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僕の見合い相手がマジ過ぎて、ヤバイ。

「お見合いだって!?」


僕は、大空のスカイジェットのファーストルームでスマフォ相手に叫んだ。


「気にしなくていいです。これは、僕のプライベートだから。それより、倒れている怪獣とテロリストをロッカーか、どこかに拘束しておいてください」


僕は先ほど大空上空標高12000m、スカイジェット内で先ほどテロリストグループを鎮圧したばかりだ。


「それで、相手は?」


・・・・・。


「イタリアのロイヤルファミリーのお姫様だって!?冗談じゃないよ。確かに、僕はお見合い結婚はベストだって言ったけどさぁ・・・・」


祖父がどうやら、そういう話を社交談話で話しまくったらしい。それで、話が飛び火して、ミカミグループの御曹司である僕に、そういう話が来たらしい。ちなみに、祖父とは半年以上のチャットの付き合いがあった。しかも、祖父は、ネカマプレイをしていたのだ。ちなみに、其の時使われたハンドルネームは、『幽玄のビクトリア』


「・・・・今ぁ!?今って言った?今?・・・ヴィネツィア?そりゃあ、確かに新婚旅行はヴェニスって決めてるけどさぁ・・・そういう下ネタはいらないです」


僕は彼女の事が好きだった時期がある。告白しよう。顔も知らないチャット相手の事を思って、僕は眠れない日さえあったほどだ。


「・・・・で。相手はもう着ているんですか?・・・・・へぇ。ビクトリアさんって言うんですかぁ・・・」


よりによって、僕の祖父相手に、胸をときめかせるなんて。一生誰にも言えない僕の秘密だ。この気分を払拭すべく、ファーストクラス席に備えてあるコカ・コーラを一本取り出すと、手刀で瓶の口を裂いて、ゴクリと飲む。


「すいません。このコーラおいくらですか?」


「え?え・・えっと・・・それ、売り物じゃなくて、機内サービスなんですけど・・・」


スチュワーデスさんはどもりながら喋る。確かに、全身真っ赤のぴかぴかした甲冑の男が、飛行中の機内にイキナリ外から現れて、テロリストを鎮圧させれば、驚くのも無理はないだろう。しかし、流石に、仮面を取る事はできないのだ。


「とりあえず、千円置いておきますね。・・・日本円の。それじゃ、お気をつけて」


僕は、ぶち抜いた非常扉から大空へと飛び出し、エアスターを展開した。マッハ3は超えていると思う速度で、ヴィネツィアへと向かう。風が気持ち良い。途中でハングライダーをしている青年にコーラを一口あげて、お見合い場所であるスモモトールホテルへと向かう。


「・・・お見合いって、スーツが良いよね・・。時間無いから、制服のまんまだったよ・・・。ま。どうせ断るし、っていうか断られるし、問題ないよね」


とりあえず、ボーイの開ける扉を進み、ホテル会場へと向かう。


「急なお呼び出しをすみません。旦那様が善は急げと申されてます。すぐにご支度くださいませ」


珍しく、ワルマーニを着込んだた~~るにゃんが、僕を呼びとめる。


「制服でいいんじゃないですか?どうせ断られるし、断るし」


「そうだとしても、お相手は、伯爵の位を持たれる由緒正しいお家柄になります。ミカミの名前に恥じない外装をお願い致します」


いつものやんわりとした態度だけど、目だけが、据わっている。・・怖い。


「わかったよ」


僕は手を引かれるまま、更衣室につれられて、パンツまで変えられた。その間、た~~るにゃんは、微動だにせず、淡々と僕の着替えを手伝った。


「・・・・・どう?」


「パッと見、イケメンです。中身は色魔ですが、どうせご主人様はお断り致しますので、問題は特にございません」


「それじゃ、行こうか」


「これより先はお一人様でご入室くださいませ」


「わかった。ありがとう」


僕はジェスチャーウィーロッドの新作一式を着て、会場へ向かって扉を開けた。


椅子にはすでに、一人の女性が・・・いや、女性というより、女の子が座っていた。


クルクル巻き毛をしているブロンドのカワイらしい女の子だ。目が大きく、まるで・・・・・。この子?・・・・もしかして、この子?何歳?


