審判がカウントを始めましたが霧生選手立てない!! (八話)
久々でグッダクダだぜ!
的なアレですが、そいでも大丈夫だべさな人はどーぞ。
にしても、スマフォは文字を打つのには全くって言うほど適して無い気がしますねハイ。
日曜日は普通に定休日な為、この日も暇を持て余す筈だったのだが、今日は俺の数少ない“友達”と呼べる相手、向島 真の家へ行くのだった。
「零様、此処は住宅が密集しているので止めたほうが……」
「大丈夫だっつの、良いから見てな……ン゛ッン゛」
零(レイ)が心配そうに見詰める中、俺は喉の調子を確かめる。
よしよし、絶好調だな……。
「ま~こっとくんっ! あっそびましょ~!!」
一昔前の子供みたいな挨拶を、真が住む一軒家に向かって腹から声を出すと。
「るっせぇ!! 餓鬼かお前はっっ!!」
あ~らら不思議、怒りで顔を歪ませたお友達が部屋の窓から顔を出しましたとさ。
start
最初に行って置く、実は向島真は金持ちのボンボンだったりする。
「ったく、毎度の事ながらフツーにインターホン鳴らせないないのかお前は」
「え~? だってインターホン鳴らしてもお前出て来ないじゃん」
「来るわっ!」
「……」
近所迷惑なんぞ省みない挨拶をぶっ放したにも関わらず、俺と零(レイ)をプンスカと怒りながらも家に入れてくれる真。真の家は金持ち階級の住む住宅地の中心に住んでいる。
そして真が住む家も、周りに退けを取らないばかりか、周囲よりもご立派な一軒家だ。
「しっかしまぁ、何時来てもお前んちの立派さ加減には感心を通り越して逆にヒキ気味になるわ。一人で住んでんだろこれ?」
「……まぁな」
真の部屋がある2階に続く階段を、案内されながら上りながら言うと、前を歩いている真が、後ろからでも分かる位に不機嫌そうな姿と声になる。
「オレだってこんな家に住みたかねーよ。第一、この家だってオレが高校に進学した祝いだか何だかでオフクロが勝手に買い付けてきやがったんだからよ……」
そう言っている真の後ろ姿は、今はこの場に居ないオフクロさんに対して講義してやりたくて仕方ないと語っているように見える。
だが、俺からしたら贅沢な悩みである。
「聞いたか零(レイ)? お前は以前に見た事があるかもしれんが、ナンツー金持ち我が儘……」
「はい、この耳でしかと」
「築32年・昔懐かしい2階建てアパートに二人暮らしの俺達に対しての冒涜だな、おい」
「……」
「ええ、明日の食料も手に入るか分からない生活をしているのに……」
おっと? 思いの外ノリが良いな零(レイ)の奴。
だけども、そろそろやめたげないと、真に追い出されちまうからここまでにしなけりゃあな。
「ちっ! オレから言わせりゃあ、一つ屋根の下で同い年の男女が住んでる零のほうが羨ましいわ。まず普通にあり得ない状況だしよコンチクショウ!」
ご立派な家に住んでいるのにも関わらず、何故か文句を垂れる真であったりたりするが、一応理由があるので、そこんところだけは茶化す事が出来ない。
「なぁ、零(レイ)ちゃんは零と一緒に居て変な事とかされないの?」
「しねぇよ!」
こいつ、向島_真は、ウチの店でバイトをやってくれているが、別に貧乏とかではない。
というより、寧ろ大金持ちのボンボンのポジションだ。
「いえ、逆に私自身に問題があるのかと考えさせられるぐらいに何もしてきませんね……」
「アララ……。相変わらずなご関係なのね?_まぁしゃ~ないよね、零ってばオレと霧生オーナーが色々と仕込んでやって今は中途半端にヘラヘラした性格してっけど、零(レイ)ちゃんに会うまでは、女の手すら握った事せら無かったチェリーくんだもんな」
もの凄くイラつくツラでこちら見ながら何やら言っている真だが、これでも“向島グループ序列第3位&次期総帥最有力候補”だってんだから世の中分からない。
街行けば、道歩く女の子をナンパするような奴が、だ。(しかもほぼ成功する)
見た目は只のチャラ男だが、正に『人を見た目で判断することなかれ』をお手本にしたような存在だわな。
「さてさて、唯一のトモダチとも言える零と零(レイ)ちゃんに来てもらった事だし……何するよ?」
部屋に案内する真が俺を見て言うが、やることは大体決まってる。
「決まってんだろ? 先々週の続きだよ、続き」
「先々週? …………って、あ~人生ゲーム(TVゲームバージョン)か?」
先々週の事を切り出すと、何の事かを少し思い出すそうとする真だったが、割と短い時間で思い出したらしく、それと同時に、あからさまに嫌そうなツラになる。
「えぇ……? アレやんのか~?」
「あ? 何か問題でもあんのか? 零(レイ)はそれで良いよな?」
「は。私は零様がそうおっしゃるなら異論はございません」
あ、いや……そんな無表情で言わなくてもなぁ。
別にコッチは軽い感じで聞いたつもりなんすけど……。
まぁ、いいか。
「ほれ見ろ、零(レイ)もやりたいと言ってるが?」
言い方に多少の問題があったものの、味方を得た俺はすかさず真に向かって言う。
すると真は、『あ゛~』っと一回唸るも観念したらしく、ノロノロとゲーム機をセットする。
「やるのは良いケド、お前等とやると何時も二人で組んでオレを陥れてくるから嫌なんだよなぁ……。先々週だって二人してオレが培ってきた財産の九割五分持っていきやがったしよ~!」
何だこいつ、過ぎた事を今更……女々しい奴だ。
「零(レイ)よ。何やら真が言ってるみたいだけど、聞こえたか~?」
「いいえ、私には縄張り争いに負けた負け犬の遠吠えにしか聞こえませんでした」
お~ぅい、零(レイ)ちゃんきびちー!!
