの上司で能力も勝るオメシワトルの指示を仰いだ。
「いえいえ。邪神が発生させたと思っていたのですがあの程度の霧は問題にはなりませんよ。それより、よろしいのですか?『Earth』から百人以上もの人の魂を飛ばしてしまって」
「仕方ないのだ……こればかりは『Earth』の神であるアトゥムが協力してくれない限りこうするほかないのだ…………」
その言葉を聞いた時、オメシワトルの系列である神の誰かが報告を怠ってるのであろうと仮説がたてられたが、自分にとばっちりが来るのをよしとしなかったためイツラコリウキは噂話程度でオメシワトルの耳に入れておくことにした。
「アトゥムなら最近眠りから覚めたと噂で聞きましたが……会って話さないのですか?」
「なんと………なればすぐにでも会いにいくとするか。」
そう言って直ぐにでも会いに行こうとするオメシワトルの行動力は他の創造神の系列の神と比べても高く、ぶっちゃけフットワークが軽すぎ、事あるごとに何某かトラブルを見つけ、解決しようと周りを振り回すとオメシワトルの部下に当たる神々は頭を悩ませていたのだ………
今回もまた振り回されると頭痛を感じながらイツラコリウキは覚悟をしていたのだが、どこからか聞こえた声によってその覚悟が必要なくなった。
「その必要はないぞ、オメシワトル」
そう言って二人だけの空間に突如ミクトランテクートリが現れた。とある神を連れて……
「ん?ミクトよ、いきなり現れてなんだ?」
「アトゥムをもう連れてきているからだ。」
「「何!?」」
「どうも〜オメシワトル。なんや、元気無さそうやなぁ〜」
「おぉぅ…………アトゥムよ。『Earth』と『planeta』の間で起きている事態を協力して解決させたいんだ。」
「ほほ〜あのシャレにならん悪童どもの話か。ん〜裏にはソロモンの72の悪魔とかだけではないやろうなぁ………おそらく、第一階級の悪魔もおるんとちゃうか?
ひょっとしたら、神々の代理戦争なんて事態に発展するかもなぁ。
それか、悪魔と神の戦争か?
流石にそれらはおもろないからなぁ〜オメシワトルの好きにしぃよ。
それと、ミクトから聞いたんやけど…Alnitakでは邪神が霧を発生させたかもしれんのやろ?邪神とはいえ元は神なんやから、そっちの対応はどうすんねん。」
「………許可してもらえたのはありがたいが、少しは協力してくれよ………」
「ん〜、協力って言うてもなぁ〜。取り敢えず、邪神のことはおいといて、人手が足りんのやろ?こっちからオモロイやつそっちに定期的に送るってのはどうや?
それならちぃと協力したるで〜」
そんな突飛な提案をしてくるアトゥムにじとーっとした視線を投げかけつつ提案された内容を吟味し、大きな影響はないだろうと判断した。
「おいおい………どうやって送るんだよ……まぁ送られてくるだけなら問題ないけどさ。」
「そりゃ〜求人広告でも出しときゃ勝手に集まるやろ〜。それより、ホンマに送ってええんか?」
「あぁ、送ってもらいたい。どちらかといえばヒューマン、つまり人間の数が減りつつあるからなぁ………」
「そうか〜。そりゃええな。こっちも増えすぎて困っとったところや〜。せや、希望があったら聞くで〜」
希望と聞いて若干女をたくさん欲しいと欲望が湧いてきたが、個人的な理由で自分が作った世界のバランスを崩すのは良くないと思い、邪な考えをかなぐり捨てた。
「うぅん、希望ねぇ〜…………大体男と女が同じぐらいで送って欲しいけど………
そうだ、ちょっとオモロイやつに聞いてみてからでもいいか?」
「オモロイやつ?そんなら、聞くだけやなくて、ここに一旦飛ばしいぃよ〜」
「え!?『planeta』の下界にいるんだけど………ちょっと面倒だなぁ………よし、ミクトよ。ショチケツアルを連れてきておくれ。」
「…………御意。すぐに」
一応心配はいらないだろうと思ったがそれでもどのようにして下界にいる者の希望を聞くのか興味があったのでオメシワトルに聞いてみることにした。
「どないすんねん。下界やと連れてくるには能力がいるやん。与えるんか?」
「まぁ一部は与えたんだが、ここには飛んでこれんからなぁ………精神をちょっとだけ読み取らせてもらって意思を汲むつもりだ。」
「ほぉ〜。どんなやつか教えてぇな。めっちゃ気になる〜」
「いいぞ〜。あいつは最初にここに飛ばされた人間なんだが、音楽が出来て、適応力があって。頭もしっかりしとった。」
「ほぉ〜。それだけやないやろ?オメシワトルが気に入ったやつなんやから、ちょっとエロいんとちゃう?」
そんな的を射たことを言ってくるアトゥムに少々恐れながら、平然と答える。
「ははは。よくわかってるじゃないか〜。それに見てて笑えるぞ〜」
