僕の義妹が貞操を奪いに来て、ヤバイ。
この作品ではCはありません。セックス描写なんてとんでもない。この作品は、そんなギリギリのラインと闘う作品です。
「兄さん・・・・。起きてください。兄さん・・・・」
僕はそんな声で誰かに起こされた気がした。
「今晩は、来ちゃいました」
僕の妹は血が繋がってのが、救いだが、こんな事は決して許される事ではない。兄の上に、裸でまたがるなんて。
「・・・・兄さん。最近はお忙しいみたいで、こういうスキンシップをしてなかったです」
僕は、あえて、こういうシチュエーションを避けるために、外泊をしている事が多い。ちなみに、決してやましい事があるわけではない。
「佐織。そういう・・・」
思わず、口を塞がれてしまう。舌と舌で、僕の口の中を狼藉する。おそらく、決して、許されるはずがないだろうと思う。しかし、仕方が無かった。
両手、両足を拘束されていたのだ。おそらく、金属製。なぜなら、さっきから、普通に足首が痛いからだ。
「んっ・・んっ・・んん・・・・んっ~~?」
唇を離すと、沙織は、怒ったように僕の顔を見る。
「・・・兄さん?言いましたよね。ちゃんと、してください」
沙織は鋭い目つきで僕の一瞥した。僕は思わず、目をそらす。其の様子に優越感を抱いたのか、にんまりと笑って、僕のラリックマのパジャマのボタンを一つずつ外していく。僕の上半身を舐めながら、舌をこすりつける。ざらざらとした感覚が、皮膚を通して、生の器官の接触を図っている。思わず声が出てしまう。
「兄さん、ここ、好きでしたよね。・・・・もっとしてあげますよ」
ベロベロではなく、ぺろりぺろりとリズミカルに舐められるのが、たまらない。
「佐織!いい加減にしないと怒るよ!」
「ずっと、ず~~っと、ほったらかしにしてた、妹を、怒るんですか?最近はかまってくれますけど、本当に心細かった時、悲しかった時に、ほったらかしにしてた兄さんが、私を怒るんですか?」
パンツ越しに中指を突きつけられ、淫猥になぞる。マズイ。僕の持ってる官能小説に、こんなシーンがあるのだ。しまった。・・・・妹には、完全に把握されているのだ。PCの中身も。
「兄さん。それじゃ、こうしましょうか。今晩の調教は、ディープキスです。ちゃんとできたら解放します。できなかったから、・・・兄さんの嫌がる事をします。最も、兄さんの一番嫌がる事をしたら、それはそれで、問題ですので、私は兄さんの嫌がる、地味に嫌な事をします」
そう言って、パンツを沿った指先は、僕の後ろまで到達する。・・・まさか。
「そうです」
ゴクリと喉を鳴らす。
「指を入れます」
「佐織、あのね。・・・そうだね。えっとさ。明日、映画館に行かない?明日時間あるよね?土曜日だし。僕も予定は無いし。どうかな?」
僕はとりあえず、佐織のご機嫌を伺う作戦を出した。会話で済むなら、それで終わらせたい。
「・・・・・私がそんな提案を受け入れると思っているんですか?」
「え・・?」
「兄さんのスマフォにスパムファイルを送り込んで、メールと会話を全部盗聴、さらに兄さんのスケジュールを全部見計らってできた、このタイミングを、みすみす映画館だけで済ませる事が可能だなんて、本気で思ってるんですか?」
本気で冷たい目をして、文字通り、僕を見下していた。
「兄さん。ホテルに行くんなら、OKですけど、どうされますか?自宅でやると色々と浮上する問題や後片付けが楽になるとは思いますけど。どうされますか?」
「行けるわけないじゃないか」
「そうですよね。それじゃあ・・・兄さんの処女を頂きます」
僕のパンツは、無常にもハサミで切られた。高いボクサーパンツが綺麗な音を立てる。
「兄さん。カウントしますよ。いいですか。」
3
僕はやるしかないと思った。
2
覚悟を決めるしかない。
1
ビーーービーーー非常事態ダヨーーー!!ビーーービーーー非常事態ダヨーーー!!
僕のスマフォがけたたましい音を立てて鳴り響く。
「ハイ!スピーカー!オン!・・・こちらフォース!RC!」
自動的にスピーカーに切り替わった。
「晃弘君?申し訳ないんだけど、出動よ」
「『出撃』じゃないだけマシですよ!」
僕は変わらず冷たく、ひややかな佐織の目線をベッドで受けながら、スピーカーとお話する。
「ありがとう。沖合い南南西、80km先で、漁業船が嵐に巻き込まれて、転覆したわ。至急向って!詳しい位置マップは送っておきました」
「今から行きますッ!」
スピーカーはブツっという音を立て、電話は切れる。
「そうやって、また、私を一人ぼっちにさせるんですね」
「明日は、映画館に行こう。・・・・美味しいパフェが、映画の半券で安くなるところもあるんだよ」
「・・・・・仕方が無いです。今晩の調教は、ほっぺにチューで勘弁してあげます」
佐織は、馬乗り状態から僕の顔の横に顔を持ってきて、擦りようように、頬を向ける。
「おやすみ、佐織」
僕はそっと唇を頬に付ける。
「・・・おやすみなさい、兄さん」
僕はあっという間に紅の甲冑を身にまとう。流れるように、はためくように、その鎧は煌いていた。その甲の煌きは、月明かりで反射した佐織の悲しげな顔を映してしまっている。
「80kmほど先なら、大丈夫」
僕はミカミタワーから、自室のベランダの手すりから、勢い良く、飛び出し、ジェットスキーのような、バイクにも似た、金色の乗り物を魔法で出した。アクセルを踏み入れると、僕は一気に風のような気分になれる。そして、大空へ。一っ飛びで、大海原へ。勢いをつけすぎ、雷雲を突き破る。満天の星空が、いつものように綺麗だった。僕は、かまわず、そのスピードで下降する。