僕のパートナーの寝相が悪過ぎて、ヤバイ
変な夢を見た気がした。凄まじくヤバイ夢だ。どこかしらない海上を走っているフェリーの上で、タイタニックのような感じで、誰かの腰に手をあてて、お母さんには言えないような事をしている夢だ。
「・・・・・夢で良かった・・・」
天井はいつもの天井だ。アリスの描いた大きなミッフィーが描かれている。
「・・・・・・」
隣ではアリスが寝ていた。佐織と同じ年齢という事は、戸籍上での話だ。実際はそれよりも幾分幼く見える。たまに、怖い映画や、不安に感じた時は、僕の部屋にやってくる。義妹のピッキングではなく、アリスはきちんと、ノックをしてくれる。
「寝顔を見てると、生きてて良かったと思えるんだよね」
エロサイトを見て、ズボンのチャックを開けて、ティッシュを一枚キーボードの上にふわりと置いた時、モニターで小さい影が揺れた時は、絶叫してしまった事があったのだ。南京錠も、カードキーも、ダイアル式ナンバーも、指紋光彩認証も、全て佐織は突破してくるのだ。佐織の真ん丸い目、好奇と興奮で顔を赤くしていた表情が、今でも鮮明に覚えている。
「寝顔を見ていると、カワイイんだよね。守りたい。この寝顔」
アリスは魔法少女だ。ナイトフルを使える。いわば、僕のパートナーだ。同じく特事所属で、一緒に仕事をしたりする。魔法カードで魔法を使うという魔法使いではなく、それとは別の概念の魔法少女だ。かつての、僕の母さんと同じだ。
「・・・!」
仰向けから、寝返りを打って僕の方へ顔を向ける体勢になった。そしてベッドの中央に陣取られた。
「・・・・・」
柔らかい体が、僕の体と密着している。起こすのもマズイ。
「・・・・・」
僕の使わないボディソープの香りと、シャンプーの匂いがする。
「・・・・・」
一瞬、ほっぺたにキスをしたい衝動に駆られたが、ぐっと堪える。寝顔のすやすや顔が、小動物チックという言い方が悪いけど、父性本能をくすぐるようなのだ。勃起してしまう、性的興奮をしてしまう、そういう方向性ではない、感情が、見ていると芽生えてくる。
「きっと、世の中の悪党は、この寝顔を守るために、悪の道へ走った輩は数多いんだろうな」
なんとなく、そんな気がする。
「・・・!!!」
さらに仰向けになって来た。僕の体で斜め横になっている感じだ。
「・・・!」
柔らかい小さいおっぱいが、薄い布越しに、僕の身体に密着した。
「・・・・」
ここは、下で寝るべきだろうか。カワイイ寝顔とは裏腹に、アリスは寝相は悪いのだ。この前なんか、幼い記憶のせいか、僕の胸を吸われていた。っていうか噛まれていた。でも、男性でも母乳が出る人は実際にいるらしい。ちなみに僕はでない。なんだか、その時は酷く申し訳なかったと感じたのも覚えている。歯型が一週間消えなかったことも。
「・・・・・・寝よう」
明日は土曜日だ。昼過ぎまで寝ていられる。昼一時には佐織と映画だ。アリスは友達と、ミカミタワーで遊ぶらしい。アリスもどうやら、学校に慣れてくれたようだ。何気に心配していた事だったけど、どうやら杞憂だったようだ。ほっと一安心。
「・・・・・・・・・・」
小さい胸は、僕を圧迫しないため、睡眠妨害を行えるほどの弾力は無かったのだろう。すぐにまた眠れた。