Earthでも有能な人材は常に不足している。そんな背景があってかアトゥムは心底もったいないことをしたとい表情をしている。
「そりゃええなぁ〜。しまったなぁ………もう少し早う起きればよかった」
「そうかもなぁ〜。………………お、来たか。」
「どうも〜お二人さん。ショチケツアルです〜。それで、何すればいいんですか〜?」
「僚也の精神をちょっと読み取ってきておくれ〜」
「はぁい〜。それじゃ、報酬期待してますねぇ〜」
「あはは…………オメシワトルが出す報酬って………」
「うるさい」
アトゥムは報酬の方向性がエロい事だろうと即座に見破り、茶化してやろうと思ったがオメシワトルに抵抗されたので今回は諦めることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
暫くすると、ショチケツアルが戻って二人の神の前に姿を現した。
「はぁい〜。やってきましたよ〜。何がお望みですか〜」
「そのデータをおくれ〜」
「はぁい。……………ちゅ。これでいい?」
「おう。ありがと。もう下がっていいよ〜」
「はぁい〜。またキスしてねぇ〜」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
少々甘い空気が場を支配したが、アトゥムの高らかな笑い声がその場を壊した。
「あはは…………オメシワトルってやっぱ女神好きだよねぇ〜」
「うるさい」
「おまけにデータ渡す方法がキスで口移しなんて〜」
そのままのペースでは自分が遊ばれることが分かっていたので早急に話題を変えることにした。
「……………あぁ〜それより希望言っていいか?」
「ええよ〜どんなんやった?」
「可愛い女とヤリ甲斐のある女と綺麗な女と有能な男とちょっとした悪人とエロい人だとさ〜」
「あはは〜流石に手を抜かないねぇ〜めっちゃ可哀想なくらい筒抜けやん」
「仕方ないだろ。これは」
「まぁええけどねぇ〜それじゃ、バランスはさっきオメシワトルが言ってたやつで送るとして、
珠にエロいやつ送ればええんやな。」
「そうだね。それじゃ解決の協力よろしく。」
「まかしときぃな。そんならいっちょやったるで〜」
「おう。それじゃ期待してるよ〜。」
「それじゃぁまぁ…………悪童をとりあえず一緒に消すか〜。悪魔や邪神の対応は……頑張れw」
「やったるか〜……………って重要な方は丸投げかよ!」
最後に残念なツッコミをしつつアトゥムとオメシワトルはEarthに飛んでいった悪童を退治しに行くこととなった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Side~ミクトランテクートリ~
その内容を聞いていたミクトランティートリは傍らでため息をつきながら…………
「……はぁ、この二人が揃うと俺へのとばっちり増えるんだよなぁ〜」
「ミクト、何か言ったか?」
「いいえ、何も。」
「オメシワトル〜さっさとやるで〜」
「おぉ、それじゃミクト、後はメツトリに任せたと伝えておくれ」
「御意」
はぁ、相変わらず人使いが荒い………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Side~???~
悪童退治が終わってから・・・
「いやぁ〜さすがはオメシワトル。相変わらず容赦なかったねぇ〜」
「そういうアトゥムも結構なものだったぞ。それと今回の事に関わった邪神と悪魔の痕跡も見つけたしな。」
「そうか?そんじゃあとは適当に送るで〜、邪神とか悪魔は必要があったら協力したるで~」
「おう、助かるわ。転移はいつでもいいぞ〜」
「そんじゃ帰るわ。またな〜」
結局、神による暇つぶしによって転移させられる人が増えていくという事実に誰もが気づいてしまったのはここだけの話である。
そして、その暇つぶしで行った転移が事態を大きく変動させるということに気づいているものはオメシワトルをはじめ、今はまだ誰も知らない。
しばらくして、オメシワトルはイツラコリウキとショチケツアル、ミクトランテクートリ、マクイルショチトルを集めて
『praneta』に送った数百人について按じていた。
「…………うぅむ、そういえば、あの者たちとは元の世界に戻すと約束していたのであった」
「やれやれ。オメシワトルは相変わらずか…………」
そんな余計な軽口を先程扱き使われた腹いせに叩いた途端、マクイルショチトルを始め多くの神に窘められることとなった。
「黙れミクト!オメシワトルさまはちょっと抜けてるけど立派な方なんだぞ!」
そんな発言を聞いたイツラコリウキがマクイルショチトルを窘めるが
「………ショチトルよ。その反応も如何なんだ……そうは思わんかショール?」
