さぁ~! 世紀の一戦が始まりました~! (二話)
運が良い男は初めて出会った女の子にアルバイトの勧誘をしてもスムーズだっ!!
という訳で2話です。
つーか……1話投稿しただけなのにもう評価とお気に入り登録が……グスッ! ありがとうございます。
お陰でモチベーションが上がってエライ事になりました!
俺の通う学校は別に財閥の御曹子が通う金持ち学校でも無ければ、札付きのワル達が集まる学校でも無い……しいて言うなら普通である。
start
「今日は特に何がある訳でも無いので皆さん勉強の方を頑張りましょう!」
朝っぱらから無駄にテンションの高い担任が何やら言ってるが、俺の耳には入らない。
つーのも先程俺の携帯に一件のメールが入って来たのだ。
その内容が……。
『再来週からウチの喫茶店イベントやるから出来たら案とか考えといてね?m(_ _)m』
by一哉
……てな事らしい。あ、ちなみに一哉ってのは叔父さんの名前であるが、説明はまた後にさせて頂く。叔父さんが経営している喫茶店は、駅の近くにある商店街にあるんだが、これが結構客足が良い事で知られている。
毎回こんな感じで唐突にイベントみたいな事をやりだすのが当たってるのもあるが、零の奴が店を手伝い始めてから更に客が増えた。
…………。主に世間的にはオタクとか言われてる連中の。
「はい、この公式は覚えておいてね~? テストに出ますから~」
金はいくらあっても損は無い……だから叔父さんが提示したイベントな何とか成功させたい。
俺としてはそう思うんだが……う~む、どうしたもんだがなぁ。
「霧生くん!! ちゃんと聞いてますか!?」
「あ~はいはい、聞いてます聞いてます……」
「どう見ても上の空で聞いてないじゃないですかっ!」
「あ~ 聞いてます聞いてます」
「……。じゃあ今先生が言った事を復唱してください」
「今日の俺もサイコー! そして先生、今日もドジっ娘っぽくて可愛いッス!」
「……」
『……』
まぁ、何にしても昼休みに零の奴と相談してみるしか無いわな……って、ん? 何か知らんが周りの連中……教師を含めてジト目で睨まれてるのは何故に?
☆昼休みだよ★
身に覚えの無い冷ややかな視線を受けつづけながらの午前の授業も終了し、昼休みになった俺は午前中の授業全てを返上してまで考えていたイベントについて零と相談する為、零が居る隣のクラスにやって来た。
「ウ~ッス、零は居るか?」
「あ、霧生くん。霧島さんだね? 今呼んでくるからちょっと待っててね」
隣のクラスの名前の知らない女子に零の所在を聞くと、ニコリと微笑みながら零を呼びに行ってくれた。
うむ、中々に良い子だなあの子……。
これが男子とかだったらオモックソ睨まれた揚句に零を呼んでくれないからな。
「霧生くん呼んで来たよ~!」
何て考えているウチに良い子の烙印を押した女子に引っ張られて零が登場。
相変わらず無表情だがそこは気にし無い。
「お待たせいたしました零様」
「おう零、多分叔父さんからメールが入ってると思うが……」
「は、再来週に開催するとされているイベントですね?」
おお、相変わらず察視が良くて助かるね。
「ああ、一応午前中に考えてたんだが、中々良いアイデアが浮かばないんでな。昼飯がてら一緒に考えて欲しいかなって……」
「畏まりました。では今日は屋上で?」
「んー そだな、まぁ別に聞かれて困る話じゃ無いが、静かな場所の方が考えが纏めやすいし屋上で良いわ」
「はっ!」
「なになに~? イベントって何の話~?」
屋上で飯を食うという話で決まった所に、横で先程零を呼んでくれた女の子が話に入ってくる。
「ん? ああ、いやウチのバイト先の話何だけど………………あ!」
「へ?」
零を呼んでくれたので、お礼の意味を込めて話の内容を説明してやろうとその子を見るが、その子の姿を見た瞬間頭の中で電流が走ったような感覚になる。
「あの……霧生くん?」
「零様?」
口を開けてポカーンとした間抜け顔をしている俺が不思議なのか、二人して俺に話し掛けてくる。
「ねぇキミ……名前は?」
だが、そんな二人を余所に俺は名も知らない女の子に話し掛ける。
「へっ!? 美佳……小山 美佳だけど」
