表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

**第6話 魔王様、照れながら大学に付いてくる**



朝ごはんを食べ終わったあと、俺は時計を見てため息をついた。


「……やべ、今日も講義あるんだった。

 サボりすぎて単位ヤバいかも」


ベッドに座ってスマホをいじっていると、リリスが俺の後ろから覗き込んできた。

まだ俺のシャツを勝手に着て、裾が太ももまでしか隠れてない危ない格好だ。


「大学……? ふん、人間どもの学び舎か。面白そうだな」


「面白くねえよ。ただの退屈な講義だ。

 お前はここで大人しくしてろ。壁の穴もどうにかしないと……」


「うるさい。我が付いて行ってやる」


リリスは当然のように宣言した。


「は?」


「べ、別に悠真が寂しいとか、そんなんじゃないからな!

 ただ、魔王として人間界の教育制度を視察してやるだけじゃ!」


「視察って……お前、角生えてるぞ。目立つに決まってるだろ」


「ふん、そんなもの簡単じゃ」


リリスは指をパチンと鳴らした。

瞬間、頭の角が小さく縮んで、ほとんど目立たなくなる。

マントも消えて、普通の黒いブラウスとスカートに変わった。

……ただ、胸元が相変わらず危ない感じだ。


「どうだ。これで人間の女子大生に見えるだろ?」


「見えねえよ! スタイル良すぎて逆に目立つわ!」


「うるさい! これで決まりじゃ!」


結局、俺はリリスを連れて大学に向かうことになった。


講義室に入ると、周りの男子学生が一斉にリリスを見てざわつく。


「誰あれ……超美人じゃね?」


「隣の高見沢と一緒にいる……マジかよ」


俺は席に座りながら小声で言った。


「ほら、目立ってるだろ。早く帰れよ」


「ふん。我は悠真の隣に座る。……べ、別に守ってやりたいわけじゃないからな!」


リリスは俺の隣の席に堂々と座った。


講義が始まっても、リリスは退屈そうに頰杖をついている。

教授が黒板に数式を書いていると、彼女は俺の耳元で囁いた。


「この人間の魔法……つまらんな。我の方が百倍優れてるぞ」


「魔法じゃねえよ、微分積分だよ」


休み時間になると、リリスは俺の机に突っ伏してぼそっと言った。


「悠真。……人間の学び舎、意外と退屈ではないな。

 お前が隣にいるから……まあ、悪くない、かも……しれない」


耳が少し赤い。


俺はダメ人間らしくスマホをいじりながら答えた。


「はあ……お前がいるせいで周りがうるせえよ。

 あとで『彼女?』って聞かれたらどう説明すんだ」


「彼女でいいだろ。魔王の伴侶じゃ」


「待て待て!」


そのとき、教室の入り口から一人の小柄な女の子が入ってきた。


銀髪のツインテールに、赤いリボン。

見た目は中学生みたいだけど、目つきが妙に鋭い。


彼女はまっすぐ俺たちの席に近づいてきて、リリスを睨んだ。


「リリス姉様……! また人間界で遊んでるの?」


リリスがピクリと肩を震わせた。


「ちっ……セラか。邪魔だ、帰れ」


「帰らないよ! 姉様が毎日この人間の部屋に侵入してるって、魔界で噂になってるんだから!

 私も……この人間に会ってみたかったし!」


セラと呼ばれた少女は、俺をじっと見つめてきた。


「あなたが高見沢悠真? ふーん、普通の人間ね。

 姉様が夢中になるなんて、信じられない」


リリスが慌てて立ち上がる。


「うるさい! セラ、お前は関係ない!

 悠真は……わ、私のものじゃ!」


セラはにやりと笑った。


「へえ。じゃあ、勝負しましょ。

 どっちが悠真くんを落とせるか」


俺は頭を抱えた。


(はあ……今日も平和じゃねえ。

 しかも今度は妹分まで登場かよ……大学サボって家に帰りてえ)


リリスは俺の腕をぎゅっと掴んで、ツンとした顔でセラを睨みつけた。


「悠真は私のものだぞ……絶対に渡さないからな!」


その声は、いつもの高飛車さの中に、ちょっとした焦りが混じっていた。


魔王様のツンデレ大学侵入、そしてライバル登場で、

俺のダメな日常はますますカオスになっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