「くっくっくっ、だ、そうだが真? まぁお前が一位じゃ無い限りそんな事はしないから心配すんなや」
「……零(レイ)ちゃんって、もしかしてオレの事嫌い?」
ここにきて、真がちょっぴり泣きそうな声になりながら、相も変わらず無表情な零(レイ)に聞く。
すると、めったな事では頬の肉すら動かさない零(レイ)の瞼が二、三度痙攣する。
だが、それに気付くのは俺だけで、当の真は全く気付かない。
零(レイ)は、何かやましい事を考えている時々や嘘を付く時は、ああやって瞼が軽く痙攣するのだが、ぶっちゃけ、かなり零(レイ)を観察していないと分からない事だ。
「は? …………………………。いえ、そんなことアリマセンヨ?」
「……」
「Oh……」
そして、零(レイ)は異常なまでに嘘が下手だ。
何と言うか、まんま態度に出るんだよな。
多分だが、幼稚園児でも楽に見抜ける位にヘッタクソだろう。
ホラ、今回だって妙ちくりんな“間”を開けたせいで、真も一発見抜いたっぺぇし。
「……。ま、まぁ、零(レイ)が本当に真が嫌いなら、真の事を野に咲く“雑草”と同じかそれ以下にしか見ない筈だから大丈夫だって。な?
零(レイ)だって真をそんな目で見て無いもんな?」
「は、はい。一応、かろうじて人間と認識を――」
「それって他人以下じゃん!?」
「あっ! い、いえ! そのようなことは決して……」
「いや、零(レイ)ちゃん明らかにテンパってんじゃん!」
駄目だな、今度零(レイ) には正しくい嘘の付き方でも教えてやろう。
うん、それが良い 、だってさ……。
「なぁ、オレが嫌いなあらこの際ハッキリ言ってくんね?」
「い、いやですから……そのようなことは――あ、私に触れないで頂けませんでしょうか?_正直に申しますと零様以外の男性には余り触れられたく無いものですから……」
「割と処かガチでオレの嫌いだろ!?」
「いえ、零様以外の男性に触れられたく無いだけです」
真が陥っている状況がもし俺だったら、今すぐにでも崖から紐無しバンジーをやっている自信があるもの。
「そんな事言ってくれちゃってるが、じゃあもし零の奴が、零(レイ)ちゃんに向かって『今すぐ全裸になれ』とか言ったら聞くのか?」
「はい、零様がお望みなら私は喜んでご命令に従います」
って、おい、何を真顔で言ってるんだお前は。
「なっ!? う、羨まし過ぎるだろ零の野郎……死ねよもう!」
死ねよは言い過ぎじゃねーかオイ。
「残念だがお前の考えとるような事は一切無いから安心するんだな」
ていうか、あったら色々と問題アリだしな、年齢的に。
15だし。
「今の所は、だろ? これからあるかもしれないんだろ? そうなんだろ? あぁ!?」
え、えぇー……何でキレてんのよこの阿呆は。
本当の事を言っただけなのに。
そいでもって、何故零(レイ)はポケ~ッとした目をしながら俺を見るんだよ? 何? もしかして、真の言う【ピーッ】的な事をして欲しいのか?
……いや、違うな。そんな真似なんぞしたら全身のあらゆる骨が、粉々にされるまでボコボコにされる風景しか浮かばない。
『零様と……フフ……フフフフ!』とか零(レイ)がブツブツと言ってる幻聴が聞こえるが、無いな、絶対にあり得ない。
「微妙に自覚が無いのが尚腹立つな……」
という真の一言は俺の耳には入らなかった。
つーか、俺から言わせてもらうなら、お前のほうが色々と羨ましいと思うんだけどな。
それこそ、どこぞの主人公みてーな人生送ってるお前がな。
続く
さてさて、次が出来るのは何時になることやら……。