三夜目!
「申し訳ありませんでした!!」
超土下座。あ、でもこの絨毯すごく柔らかくて気持ちいい。っていけない。こんなんじゃ謝意が全く伝わらないよね。
うん。ただ今鉄仮面さんのお部屋で絶賛謝罪中です。
ただし鉄仮面さんは目の前にはいない。それで意味があるのかと聞かれれば、とりあえず声は聞こえるはずだからこれしかないと胸を張ろう。いや、張っちゃいけないんだけど。
ちなみに鉄仮面さんがどうなっているかというと。
「――シクシクシクシクシクシクシクシクシクシクシクシク」
クローゼットの中で泣いています。
…………私、今日でクビかもしんない。
いや、私のクビはいいんだよ。良くないけど、いいんだよ。それよりも先輩のお得意さんがこれから添い寝屋さんを利用してくれなくなるなんて事態になったら、先輩のお給料がダウンして、路頭に迷って行く行くはヤの付く素敵な人達に楽しい楽しい海外派遣のお仕事へと連れて行かれてしまうかもしれない。
ああ、脳裏に先輩のドナドナされる光景が~!
「この度は、鉄仮面様に暴言を吐いてしまい、誠に申し訳ございませんでした! 繊細な鉄仮面様を深く傷付けてしまい、もはや弁明のしようもなく。お許しいただけるのでしたら、本部の方に連絡を取りまして、別の者を派遣させていただきます! 当然、今回の料金はいただきません! 誠に、誠に申し訳ございませんでした!」
土下座にマシンガン謝罪のコンボは『もし怒らせたらこうしてね』と先輩に予め言われていた事だ。まるで私が初めからやらかす事前提のようでちょっとムムッと来たけど、実際やらかした以上文句は言えないし対処法を教えてくれていたのは本当に助かった。
本当に効果があるかどうかは分からないけど、反省の意を示すためにも謝罪し続けるしかない。
結果、泣き止んでクローゼットから出てきてもらうのに一時間掛かりました。