**第13話 本気試験、照れながらの魔王一家総力戦**
**第13話 本気試験、照れながらの魔王一家総力戦**
魔王が玉座からゆっくり立ち上がり、広間に響く声で宣言した。
「儀式はここまでだ。
娘どもが甘やかしすぎた。
これからは……本気で試す」
魔法陣の光が一瞬強く閃き、色が変わった。
柔らかいピンクから、危険な赤紫へ。
空気が重くなり、魔力が肌を刺すように感じる。
俺は思わず後ずさった。
「……本気って……今までが本気じゃなかったんですか?」
魔王は低く笑う。
「今までは『相性確認』だ。
これからは『耐久試験』。
お前が魔王一家の魔力を一晩で受け止めきれるか……それが、お前を認める基準じゃ」
リリスが慌てて前に出る。
「父上! それは……悠真の体が持たないかも……!
べ、別に心配してるわけじゃないけど……人間なんだから!」
セラが俺の腕をぎゅっと掴む。
「お父様、やりすぎだよ!
悠真くん、まだ弱いんだから……!」
母上が妖艶に微笑みながら、俺の肩に手を置く。
「ふふ、でもこれが魔王家の掟よ。
娘たちを娶るなら、このくらい耐えなきゃね」
ミリアが俺の足にしがみついて、涙目で訴える。
「悠真お兄ちゃん……がんばって……!
私も……少しだけ魔力出すから……!」
魔王が指を鳴らすと、魔法陣がさらに広がり、
四方から四つの光の柱が立ち上がった。
それぞれの柱に、リリス、セラ、母上、ミリアの魔力が注がれていく。
「順番などない。
同時に来るぞ。
耐えろ、人間」
魔王の言葉と同時に、四方向から魔力が奔流のように俺に流れ込んできた。
リリスの熱く激しい魔力――ツンデレの情熱が、胸を熱く焼く。
セラの甘く無邪気な魔力――柔らかく体を包み、心地よく溶かす。
母上の妖艶で深い魔力――体全体を甘く痺れさせ、理性が揺らぐ。
ミリアの純粋で小さな魔力――可愛らしく体に絡みつき、守ってあげたくなるような温かさ。
四つの魔力が同時に俺を襲い、
体が熱くなり、視界がぼやけ、膝がガクガク震える。
「……っ! くそ……重い……!」
俺は歯を食いしばって立とうとするが、
魔力の奔流に押しつぶされそうになる。
リリスが俺の胸に飛び込んでくる。
「悠真! しっかりしろ!
私の魔力……全部受け止めて……!
……私だけの……ものになれ……!」
セラが反対側から抱きつく。
「悠真くん、私の分も!
一緒に……ずっと一緒にいようね!」
母上が背後から俺の首筋に唇を寄せ、囁く。
「ふふ、耐えなさい。
私の魔力……感じてる?
人間の体がこんなに熱くなるなんて……可愛いわ」
ミリアが足元から俺の腰にしがみつき、甘える。
「悠真お兄ちゃん……私のも……受け止めて……!
みんなで……家族になろうよ……!」
四人の体が俺に密着し、
魔力が混ざり合い、甘い渦となって俺を包む。
俺の視界が白く染まり、
体が浮くような感覚に襲われる。
「……はあ……もう……限界……」
その瞬間、魔王の声が響いた。
「耐えきったな、人間」
魔力の奔流がピタリと止まる。
俺は膝をついて息を荒げ、
四人に支えられながらようやく顔を上げる。
魔王がゆっくり近づき、俺の肩に手を置いた。
「……よく耐えた。
お前を……魔王一家の婿として認める」
リリスが俺の胸に顔を埋めて、ぼそっと呟く。
「……ばか……心配させた……
べ、別に……嬉しいとか、そんなんじゃないからな……!」
セラが俺の頰にキスをして、笑う。
「やった! 悠真くん、合格だよ!」
母上が俺の耳元で囁く。
「ふふ、これから……もっと楽しい夜が待ってるわよ?」
ミリアが俺の首に抱きついて、喜ぶ。
「悠真お兄ちゃん、私たちの家族だよ!
ずっと一緒にいてね!」
俺は床にへたり込みながら、深いため息をついた。
「……はあ。今日も……いや、もう毎日が平和じゃねえ。
魔王一家の婿って……俺のダメ人間人生、完全に終わったな」
魔王城の広間に、
魔王一家の甘い笑い声が響き渡る。
これが、俺と魔王様たちの
本気の共同生活――の始まりだった。




