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異星奮闘記  作者: アルト
建国に向けて
12/19

閑話〜夜、甘美な世界〜

サイドストーリー 〜とある事後のピロートーク〜



寧香がフェニックスの襲撃にあい負傷した日の夜、俺たちはどちらからともなく甘い口づけを皮切りに、何度も激しく愛し合った。

……7回だろうか少々あやふやではあるが、イったところでお互い限界が来たのでそこまでとなった。


俺は微かなまどろみのなか寧香を優しく撫で、抱き寄せる。

何度も激しくしたため、お互い感度が敏感になっているので、俺が撫でて抱き寄せるだけでも十分に気持ちいいのだろう。

寧香は満足そうな笑顔を向けて俺のされるがままになっている。


お互い何も身につけず、ベッドに仰向けで抱き合っている。元いた世界では考えられない程、無防備な夜だ。



そんなことを考えていると顔に出ていたのか、はたまた同じことを考えていたのか、同じタイミングで同じ言葉を口にした。

「「激しくしても周りを警戒しないで出来る程平和なんだね……」」

そうピッタリと揃った台詞が可笑しくて、顔を合わせて笑った。


俺が抱いていた妙な緊張もほぐれたので(そもそも、それだけ激しくシたわけだから、緊張感なんてものは殆どないが)事後のピロートークで元いた世界のことを話すことにした。


「ねぇ、のんちゃん。こっちの世界に来てまだ数日だけどそれなりに充実してるよね?」


「そうだね。…………元の世界はこんなに後先考えずにはできなかったからね〜。……思えば、わたしがトモ君と出逢えたのは運命だったのかも知れないね。」


「そうかな………俺は必然だと思ったけど。だってお互い技術者上がりの諜報員でしょ。専門の分野は違うけど接点が多すぎるからね。」


「わたしの専門が生体系統でトモ君の専門が電子情報系統だもんね〜。私たちが最初に出逢ったのは、初期サンプルとして対人用VR機器製作だったねぇ……」


寧香はとても懐かしいものを見る様に俺の瞳をみつめる。俺はそんな寧香の瞳の魅力に惹かれて見つめ返しつつ抱きしめる力を少し強くした。

俺がち力を少しいれた瞬間、ビクッと寧香の身体が震えたがお返しとばかりに寧香が俺の唇を奪う。

ここでまけじと応戦してもいいのだが、せっかく昔話に花を咲かせようとしていたのだからとただされるがままに濃厚なキスを味わった。

お互いが満足したころに抱きしめる力を緩めると、寧香はキスも中断して体重を俺に預ける形で少し離れた。

離れる際、お互いの口に架かる銀色のアーチが妙に艶めかしく興奮したが、寧香が仰向けでベッドに寝ている俺の上に向き合う形で陣取りベッタリと身を預けてきたので艶かしかった銀のアーチはすぐに消えてしまった。

軽く寧香を抱きしめる様にして話を続ける。


「そうだったねぇ。あの時はお互い未知のものを作成するって緊張感で表情とか固かったもんねぇ〜。それでもお互いがその分野の責任者でチームのトップだったから……周りからは羨望の眼差しを向けられてたんじゃないかなぁ?」


「そうかな?むしろ私には妬みの視線が多かったけどな……トモ君ってその時から頭ひとつ抜きん出てたじゃん。女の研究者や助手は結構狙ってる人多かったんだよ?トモ君は研究以外にも音楽って言う武器もあったわけだし、それでいて今まで誰とも付き合っていないって情報が彼方此方から出てたんだから……正直、トモ君と付き合ってるってバレたら大変だったと思うよ。ましてやトモ君からプロポーズされて、私も受け入れちゃって、指輪まで作って一緒に持ってたなんて………ね。」


「アハハ………でも俺にはのんちゃんと付き合ってからずっと一人じゃもう無理だなぁって思ってたから……のんちゃんと一緒じゃなきゃ生きていけないって思ってたからねぇ……勿論、今もそう思っているよ。」

そう言って俺は寧香にそっと短いキスをした。

「ん………私もだもん。一人じゃやだよぉ……ずっとトモ君と一緒にいたい。他には特にこれと言って欲しいものなんてないから、ただトモ君とずっと一緒にいるだけでいいの。他の誰が何と言っても私はトモ君とじゃないと駄目なの。」

そう言って寧香はギュッとツヨク、ツヨク俺を抱きしめる。俺もそれに応える様にツヨク抱きしめる。

暫しの甘いひと時をギュッと抱き締めたままで過ごすと、急に寧香が何か面白いことを思い出した時に見せる笑顔をみせた。


「ねね………さっきの擬似的なプロポーズの台詞じゃなくて、元いた世界で私にしてくれたみたいな台詞をいってよ。」


「…………………俺は頼りないかもしれないけど大切にするから、寧香の手を死ぬまで離さない。だから寧香も死ぬまで俺の手を離さないでほしいな。」


「………うん。トモ君が辛い時や悲しい時も一緒にいて守ったり、力になったりするから……トモ君と一緒に幸せになりたい!って思っているんだよ。」


「「だから、結婚しよっ。」」


俺は寧香のお願いに一瞬迷ったが元いた世界で言った台詞を一言一句違えずに口にすると、寧香も同じ様に一言一句違えずに口にしたので最後の台詞は一緒に言うことにしたんだが………