「美佳ちゃんか……よし、覚えた! 昼休み誰かと飯を食う予定とかは?」
「(い、いきなり名前で……) えと……まだ無いry」
「無いんだな? よぅし決まりだ! 今から俺達と屋上で一緒で飯を食おう! なっ!? 行くぞ零!」
「はい零様……」
「へ? ちょっ、ちょっと!?」
電流が流れた俺は“相手の了承を全て無視する”という特殊能力が備わる。
そして今回も例外無く美佳ちゃんの手をを無理矢理引っ張って屋上に連れ出すのであった。
「イヤッフゥ~! やっぱ朝TVでやってたあの星占いは当たってるみてーだわ!」
「ちょっと霧生くん!?」
「HAHAHAHA!!」
「……また零様の悪いクセが始まりましたか」
―
――
―――
6月に入るとやはり蒸し暑い……なので日なたで飯を食うのは自殺行為と判断し、調度屋上の入口付近が日陰になっているので、そこに零が朝用意してくれた弁当を食う事にする。
そして食いながら話に着いて行けなくなってる美佳ちゃんに説明をする。
「アルバイト?」
「そ、美佳ちゃんはアルバイトとかやってる?」
「いや、して無いけど……」
ふむ、どうやらやって無いのか。
ククク、やはり今日は運が良いみてーだが、念には念を入れないとな。
「んじゃあこれからアルバイトをやる予定は?」
「ん~無いよ?」
三人で弁当をつまみながらも話は進行する。
しかし零の作る厚焼き玉子は一体何の裏技を使って作ってるんだろうか……何時もの事ながら超美味い。
「そいじゃあ美佳ちゃんの家はアルバイト禁止みたいなのは?」
「それも無いけど」
「じゃあこれからバイトをする気は?」
「一応あるよ……けど、私がアルバイトをするのに一体何の関係が……」
そうか、アルバイトはして良いしこれからバイトをする予定もあると……クフッ! やっべ、自分の今日の運のありさ加減に身震いがするぜ。
「いや実はさぁ……」
~そこそこ運が良い少年説明中~
「わ、私を霧生くんが勤めてるアルバイト先の勧誘?」
「そっ!」
素っ頓狂な声で復唱する美佳ちゃん。
「実はよぉ、ウチのバイト先の喫茶店って人手が壊滅的に不足しちゃってんだけどさぁ? あ、知ってるかな? 駅前の商店街にある“TRYカフェ”って奴なんだけどさ」
「知ってるよ、あそこ超有名な喫茶店だもん。お父さんとお母さんも良く利用してるし、私も何度か……」
「そうかそうか! そいつはごひいきして頂いてありがとうございます! ……でまぁ話を戻すとウチの喫茶店はお蔭様でそこそこの売上を叩き出してるんだが、いかんせん人手が不足しちまってんだよね……」
「ふ~ん?」
美佳ちゃんにザッと今の状況を説明する。
あっと、分からない人が大多数いると思うので説明さしてもらうが、ウチの喫茶店……TRYカフェなんだが、さっきも言った通り黒字なんだが、まぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!! 人手が居ないのだ。
具体的に言うと、オーナーである叔父夫婦と俺と零と後一人だけでやっている。
最初はそれで普通に出来てたんだが、零が店に入ってから事態は一変……零は学校以外は大体メイド服とやらを着ていて(何か色々と恥ずかしいから止めろと言ったが無駄だった)叔母さんの提案でメイド服姿のまま勤務をやる事になったんだが……これがまた大当りじゃ済まない事になる。
今ではその手のマニアは当たり前だが、零の容姿に引っ掛かった男達が集う人気カフェになっちまったんだ。
零の容姿は中々所が時々引くぐらい良いから仕方ないのかもしれない、だが! それのお陰で店が回らなくなり始めているのもまた事実だったりする。
今は何とかなっているが、その内に全員が過労死しちまう。
だからこうして新規のアルバイトさんを探しているのだ。
ちなみにこのアルバイトに入れる条件は只一つ……叔父さん曰く。
『厨房は間に合ってるからホールのアルバイトさんが欲しいよね~! 出来たら可愛い娘みたいな?』
……らしい。
「それで私を連れ出したんだ……ははっ、ちょっとだけ期待しちゃったよ……」
「は?」
「い、いや何でも無いよ!? アハッ、アハハハハハ!!」