その窘めるための発言のあげあしをショチケツアルに取られてしまいジト目でショチケツアルをみる。
「……………そんなこと聞いてる時点でイツラコリウキも言えた義理じゃないんじゃ…………」
そんな会話を繰り広げられている中は居心地が悪いようでオメシワトルは即座に指示を出した。
「………仕方ない。順番に彼らをここに転移させるか…………まずは例の二人が次に転移を使った時にショチトルとショールで介入しておくれ。
イツラコリウキは二人がいた場所を攪乱しておくれ」
「「「御意」」」
「ミクトは次にEarthから飛ばされてくる人たちをここに連れてきておくれ」
「……………やれやれ、やってやるか……」
そう言ってそれぞれ分けられた役割を的確にこなしていくのだった………
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Side~僚也~
俺たちが転移し終えたあと、異常に気づいた。
「………ココドコ?」
「………トモ君、ひょっとしてここって……」
そう言って二人は辺りを見渡す。するとどこかで見たことのある場所であることに気がついた。そう、このplanetaに飛ばされる前にいた場所………
「…………あぁ…………おそらくここは『あの』神のいたところじゃないかな…………」
そう言った瞬間周りが急に明るくなった。
【ほぉ〜。僚也たちは優秀じゃなぁ…………】
そう俺たちの観察眼と記憶力を褒め称える神に呆れながらもしっかりと挨拶をする。
「………はぁ、やっぱりあなたですか、創造神オメシワトル」
【そうじゃ。二人とも久しいの】
そう言ってにこやかに俺たちに向かっていたが今回は見たことのない神が三人(?)いた。
【……オメシワトルさまってこの3人の前ではそんな口調なんだ………】
【ショチトル……それは言ってはいけませんよ………ね?ショール】
【え…………イツラコリウキ、それを僕に言うのかい………】
その三人でじゃれあいが始まりそうな予感がして、何故か既視感を感じながらも三人について聞いてみた。
「………え〜っと、それでそちらの3人方は?」
【あぁ・・・我の優秀な部下じゃ。さて、今回君らを呼んだのは我だが、とても大変な要件があるのじゃ………】
そんな言葉を聞いて寧香は身体をビクッと反応させた。その反応を隣で見たので二人である程度話をしてからオメシワトルの話を聞こうと時間をもらうことにした。
「少し時間をください………二人で話したいこともあるので…………」
【………ふむ……まぁよかろう。これを使え】
そう言うとオメシワトルは豪華な談話室を作り出した。
「どうもありがとうございます。寧香、ちょっとそっちで話をしようか」
「………わかった」
そうして、俺たちはは今後予想される事態を話し合い、ある程度意見をまとめようと話し始めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
寧香はすぐに俺のそばに寄って話を始めた。
「さて、おそらく俺たち二人が元の世界に戻れるかどうかも話の中に出てくると思うんだよね………
そこでだ、一応戻れると言われたらどうするかここであらかじめ決めておきたいんだけど、どうかな?」
「そうだね…………私とトモ君って一緒に住んでたけど、戻ったとしても今よりも危険が多い世界で生き抜いていかなきゃいけないんだよね…………」
「…………そうだな。どちらかを選べと言われれば今の世界を俺は選ぶね。寧香は?」
「…………私も正直戻らなくてもいいかな………こっちでもトモ君と一緒だからさ〜」
寧香の返答を聞いて嬉しくなってしまった俺は寧香を見つめ、二人の間には甘ったるい雰囲気が流れ始めた。
そんな居心地のいい状態で寧香が可愛いことを言ってくるものだから、抱きしめてしまった。
「こっちの世界のわが家ってことになるだろうし今から作る城は最高のものにしよ?そこでこれからも二人で一緒に生きていこうよ。………離れ離れになるのは……もう嫌だから………」
抱きしめた流れで長く甘美な口づけを交わし俺も寧香の想いに応えた。
「ふふ………そうだね〜。俺らが絶対に満足するようなものを作ろうね〜」
「うん」
このままでしばらく居たかったが、話を進めなければならないので、オメシワトルとの交渉をどちらがするのか決めておくことにした。
「じゃ、これからの交渉は俺が主導で進めてくけどいいかな?」
「もちろん。トモ君にどこまでもついていくから……ね?」
「ふふ……それじゃ………戻ろうか」
そう言って手をつないでオメシワトルが待つところへ向かった。
そう言って二人はオメシワトルのもとに戻った
毎度のことですが、誤字脱字等ありましたら報告していただけると幸いです。