まぁ、寧香が満足そうに俺を抱きしめてくるから多少の恥ずかしさは我慢したかいがあったと思う。



暫く甘い沈黙が続いたが、満足したのか寧香が話を元に戻した。

「えっと………なんだったけ?」

「俺とのんちゃんの愛の囁きが終わる前は元いた世界の話だったはずだけど?」

「あぁ、そっか。トモ君は人気者なんだよってとこで脱線したんだったね。けど今よくよく考えてみると、狙っていた人たちってショタコン?私たちは同い年だから、対人用VR機器の作成って確か15の時だよね?お互い天才だの秀才だの神童だの言われてた時期だから。」


「アハハ………良くも悪くも完全能力主義で給金とか出てたからねぇ〜。一応俺らは世間的に高校生って年齢だけど、明らかに普通の高校生以上の資金力と異常性と行動力を持ってたよね………」


「それでも、普通のところでは私たちは異端児扱いだったでしょ?バケモノって何回言われたことやら……」


「お互い中学を出てすぐスカウトされて半年で研究成果をあげて専門でトップだもんな………羨望や妬みもあるだろうさ。対人用VR機器を完成させたことで世間的にも脚光を浴びる様になってからは他の競争会社からの襲撃が少なくなったとはいえ、俺らは自分たちが開発した技術を盗まれない様に箝口令と裏工作だもんねぇ。その辺りから俺らの仕事に諜報活動が加わったんだよねぇ〜」


「そうだね………体術は流石にトモ君に勝てなかったからなぁ……一回だけ私が拉致された、あの事件の時必死になって助けてくれたトモ君に完全に惚れちゃって、それでそれ以降の仕事常にパートナーとして組んでたもんねぇ〜」


そう自分で言って顔を真っ赤にさせるところがたまらなくかわいい。そんな表情をするから俺は寧香に惚れたのだし、ずっと一緒にいたいと思う様になったんだよな……きっと当人は無自覚なんだろうけど……それでも、寧香がいないと酷く虚無感を感じる様になったのは事実だ。一度命令で別行動したことがあったが、その時はお互い動きにキレがなかった。

そのことで俺は寧香にプロポーズすることに決めたのだ。寧香はあまり自分の魅力を理解していないが、直感とかそういった理性でないところで上手く行動出来ている。だからこそ寧香は人気があった。俺は誰かに寧香を取られる前に自分が射止めようと心に誓って行動したことを寧香はきっと知らない。………ひょっとすると既に気づいているのかもしれないが。


「ふふ、それがキッカケでお互いの距離が短くなったんだから悪いことばかりではなかったよね。けど………寧香はもうそのトラウマは克服出来たの?」


「トモ君にこうやって抱きしめられてるなら大丈夫なんだぁ〜。エヘヘ…だから、ずっと一緒にいてね?また一人だけにしないでね?」


「当たり前だろ?俺は寧香を絶対に手放さないし、放すつもりなんてないから。……たとえ寧香が嫌がって逃げたとしても、鎖か何かに繋いでずっとそばにいてもらうから、覚悟してね?」


「アハハ………鎖なんか必要ないよ。そんなのなくてもずっとそばにいるから……ね?」


「そうだね。こっちの世界でも常に一緒は無理だけど、ちゃんとそばにいるし、会いたい時には会えるでしょ?」


「うん、魔法なり力技なりで会えるもんね。けど……無理しちゃ駄目だよ?私たちは元の世界でも一応ピアニストやシンガーソングライターって表の顔があった部類だからそれなりには弁えてるだろうけど、無理しすぎるのは良くないからね………あの事件の後お互い体術だけじゃなくて武術や護身術が出来る様に身につける特訓とかでかなり無理してたでしょ?元いた世界ではそれをやらなきゃいけない環境だったけど、今は違うってことを頭にいれておかないと駄目だよ?」


「………そうだね。でもまぁ……まさか対人用VR機器を使ったゲームの発売にあたってβ版のテスターとして俺らがゲームするとはねぇ〜」


「うん。VRの特徴でいくらゲームと言っても元々その人の能力とか影響してくるからねぇ〜。その点私たちはその特徴に助けられて序盤から色々出来たけどねぇ〜」


「そうだねぇ……けどま、流石にその世界に類似した星に飛ばされるとは思わなかったなぁ〜」


「異星で私たちが奮闘するとはねぇ?」


「ま、おかげで無防備にしてても問題ないわけだし……元いた世界では出来なかったことをこっちで満喫しようよ。」

「うん!」


そう言い終わるとどちらからともなく熱いキスを交わして身体を綺麗にしてから二人は抱き合った状態で眠りについた。

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