「…………」
急に慌て出す美佳ちゃんに内心首を傾げるも、今の俺はそれ以上追求するつもりは無い、アルバイトに勧誘する方が先だし、何より零がちょっとだけデフォルト装備である“ツリ目”を充分に使った睨みを俺に利かせてるから。
「で、どうよ美佳ちゃん? 俺としては可愛いという条件を越えている美佳ちゃんには是非共入って欲しいんだが……」
「か、かわっ!?」
おお、急に真っ赤になっちゃってまぁ、初な子だねぇ。
だが実際これはお世辞では無く本音だ。
肩辺りまで伸ばした茶髪に…………アレ? ウチの学校って髪染めて良いんだっけか? まぁ良いや、肩辺りまで伸ばした茶髪にパッチリした目……キスとかして無いであろう健康的なピンク色の唇でスタイルの方は……まぁ正直零の足元にも及ばないけどまぁ全体的に作りが小さいから“そういうのが好きな人”には堪らない一品なのかもしれないね。
「可愛いって……」
あらら、美佳ちゃん自分の世界に入ってらぁ。
そして零よ……お前はさっきから何故無言で俺の背中を抓る。
お前の機嫌を損ねるような真似をした覚えは無いのだが。
「で、どうよ? キミさえ良ければ早速今日の放課後にでもウチの喫茶店の見学に来て貰いたいんだが」
「う、うん! 調度これからアルバイト始めようと思ってた所だし、TRYカフェならお父さんとお母さんも知ってるから直ぐ許可してくれるから良いよ」
と、笑顔で言ってくれた美佳ちゃんだった。
ッシャア!! やはり今日は運が良いぜ! 一人目ゲット!!
「そうかそうか、美佳ちゃんが入ってくれるなら即戦力になってくれるだろうな。だってかわい――だだだだだだだだだっ!? おいコラ零! オメェさっきから地味に痛いんだよ!!」
「ナンパはするなとあれ程申し上げた筈なのに、言い付けを守らなかった罰ですよ零様……」
「いやちょっと待てや。話聞いて無かったのかお前は? ナンパじゃねーし勧誘だ――イダダダ!?」
「アルバイトの勧誘をするだけならわざわざ可愛い等という言葉は必要無いのでは?」
と、無表情ながら俺の背中を抓る力を更に強める零。
コイツはたまにこうなるから恐ろしい……主にナンパしてる時とかは何処からともなき現れてはぶっ飛ばされる。
曰く……。
『ナンパ等という低レベルな事は零様には似合いません。これからはナンパはしないでください。貴方様は女性に対して何時も軽いのです。そんな気持ちで女性に接するなんて相手方に失礼なのですよ分かりますか?それにこの際だから言わせて貰いますけどバイト中に女性客から番号を聞くのもお止めになってください。え? 相手は喜んで教えてくれるから関係無いですって?貴方様が良くても店の品を疑われます事を忘れていませんか?大体私にその様な行為に走ったり命令する勇気も無い癖にナンパだけはいっちょ前にするんですか?一片二度とナンパなんてする気が起きないようにでめ“改造”でもした方が零様の為になるとはおもいませんこと?』
と、こんな感じで珍しく流暢に喋るなぁ……とか思ってだが8割位は何を言ってんだが分かんなかった。
とにかく、コイツの居る前ではナンパはご法度なのだ……。
「チッ、メンドクセー女だなオメーは。だが今回はナンパじゃねぇ、純粋に人手不足を解消する為にやってるだけだから安心しな。まぁ何を安心するかは知らんが……」
「……」
何時までも背中を抓られっぱなしも辛いし痛いので、なるべく冷静な口調で言ってやると、背中から痛みが退いていく……どうやら理解してくれたらしい。
「可愛い、かぁ……霧生くんに言われちゃった……エヘヘ」
可愛いと言われた事が無かったのかどうかは定かでは無いが、ガチで嬉しそうな顔をしながら一人自分の世界に入ってる美佳ちゃん。
ふむ、やはり俺の目に狂いは無かった……これで欲望に染まった男共の中にぶち込む事が出来るぜ……それに。
「うん、やっぱし可愛いわこの子……なんつーの? 小動物系って奴だよ―――いだいっ!?」
「……私に喧嘩を売ってるのですか? 先程言ったばかりですよね?」
……何にしても運が良い男は運任せでアルバイトの勧誘に成功したのだった。
続く
次回は叔父夫婦が現れます。