「わらわは15じゃ」


「・・・・・・・・・」


「すいません、さっき声に出しました?」


「出しておらぬ。わらわは人の心が読めるのじゃ」


「日本語上手ですね」


「良い男がいると聞いて、一年勉強した。お前も、わらわの夫になるのじゃから、イタリア語を学べよ」


「・・・・・・・・」


「なんじゃ、嫌なのか。どうしてじゃ」


「あの、ですね。僕は、まだお付き合いを考えてないんです」


特にいろいろ法律に引っかかりそうな年齢では。そもそも15じゃ、結婚はできないのだ。いや、それよりも、人の心が読めるって・・・。


「大丈夫じゃ。わらわも、まだ考えてはおらぬ。しかし、良い男はすぐに結婚するからな。予約という形で探しておるのじゃ」


・・・・・・・。


「大丈夫じゃ。イタリアも16からじゃ。お前さえ良ければ、別にこれからすぐに準備してもかまわんぞ。ちなみに、もう、わらわは子も作れるぞ」


・・・・・・・・。


「大丈夫じゃ。この事はお前の他に知らん。お前もなかなか、珍しい物を持っておるではないか。実はな。占いに出たんじゃ。今日はわらわの、運命の相手が現れるとな。お前の事だ。とりあえず、どうじゃ。わらわで、さっくり決めておかんか?若い方が子もたくさん作れるぞ。今なら十人作っても26か。どうじゃ?」


どうじゃ、と仰られても、僕は返答に困るしかない。僕は今、結婚するわけにはいかないのだ。そもそも高校生だ。これからだって、出会いはあるわけだし、今決める必要はないと思うんだ。


「そうか。わらわより、好きな人がおるのか。じゃが問題はない。すぐに、わらわの方が好きになる。わらわも処女じゃぞ。お前も童貞だろ。どうじゃ。これから練習せんか?」


・・・・・・・・。


「なんと。お前は童貞のくせに、色々経験しておるのか。うぬぬ。まぁしかし、良い。童貞には変わらん。ホテルを予約しておる。このまま、お前さえ良ければ、このまますぐに、子作りができるぞ。大丈夫じゃ。戸籍改ざんぐらい、余裕のよっちゃんじゃ。お前さえ好みがよければ、何歳でも可能じゃぞ。年上がスキなら、電話一本で29じゃ」


「そういう問題じゃなくて。ですね。とりあえず、そうですね。手紙のやり取りから始めましょうか」


「そうか?そうじゃな。お互いの事を知り合うのも必要な事じゃな」


「そうですよ」


ビィーービィーービィーー


「失礼します」


「はよ、電話出ろ。大切なものじゃろが」


「それでは・・」


僕は電話をオンにする。骨伝道で伝わるマイクには、吐息さえ伝わるのだ。


「晃弘君。悪いんだけど、そこから沖合い360kmの地中海南で、商船が事故に巻き込まれたの。至急向かって。緊急コードは4599よ。」


「分かりました」


僕は通話を切った。


「・・・はよいけ」


「うん」


その時、その言い方が、とても気になった。なんとも寂しそうな目をしているのだ。


「これ、僕の名刺だから。一応、夜の十一時から八時までは寝てたり、風呂に入ってたり、朝食を食べたりでばたばたしてると思うけど、いつでもかけていいから」


「っふ。女の同情を誘う仕草に弱いとは。じゃがいい。また、夜に、かけるぞ!」


「うん。あの、一応言っておくけど、コレクトコールにしないでね。冗談じゃない金額になるから。出来れば、メールにしてね」


「何を言っておるか。声と声じゃないと、通じぬ愛の囁きもあるではないか!はよう、行け。お前の救援を待っている人々がいる」


「うん。それじゃ、また」


「・・・バイバイ」


僕は、ホテル最上階フロアの窓を開け、ナイトフルを起動し、大海原へと駆けた。なんとも寂しい言葉が、繰り返し、頭の中で巡っていた。

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